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【J2:第35節 岐阜 vs 山形】プレビュー:まさに正念場。5戦勝ちなしで2人の出場停止選手を抱える岐阜は、プレーオフ進出を目論む山形の牙城を崩し、上位進出の火を再び灯せるか(14.10.03)

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『J1昇格を決めた首位・湘南を相手に無失点』と書けば、見栄えはいいかもしれない。しかし書き換えれば、その内実はシュート2本で5試合勝ちなしというもの。上位を目指している以上、引き分けというこの結果に満足する選手は誰一人としていなかった。

ここ5試合で3得点。得点力の低下がチームに大きな影を落としている。それでもリーグ5位の得点力を誇る岐阜であるが、対する山形はリーグ4位の33失点という鉄壁ぶり。愛媛に0-4の大敗を喫してからは3戦不敗のわずか1失点とリカバーに成功しており、プレーオフ圏内まで勝点差『2』の7位にまで肉薄している。この堅守を破らなければ勝利への活路を見いだせない岐阜はしかし、さらに難しい状況で試合を迎えなければならない。2試合出場停止中のヘニキに加え、4枚の累積警告によって高地系治も出場停止。今季の岐阜は誰が出ても戦えるチームに変貌を遂げているが、宮沢正史が「ウチは系治が前を向ければ一番良い状態」と話すように、“攻撃の頭脳”を担ってきた背番号6の不在が痛手でないと言えばウソになる。宮沢は「いないのは残念ですけど、みんなでカバーしていかないといけない」と強調した上で、攻撃再生への課題を口にする。

「(第33節の)熊本戦で(遠藤)純輝が決めた2点目のような(縦に速い攻撃)シーンも増やしていかないといけない。例えばクレイトン(ドミンゲス)が入って、当然、良い部分も悪い部分もある。ボールを回しながらタメができるぶん、攻撃が遅くなる傾向もあるので、それをいかに組み合わせていけるかですね」

つまり速攻と遅攻の使い分けだ。進化を見せているボールを保持する戦いはリズムを生む上でも重要だが、それに固執するとゴールに結び付かない。当然ながら相手の守備陣形が整う前に攻め切ることがゴールの確率が最も高いものだが、かと言って縦に急ぎ過ぎればミスの確率が増え、守備に追われる場面が増えるだろう。水物でもあるゴールを呼び込む作業は簡単ではなく、出場する選手の特徴によって攻撃の表情が変わっていくものでもあるが、状況に応じて攻めのイメージを共有したい。

もっとも、ラモス瑠偉監督は守備を信念に置く指揮官である。1対1の球際、セカンドボールワーク、走力で負けないことこそ、最も大事にしてきた要素。結果的に総失点が多いとはいえ、完全に近いマンツーマン守備を経験したおかげもあってか、失点の止まらなかった一時に比べれば、目に見えてその数字は減少傾向にある。山形も1トップ2シャドーが前線から激しくプレッシャーにくることが予想される中、良い攻撃に転化するためにも、岐阜がここで負けるわけにはいかない。アグレッシブに、勇敢に。手堅くもアグレッシブな守備を敷く山形が3バックシステムであることを考えれば、マッチアップしやすい3バックを湘南戦から踏襲する可能性もあるが、やるべきことは変わらない。

そして、自分たちのミスで何度も勝点を落としてきた岐阜において、最大の不足点が“勝ち切る力”にあることはもう言うまでもないだろう。目まぐるしく試合展開が変わっていくサッカーにおいて、重要なのは状況に応じて戦い方を統一できるかどうか。これについては最も広い景色が見えるポジションに位置する中村英之が「90分の中で、良い時間帯も悪い時間帯も必ず出てくるもの。その悪い時間のときにどれだけ50%を保てるか。悪いなら悪いなりにできることを最低限やることが大事」と語っており、相棒の阿部正紀も「バタバタしちゃうところをどうしても直したい」と心に誓う。仮にリードした状況で時計の針が進めば、必ず頭をよぎるであろうこの悪癖。密にコミュニケーションを取り合いながら、何が何でもこの魔物と決別したい。

今季のリーグ戦もいよいよ佳境、残りは8試合。5戦勝ちなしの岐阜にとっては文字どおりの正念場だが、7位との対戦はすなわち、勝てば上位との差が縮まることの裏返しでもある。プレーオフの参加資格こそないものの、改革を施した意味は岐阜にかかわる誰もが心に刻んでいる。強くて魅力のあるチームに変わるため、周囲の目の色を変えるため、未来に何かを残すため、上位進撃の灯火を簡単に消すわけにはいかない。なにより舞台は、聖地・長良川である。

以上

2014.10.03 Reported by 村本 裕太
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