J2第34節、京都は西京極に10位・横浜FCを迎え撃つ。前節、首位・湘南に引分けた京都。川勝良一監督は、翌々日の練習までに中継の映像を三度見直したという。改めて悔しさがこみ上げる中で着目したのは「京都はいいゲームしたと思う。大黒のシュートはもちろん、工藤、中山の頭の良い動き、福ちゃん(福村貴幸)なんて、あんなに頑張っていた。速攻でも、湘南よりも京都の方が多かったし、相手は慌てていた。でも、湘南ばかりが評価される。京都の良いところをきちんと説明しようとしない」と、湘南の話題性にとらわれていた評価に苦言を呈した。
個人的には、「サッカーを正しく観ましょう」というのはほぼ無理だと思っている。どうしても偏る。相手チームのことは考えられない、という以上に、負けた時は考えたくない。
昨季の京都のラストゲームは何だったか? 昇格プレーオフ決勝だ。0−2で敗れた。あの時、正直、筆者は徳島のサッカーを評価できる余裕はなかった。一昨年のシーズン終了は、西京極。プレーオフ準決勝だった。0−4で大分に大敗。試合後、泣きながらスタジアムのトラックを周る選手もいた。あの瞬間、悔しさ以上の感情は湧きおこらない。
一昨々年、シーズン終了は天皇杯決勝だ。結果はもう書きたくもない。サポーターとの写真撮影中ずっと泣いていた選手もいた。
一つ、裏話ではあるが、試合後の選手のコメント取りで中山博貴に聞こうとしたら、中山はFC東京の顔見知りのスタッフに会い、互いに握手のために手を伸ばした。その時、ユース時代からの知り合いだろうFC東京の中心選手が横から入り、中山の握手を横取りし、笑顔で両手握手をして笑っていた。他愛もない冗談で、全く罪は無い、それどころか、仲の良さを表すユーモラスなシーンだ。でも、それに遭遇した筆者としては悔しさしかなかった。痛切に「負けるとはこういうことか……」と思い知らされた。翌日の新聞全国紙、京都のことなどこれっぽちも記事がない。全てFC東京だ。理不尽だと思った。
そして、今年もあと9試合、2カ月ほどでリーグが終わる。
あの悔しさを繰り返すの?
問いたいことはただそれだけである。今季のラストゲームは西京極だ。その時に、また悔しそうな顔して終わるの?
最終節が終わった瞬間に、「あと2試合。絶対勝つぞ!」と、言いたいと思わない?
そのためにどうするか、「勝つしかない」のである。昇格プレーオフのために、勝利のみである。体裁、なりふり、構っていられない。勝てばいい。守らなければならないというのなら、全員がペナルティエリアに入って守っても、こちらは何も文句はない。あの悔しさに比べれば、それくらいのこと、だ。その必死さを見せてくれるかどうか、選手に期待…、というよりも問い詰めたいくらいである。あの悔しさはもう絶対嫌でしょう? と。
対戦相手は横浜FC、何よりも大事なのは、現在、京都が9位で横浜FCが10位であること。勝点差はわずか1。プレーオフ圏内の大分は勝点50、京都、横浜FCはそれぞれ勝点46、勝点45である。つまり、横浜FCは京都に勝てば、昇格プレーオフに近付けるという強い意識があるということだ。
横浜FCはここまで得点数36(リーグ16位)。主な得点者は野上結貴4得点。野村直輝3得点、黒津勝3得点、パクソンホ3得点…と、この得点数がずらりと並ぶ。悪く言えば得点源がおらず、良く言えば、どこからでも点が取れるということである。
前回対戦は大黒将志が相手GKのキャッチミスを逃さず得点し、横谷繁発案、石櫃洋祐シュートのトリックFKが決まって2−0で勝利している。だが後半は相手のクロス攻撃を粘り強く跳ね返すという展開だった。このクロスの入りで相手に成長が見られれば脅威になるだろう。試合を左右するポイントとなり得る。
京都・川勝監督は横浜FCについて「自陣で回す時間が結構長い」と口にしており、ポゼッションからサイドや中央を突いてくる攻撃を見せてくるだろう。相手の攻撃を見極め、京都はいつものボール運びからフィニッシュへと向かいたい。
悔しい思いはもうたくさんだ。プレーオフ圏内へ。京都の覚悟を見せてもらいたい。
以上
2014.09.27 Reported by 武田賢宗
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