長いこと別メニューでリハビリを続けていたキャプテンの吉井孝輔が10月14日から全体トレーニングに合流した。15日午前のトレーニングでは10対10のゲーム形式のメニューでセンターバックとしてプレー。「まだゲーム勘が戻っていないところがある」と話しつつ、久々に他の選手と一緒にボールを蹴れたのはやはりうれしかったようだ。
今回の離脱は長かった。最初は5月初旬。第10節・水戸戦で痛めた左足首の手術で約4週間の加療と診断されたが、復帰したのは9月初旬。しかし全体練習への合流も間近かと思われた頃、今度は左足の太腿前部を痛めて2度目の離脱となった。
「足首の手術は割り切ってのものだったのでリハビリも前向きにできたし、順調に上げてきてたんです。ぼちぼちかなというところでの対人のメニューで違う箇所を痛めて、また離脱することになってしまった。ゲームの中では相手に合わせたリアクションが多くなる分、動きに慣れていない状態で身体が追いついていない部分もあったかもしれないですね。せっかく追い込んで、いざこれからという時だったので…、2回目はさすがに苦しかったですね」
一旦は合流間近となった9月初めの時点で、「筋トレしかやることがないんですよ。上半身に筋肉が付きやすいから肩周りが大きくなって、練習ウェアも肩とか袖口がきつい」と自嘲気味に笑っていたが、約5カ月に渡るリハビリは精神的にも相当ハードだったに違いない。そんな中で支えになったのは、北嶋秀朗コーチに言われたという言葉だ。
「『家族にふりかかる分の悪いことを自分が背負ってると思えば楽だろ』って言われて。確かに、そうでも思わないと気持ちは落ちていくし、自分が暗くなってると家族も楽しくないですから」
そんな思いで毎日黙々と、チームメイトがボールを追う様子を横目に、リハビリに取り組んだ。
全体合流した心情を聞くと、「ボールに触ったり、皆と同じ空間でやれるのは、やっぱり楽しいですよ」と言って表情を緩める。
離脱した期間が思いのほか長くなった分、1日でも早く、という思いはもちろん強い。だが「シーズンも残り少ないですけど、コンディションを戻しながら、少し様子を見ながら今度は慎重にやっていきます」とも話す。ただ、吉井孝輔という選手は、力をセーブしたりするプレーヤーではない。それは彼自身がいちばん知っていることだ。
「抑えるとかはできないんですけどね、周りを気にせず、やっていきます」
苦しい時期を乗り越え、さらにタフになって戻ってきた寡黙なキャプテンが、チームに力を与えてくれるはずだ。
以上
2014.10.15 Reported by 井芹貴志
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