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【J2:第35節 横浜FC vs 松本】プレビュー:ラストスパートへの再起動。前節の敗戦を乗り越え、愚直に目先の1勝と勝点3を積み上げるのは横浜FCか松本か。(14.10.03)

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一試合で様相がめまぐるしくなる今年のJ2。節ごとに順位が目まぐるしく変わり、特にJ1昇格プレーオフ圏内に向けた争いは激烈を極めている。今シーズン旋風を起こし2位を走り続けていた松本と、後半戦急上昇を遂げJ1昇格プレーオフ圏内を虎視眈々と狙う横浜FCの対戦は、お互いに譲ることが出来ない一戦であるとともに、混戦を考えると勝点3以外は考えられない。一方で、横浜FCは直近の4試合、松本は直近の5試合勝利がなく、一時期の勢いが落ちてきている。この試合は、両チームにとって、ラストスパートに向けて再起動を図る重要な一戦となる。

横浜FCの最近の傾向として気になるところは、ちょっとしたところで自ら勝点を手放してしまっているところだろう。特に、J1昇格プレーオフ圏内争いの直接対決となった直近の2試合では、第33節大分戦(9/23@ニッパ球)では勝点3目前のアディショナルタイムで同点に追いつかれ、前節京都戦(9/28@西京極)では、前半アディショナルタイムのラストプレーでの大黒将志のゴラッソから、京都にペースを渡してしまい、逆転負けを喫してしまった。京都戦後に山口素弘監督は「何もないところから相手に点を与えてしまっているようではなかなか勝点3を取れない」と述べたが、いずれも、集中を切らしてはいけない最後のプレーでの失点であり、山口素弘監督が口酸っぱく言っている「タフさ」が不足していたとも言える。両試合ともに先制はできていただけに、最後まで相手を上回り続けるタフさを持てるかが、この試合の大きなテーマとなる。

今節は、「追撃の丘」であるホームスタジアムのニッパツ三ツ沢球技場は毎年恒例の芝の養生期間にあたり使用できず、味の素フィールド西が丘での開催となる。しかしホームゲームであることには変わりはない。ホームゲームは途中5連勝を含んで9試合負けがない。チームの上昇とともに培ってきたホーム力を、もう1つの丘である西が丘でも見せつけたいところだ。

対する松本は、前節の札幌戦(9/28@アルウィン)で悔しい敗戦を喫した。松本のお株を奪うように、札幌がセットプレーで2点をリード。後半に自らアクションを起こして相手のミスを誘い1点を返すが、その1点にとどまった。松本の良さである堅守速攻をうまく表現できなかったが、一方で後半見せたアクションは、松本が身上としているハードワークが生きた場面だった。ショートカウンターにおける松本の良さ、セットプレーにおける松本の良さに対する研究が進む中、もう一度ハードワークをベースに、自らのスタイルをピッチに表現できるかどうかが、松本にとっての勝利の鍵となる。前節敗戦後の記者会見で、反町康治監督は「我々の良さを消さずにいいオクトーバーにしたい。ここでリトル反町が『今までと違うことをやるよ』とは言わないので(苦笑)。あくまで等身大のサッカーをやっていくしかない」とその決意を述べた。前節、磐田が勝利し3位との勝点差は5。磐田が息を吹き返す可能性は高く、ここで足踏みをすると、自動昇格圏へ黄色信号がともる。自らの良さを愚直に出していきたい。

今季の前半戦の対戦(5/11 第13節@アルウィン)では、中盤で激しい攻防を繰り返すが、70分に横浜FCのクリアが不十分なところを見逃さずに、岩間雄大が放ったシュートを犬飼智也がコースを変えて先制。そして、横浜FCが前掛かりになったところをGKのロングフィードから簡単に裏を取り追加点を挙げて松本が2-0で勝利。これも、ゴール前のクリアミスが、大きな差となって現れた試合。お互いの戦いの研究が進み、拮抗しているからこそ、ディテールの丁寧さが大きく試合を分けることになる。横浜FC、松本ともに、ロングボールを織り交ぜながら、小さいスペースを作っては消し、相手に揺さぶりを掛けながら、隙を作っていく作業を繰り返すことは間違いない。3バックを敷く松本に対して、4バックの横浜FCの間でマークのミスマッチも起きやすい。そういった、小さな隙を埋めつつ、相手の隙を見逃さないしたたかさが勝敗を決めるだろう。山口素弘監督、反町康治監督ともに、過去の対戦では相手のストロングポイントを消す采配を出し合っている。横浜フリューゲルスでの同僚、新潟時代は師弟関係、そして現在は監督としてのライバル関係。采配の面でも目が離せない試合になるだろう。

ここ数試合のJ1昇格プレーオフ圏内争いでは、どのチームも勝点3を取るのに苦労し、勝点1でとどまる試合が多く見られる。だからこそ、目先の勝利と勝点3は、チームの状況と意識を一変させる。最後の最後まで勝点3にこだわった戦いが見られるはず。選手同士の戦い、監督同士の戦い、サポーター同士の戦い。クラブの全てを賭けた戦いにぜひ注目してほしい。

以上

2014.10.03 Reported by 松尾真一郎
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