『絶対勝つ』という、お互いの強い思いがぶつかり合った四国ダービー。自動残留となる20位を目指す讃岐と、１つでも順位を押し上げたい愛媛との対戦は最後まで手に汗握る攻防となった。

試合は開始早々から讃岐が主導権を握る。これまでと同様にしっかりと最終ラインから守りを固め、中に入って来たボールも大きく蹴り出すというシンプルなサッカーを展開。そして愛媛もこれまでと同じようにパスをつなぎながら前線にボールを運ぶが、あまりにもシンプルな讃岐の守りに戸惑い、なかなか攻撃のペースが上がらない。時折、クロスや縦のスルーパスなどを試みるも、なかなかフィニッシュまで持って行けず、愛媛らしくないパスミスなどもあった。

対する讃岐は攻撃でもシンプルなスタイルを展開。サイドを起点にカウンターを仕掛け、高橋泰とアンドレアの２トップにボールを集めてチャンスを演出。結局０−０と得点は奪えなかったものの、終始讃岐が主導権を握って前半を折り返した。

そして後半に入っても序盤は讃岐ペース。前半と同じように素早いカウンターを仕掛け、ゴール前まで攻めるもなかなか決まらない。すると試合は徐々に愛媛が主導権を握り始め、讃岐の守りを崩しにかかる。そして61分、左サイドの三原向平がクロスを入れるとフリーで抜け出した河原和寿が頭で合わせ愛媛が先制。その後も愛媛は立て続けに讃岐ゴールに攻め入り、さらにはDFのエブソンがこの日２枚目のイエローカードで退場と、讃岐は一人少ない状況となり苦しい展開となる。

それでも粘る讃岐は83分、ペナルティエリア内で高橋が倒されPKを獲得。そのPKを高橋が落ち着いてゴール右に決め１−１の同点に追いつく。決めた高橋は「１点取らないといけない場面だったので、同点に追いついたのはよかった」と振り返った。

しかし90分を過ぎアディショナルに入った直後、左サイドから起点を作った愛媛は、藤直也からのクロスを西田剛が競り合いながらも頭で押し込みこれが決勝点。自身としても２試合連続得点となった西田は「同点にされても誰も下を向かず、逆にどんどん行けていた。その中で生まれたゴールだったので決められてよかった」と、チーム全員が生んだ得点だと振り返り、四国ダービー第２ラウンドも２−１で愛媛が勝利。チームもこれで連勝となった。

勝った愛媛の石丸清隆監督は「ハーフタイムには、判断のスピードを上げてサイドチェンジなどを意識するようにした」と語り、先制点を上げた河原も「スカウティングや監督の話で、クロスの時に少しスペースが空くのでそこを突いていった」と、狙い通りの連係だったと笑みをこぼした。

対する讃岐の北野誠監督は「前半は愛媛のやり方を防げたが、ボールの失い方が悪かった」と、一人少ない状況もあったが失点につながったミスを悔やんだ。ただ「結果として負けてしまったが、勝ちたいという強い気持ちは出せた」と話し、今まで以上にチーム一丸となって戦う姿勢を前面に見せたゲームだった。

負けないという強い気持ち。もちろんそれだけでは勝点は得られないが、讃岐と愛媛が見せた死力を尽くしたゲームは、四国のＪクラブとして共に高め合う新たな軌跡の一つになったことだろう。

以上

2014.10.20 Reported by 小谷秀斗（オフィスひやあつ）