「90分間ミスのオンパレードだった」。怒りを通り越してあきれたような口調で柱谷哲二監督はそう口にした。
確かにピッチ状態はよくなかった。ボールを受ける際、足元が気になるため、ヘッドダウンしてしまい、周りが見ることができない。それゆえ、近くにいる選手にしかパスができず、相手のプレスにはまってミスが出てしまう。選手たちがピッチコンディションに苦しんでいたのは事実だ。
しかし、それを差し引いてもあまりにもミスが多すぎた。目を覆いたくなるようなミスを連発。パスがつながらないため、ゴール前にボールが運べず、チャンスを作ることができない。観客席からはため息が漏れ続け、盛り上がりを欠いたまま前半を終えた。
前々節富山戦後、柱谷監督は「このチームは90分間続けることができない」と言っていた。ならば、前半が悪かった分、後半は修正して臨んでくれるはずだと期待をしたものの、残念ながら流れは変わらなかった。むしろ、さらにミスが増えたように見えた。「コントロールミス、パスミス、判断ミス」(柱谷監督)などあらゆるミスを各所で見せて、自分たちで流れを潰す繰り返し。決定機もほとんど作れないまま、無得点のまま90分を終えることとなった。
前回のホームゲーム第36節富山戦に続く不完全燃焼のゲーム。結果以上にホームで力を出し切れないことが悔やまれて仕方ない。試合後、「足にボールがつかなかった」と唇を噛んだ選手は多かった。なぜこれだけミスが多くなってしまったのか。柱谷監督は「不思議で仕方がない」と首をかしげながらも「気持ちが入りすぎてしまったのかもしれない」と分析した。「ホームで勝つ!」。その気持ちの強さが空回りしてしまったのだろうか。真のメンタルの強さとは安定して適度のメンタルを保つことを言う。そういう点でまだこのチームのメンタルは弱いと言わざるを得ない。
力以上のものを出すことを求められているわけではない。毎試合、力を出し切ることができないからこそ現状の順位に甘んじることとなってしまっている。今季繰り返したこのスパイラルを今季のうちに断ち切らなければ、来季につながらない。これまで培ってきたことをピッチで発揮し続けることが残り4試合の使命である。けが人も増え、苦しい状況であるが、もう一度チームが一つになって現状から抜け出してもらいたい。
讃岐にとっても手痛いドローだ。低調な内容の水戸に対して、厳しくプレスをかけて攻め手を潰すことができていた。しかし、「ボールを奪ってからのプレーの精度を欠いた」と小澤雄希が振り返るように、ボールを奪うことができても攻撃につなげることができず、チャンスを作り出すまでには至らなかった。終盤、古田寛幸や木島良輔といったドリブラーを投入し、決定機を築いたものの、水戸GK笠原昂史の好セーブに阻まれ、ゴールをこじ開けられなかった。アウェイで勝点1という結果自体は決して悪くない。ただ、「僕らの立場として、勝点1しか取れなかったことは残念な結果だった」との北野誠監督の言葉通り、自動残留圏内20位の東京Vとの勝点差を詰めることができなかったことは悔やまれる。納得できる結果ではなかった。
試合終了の笛とともに両チームの選手が肩を落とした。ともに負けに等しいドローであったと言えるだろう。
以上
2014.10.27 Reported by 佐藤拓也
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