千葉の怒涛のゴールラッシュの始まりは、60分の森本貴幸の先制ゴールだった。前半から千葉はフリーでもシュートを決められずにいたが、森本は佐藤健太郎のロングパスを福岡守備陣の背後で受けて右足でトラップするとすかさず左足でシュート。その素早い動きもあって福岡のパク ゴンと堤俊輔は寄せに行ったがシュートは防げず、ボールは福岡のGK神山竜一が伸ばした手をかわすようにバウンドしてゴールネットを揺らした。
立ち上がりから互いに攻守の切り替えが速く、攻め合う展開ながらも、セカンドボールへの反応やボールの保持率で福岡を上回っていた千葉。だが、シュートの精度不足でゴールが遠かった。しかし、森本の先制点で福岡が浮き足立つと、千葉が一気にたたみかける。先制点の2分後、幸野志有人の大きなサイドチェンジのパスを受けた中村太亮が、フェイントで福岡の三島康太のスライディングをかわし、利き足とは逆の右足のシュートで追加点を奪う。追加点の3分後には福岡のCKからカウンター攻撃を仕掛け、町田也真人のパスを受けて左サイドを突破した幸野が右サイドへパスを出すと、そこに走りこんでシュートを打ったのはセンターバックのキム ヒョヌン。カウンター攻撃のチャンスがあってもランニングのコースやスピード、パスの方向やスピードに課題があり、得点できないことが多い千葉にとっては珍しくうまく攻めきった形の爽快感のあるゴールシーンだった。
前回対戦時(第17節)と同様に福岡は前からプレスをかけた。だが、前回対戦時はイージーミスの多発で自滅気味だった千葉は、今節では運動量を増やしてプレスをかわすパスワークを展開。福岡は「思ったよりもうちのプレスがハマらなかったので、そこでちょっと前に行きにくくなったのかなと思う。後半はちょっと引いてしまって、ウチのディフェンスのギャップを突かれて簡単に失点してしまった」(神山)形になった。その一方で、福岡は前線にボールを入れ、フィジカルの強い酒井宣福が起点になってのチャンスメークを狙った。だが、マンマークではなかったもののスピードのあるダイナミックなプレーが持ち味のキム ヒョヌンが酒井に対応する場面が多く、狙っていたほどには決定機を作れなかった。また、後ろからパスをつないで組み立てる際に連係ミスでボールがタッチラインを割るなど、攻撃の細部のミスやシュートミスが結果に響いた。攻守で狙っていた形が機能できなかった時にどう修正してリズムをつかむか。対応力の課題が残った一戦となった。
球際で体を張って前でのボール奪取を狙い、攻撃時は前に出て行く動きで、千葉の攻守に『前へ』の意識の高さを体現していた一人である佐藤勇人。彼は試合後に「自分は毎試合メンタルの部分で相当気合を入れてやっているし、今日も引き分けは本当に要らないと思っていた。勝点3を取ることしか考えていなくて、そのためにはいかにボールを相手から奪って、ルーズボールを拾って、いかにマイボールの時間を長くするために自分のプレーを前に、前にという感じで、守備でも攻撃でもチームに勢いをもたらすようなプレーをしたいと思っていた。それができてよかったです」と話した。チームとしてディフェンスラインが下がり過ぎないようにコントロールし、高い位置でボールを奪いに行けたから前への推進力がある攻撃ができた千葉。だが、89分から2回、中盤の真ん中で福岡の森村昴太から平井将生への縦パスを簡単に通された場面があった。佐藤勇人は「一瞬間延びしてパスの出し手にウチが行けていなかったし、受け手のところにも強く行けていなかった。点差が離れたことによる気の緩みは失点につながりかねないので、そこでしっかり締めていくのが今後の課題」と反省。また、福岡は前に出てくるチームで背後にスペースがあったが、引かれて守備ブロックを作られた時にうまく攻められるかという課題は残っている。
以上
2014.10.05 Reported by 赤沼圭子
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