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【J1:第25節 横浜FM vs 広島】プレビュー:調子の波が対極であるライバル同士のマッチ。若武者・皆川と老練な壁・中澤&栗原のバトルに熱視線が注がれる(14.09.22)

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現在、横浜FMが10位で広島が7位。昨年はリーグタイトルを最後まで争い、今年の元日に天皇杯決勝の舞台も踏んだライバル同士の対戦としては、少々寂しい中位対決となってしまった。しかしながら、単に勢いだけではない試合の機微を読み取れる“大人のチーム”同士の対戦だけに、楽しみな一戦であることに違いない。

ただし、前節を見る限り、チーム状況は180度、異なるように思う。まず調子を上げているのは広島だ。新潟に2−0。7月23日の第16節・柏戦(5−2)以来となる複数得点による白星を得た。
「広島らしいサッカーが戻ってきたと思うので、これを継続していきたい。ワンタッチで当てて流れるような攻撃とか、うまくサイドを崩して中で合わせるとか、流動性のある攻撃が広島らしさだと思います。今日は、その『らしさ』がいくつも出てきていました」
2点目のゴールを決めた石原直樹がそう胸を張ったように、内容的にも上々。特に高萩洋次郎、柏好文の連係で左サイドをえぐり、青山敏弘が詰めて軽快に奪った1点目は、“広島らしさ”を象徴するシーンだった。また、この試合では新潟が極端なオールコートプレスを敢行してきたが、それにもめげず、「前へ」の姿勢を貫き攻めたのが、勝因だったのではないか。この勢いをさらにふくらませようと、横浜へ乗り込む。

一方、ヤマザキナビスコカップ準々決勝を含めると4連敗中の横浜FM。前節の鹿島戦は0−1の僅差ではあったが、内容的には完敗だった言わざるを得ない。それを顕著に表したデータが「シュート総数1本」…。試合後の選手たちは悔しさを通り越していたのか、どこかサバサバしていた。「スムーズにボールが前に入っていかないし、シュートもほとんどなかった。勝負球を入れる動き出しもなければ、そういうところでみんなの意思も統一できていない」(兵藤慎剛)と、攻撃の形が全く見えてこない。とはいえ、そこまで至る過程ではボールを握り、押し込めるのに「ボールをこねすぎて結局、攻めきれないというか、パスを後ろに戻してしまう」(小椋祥平)のだから、歯がゆい。勝負どころで広島とは正反対に「後ろへ」行ってしまうのだ。

良い時は違った。今年元日の天皇杯決勝の1点目のシーンを思い出してほしい。引いて守った広島の守備網に対して、ボールを下げず、強行突破を図った小林祐三の勇気あるドリブルが、齋藤学のゴールを呼び込んだ。また、前回のアウェイでの広島戦(第12節)では、後半11分に広島に先制されるも、最後まで前だけ見据えて攻め続け、アデショナルタイム突入後に齋藤学、伊藤翔がゴールを決めるスーパー逆転劇を演じた。そういった戦術をも超える“熱さ”を取り戻すことが、連敗脱出への糸口になるのかもしれない。

最も楽しみなマッチアップは、広島の1トップ・皆川佑介vsJ屈指のセンターバックコンビ、中澤佑ニ&栗原勇蔵。アギーレジャパンに選出された大卒ルーキーの若武者が、2枚の重厚な壁に対し、どう挑むのか。186cm・84kgの体躯を生かした自慢のポストプレーが、どこまで通用するかも見逃せない。だが、日本代表の先輩としての意地が中澤、栗原にはあるはず。その激しい局地戦を堪能したい。

以上

2014.09.22 Reported by 小林智明(インサイド)
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