第23節は踏ん張って勝った下位チームが多かったが、前節は大宮だけが勝ってJ1残留争いは、17位の大宮から13位の清水までの5クラブが勝点3ポイントの中にギュウギュウに詰まってしまった。そのド真ん中・残留ギリギリの15位の椅子に座り続けている甲府が今節ホーム・山梨中銀スタジアムに迎えるのは6位・神戸。甲府はもっと上の椅子に座りたいのだが、決定力不足の中で守備力を活かしてよく踏ん張っていると評価してもいい15位ギリギリ。昨年は大分や湘南という予算規模で同程度か甲府より少し少ない仲間がいたが、今年は甲府がダントツの最下位の予算規模で、なかなか厳しい戦いをこの先も強いられる。何が厳しいのかというと決定力。決定機や決定機の一歩手前付近までは行くものの、シュートが決まらない。J2栃木から完全移籍で加入したFW・クリスティアーノのJ1での戦力化に予想以上に時間がかかっていることも決定力が上がらない理由の1行目か2行目あたりに書いてある。パンチ力のある魅力あるシュートを打つけれど、ホームラン性のシュートが少なくない…。予算規模が20億円も30億円もある余所様のようにJ1で実績のある選手を獲得できないという財布の問題もあるが、それを承知で戦っているのだから決定力向上のための努力を続けるだけ。残り10節となると一喜一憂してしまいがちだが、ここから腹を据えて戦う必要がある。ジタバタしても仕方がないところにやってきている。
神戸とは第13節にノエスタで戦って0−1で敗れている甲府。シュート数は甲府が14本・神戸が6本で、神戸のストロングポイントを抑えたなかなかいい内容の試合だったが、少ない決定機に決められて敗れた。城福浩監督は「前回の対戦を見直しても、『これで勝てないのか』と思う試合がある。あの内容の試合をやって勝てないのを不運だと思っているようだと次も勝てない。あの内容の試合をやっても勝てないのが我々の立ち位置だと受け止めないといけない。我々の戦いで勝点3を取りたい」という趣旨の話をする。
「我々の戦い」は中2日なので前節とはメンバーが何人か代わることになるが、ケガ人が多い甲府の台所事情は思ったほどのスケジュールでは改善されていない。ケガ人の復帰が遅れているのだ。また、8月末に加入した、切り札になってほしい新加入FWキリノのコンディションもまだまだまだまだ。今節はクリスティアーノを軸に、大卒ルーキーの活躍が重要になりそう。稲垣祥(日体大卒)、下田北斗(専修大卒)の2人がその人たちだが、運動量やアグレッシブなプレーにプラスして、半年間J1で揉まれて身につけた“質”を判断でも技術でも発揮してほしいところ。それなくして、得点力が1試合平均0.75打線の甲府が勝点3を取る可能性を高めることはできない。また、ボランチや前線でのパスミス、連携ミスを減らさないと、ショートカウンターを受けて全力で戻る守備が増えてエネルギーを浪費してしまう。そうなると、押し上げのないカウンター攻撃やクリスティアーノが孤立する攻撃となってしまう。
J1リーグ中断前の第14節終了時点で3位だった神戸。再開後は少し勝点を重ねるペースが落ちたものの現在6位で、来年のACL出場圏内が充分に狙える位置にいる。ラスト10試合で3位以内に滑り込むためには下位には負けていられない。4−2−3−1をベースにしながらも、決定力のあるマルキーニョスが孤立するのを防ぐために2トップを併用しているのだと思われるが、今節は鹿島時代からのコンビネーションを活かせる田代有三は出場することが難しそう(神戸リリース)。マルキーニョスの1トップで行くのか、ペドロジュニオールとの2トップにするのか興味深い。
甲府の守備はこの2人には特に気をつけないといけないが、パスの出し手に対しても距離を詰めて自由に蹴らせないタイトマークが求められる。前節の名古屋戦では、“試合の中でコンディションを上げさせたい”という意図もあってキリノを投入して、攻撃のギアチェンジが成功しなかった。今節は先発もベンチメンバーにもチャンスに飢えた選手が含まれているので、前節以上の最大値を発揮できるはず。前線の質が特に高い神戸に対して、甲府がどう対応して「我々の戦い」を見せるのか。腹を据えた甲府の戦いで神戸から勝点3をもぎ取りたい。
以上
2014.09.22 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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