気が付けば神無月。すっかり秋も深くなり、さすがに半袖では寒くなった。リーグ戦も最終盤に突入し、各カテゴリーにおいて優勝・昇格、あるいは降格といったフレーズが飛び交う季節である。J2においても、首位を独走する湘南が早々と優勝を決めようとしている。本来ならば本拠地開催だった前節・愛媛戦において大観衆と共に優勝決定の喜びを分かち合いたかったところであろうが、そこは空気を読まないことに定評のある2位のチームが勝利したことでお預けとなっている。
その2位・松本。9月は5戦勝ちなしと長いトンネルに突入していたが、前節・横浜FC戦においてようやく脱出。6試合ぶりの勝点3を手中に収めた。敵地(味フィ西)ながら、約2,500名の松本サポーターが駆けつけ、「アウェイにも関わらず、良い雰囲気の中で出来た」と反町康治監督も認めるほどの空気を作り出した。その熱気に押され、選手たちも躍動。開始早々に犬飼智也のゴールで先制すると、31分には岩上祐三が直接FKを叩き込み、追加点。守備陣も奮闘し、2−0で快勝。後半に追加点を奪えなかった点など課題はもちろんあるにしても、この勝利は良薬となった。高い位置でボールを奪い、攻守の切り替えで相手を上回る“松本らしいサッカー”で勝利したことは何よりも大きい。これまで築き上げてきたスタイルに間違いはなかったことを証明するゲームとなった。3位・磐田が敗れたことで、勝点差は『8』にまで広がった。もはや、迷いはない。このまま最終節まで駆け抜けるだけだ。
とはいえ、今月もまた苦しい試合が続く。今節アルウィンに迎える大分は、先述した磐田を破ったチームである。前回対戦時(第12節)では2−0で松本が勝利しているものの、当時と今とでは別チームと言った方が良さそうだ。今夏、上位争い進出へ補強を敢行。ラドンチッチ、林容平、ダニエルといった実力者を招き入れたことで、チーム力は明らかに上昇している。第28節・群馬戦に2−1で勝利し、J1昇格プレーオフ出場圏内の6位へと浮上。その順位を現在まで維持しており、直近5試合も2勝3分と負けなし。着実に勝点を積み重ねることに成功している。ダニエル加入後から4−5−1のフォーメーションを敷いているが、注目は1トップか。ラドンチッチ、高松大樹が別メニューという情報も入っており、林、伊佐耕平、後藤優介らが流動的に起用されている。それぞれタイプの異なるアタッカーで、先述の別メニュー組が復帰する可能性も踏まえて「全く違う顔になる」と反町監督も警戒する。この辺り、両指揮官の読み合いも見物だ。
大分の選手構成を見ると、188センチの高木和道、186センチのダニエル、183センチの安川有、181センチの若狭大志と180センチ超の大型選手が揃っている(そこに193センチのラドンチッチが加わる可能性もある)。もちろん松本にもエアバトルに長けた選手は多いだけに、今節はセットプレーやロングボールへの対応などで激しい空中戦が見られそう。1対1の局面でどれだけ競り勝つことが出来るか、またセカンドボールの拾い合いも勝敗を左右するカギとなるだろう。
以上
2014.10.10 Reported by 多岐太宿
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