ガンバ大阪のホームゲームであることを改めて強調するかのごとく、G大阪サポーターがスタジアムのほぼ全体を青と黒で彩れば、セレッソ大阪サポーターもゴール裏にビッグフラッグを掲げて応戦。試合前から両サポーターの熱気がスタジアムにたちこめた万博記念競技場。日本代表のアギーレ監督も見守る中、今年2度目の『大阪ダービー』が幕を開ける。
その空気感にやや気圧されたのか、両者ともに堅さの感じられる立ち上がり。2分に、この日のファーストシュートをG大阪のMF阿部浩之が放ったものの、それ以降は両者共に思うようにゴール前に詰め寄れず、シュートまで持ち込めない時間が続く。試合後「22人全員があんなに気合いを漲らせている試合はそうそうないと思うので、すごく楽しかった」と振り返ったのは、今季リーグ戦初先発を飾ったG大阪のDF金正也だが、やはり『大阪ダービー』ということもあってだろう。互いのこの一戦に賭ける思いが試合を熱く、面白くさせている一方で、逆にそれが重荷になり1つ1つのプレーにスムーズさを欠いているようなゲーム展開が続く。
そんな流れを一変させるべく、均衡を破る先制点を叩き込んだのはG大阪だった。それまでC大阪ディフェンダーの背後をとったり、FWパトリックを起点にして攻撃を仕掛けたりと手を替え品を替えて攻撃の糸口を見出そうとしていた中で、37分。ボールをもったMF宇佐美がゴール前中央から、それまでの攻撃の形にはなかった、針に糸を通すかのようなピンポイントのロングパスを前線に送り込むと、詰めたのはFW阿部。ゴール前に入って行くスピード、トラップ、左足でのシュートまでパーフェクトな流れでゴールネットを揺らし、G大阪が待望の先制点をものにする。
アウェイの地で先に失点したことで、難しい試合展開になったことは間違いないが、残留争いに巻き込まれている今のチーム状況や『大阪ダービー』ということもあってだろう。ビハインドを負う展開にもC大阪に気落ちする様子は見られない。特に1-0で折り返した後半は、立ち上がりからFW杉本健勇に代えてFWフォルランを投入する中で、攻撃がスピードアップ。ただし、残念ながら崩しのアイデア、ラストパスやシュートシーンでの個の質の部分で精彩を欠き、相手を脅かすような迫力のある攻撃は仕掛けられない。62分には好調をきたすMF南野拓実がこの日、初めての見せ場を作り、果敢にドリブルでエリア内に侵入して左足でシュートを放つがわずかにゴール左へ流れてしまう。
互いにチャンスは少ないながらもなくはない、という試合展開が続く中、「1点」を求めて両監督が動き、G大阪は70分にFWパトリックに代えてFW佐藤晃大を投入。これに対してC大阪も78分にFW永井龍に代えてFWカカウを投入するなどしながら好機を伺う。この采配が吉と出るか凶と出るか。つまりは『ゴール』に繋がるか、否かが注目を集める中、それを『吉』つまり『ゴール』に繋げたのはまたしてもG大阪だった。
4分のアディショナルタイムに突入する直前の89分。FW佐藤と同じく、攻撃の活性化を図るべく投入されたMF二川孝広がシュート。そのボールは一度はC大阪のGKキムジンヒョンに弾かれたものの、こぼれ球に詰めたFW佐藤が右足でゴールにおさめる。なんとか試合を振り出しに戻そうとハードワークを続けていたC大阪には痛すぎる失点。後半に入り勢いを増したC大阪の攻撃に中盤の選手を含めた盤石の守備力で対応し、落ち着いて試合を運んでいたG大阪には嬉しい追加点――。両者のここ数試合の攻撃力を思えばこそ『打ち合い』が予想された今回の大阪ダービーは、意外にも堅い展開になったが、数少ないながらもチャンスを確実にゴールにおさめたG大阪が、勝利をものにした。
以上
2014.09.21 Reported by 高村美砂
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