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【J1:第24節 名古屋 vs 甲府】プレビュー:甲府との今季3戦目にして初勝利を狙う名古屋。勝負の8日間の初戦を、勝利で飾ることができるか。(14.09.20)

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勝負の8日間が始まる。現在降格圏すれすれの12位に位置する名古屋は、今節で15位甲府と、そこから中2日で16位C大阪と、さらに中3日で11位新潟と戦う。いまだJ1残留争いから抜け出せずにいるチームとしては、連勝で降格圏から遠ざかりたいところ。本来ならば上位を争う中で使いたい「6ポインター」、つまり勝点6の価値がある試合が続くという意味で、この8日間は重要になってくる。

その“1回戦”となる甲府戦だが、今季はヤマザキナビスコカップでも対戦しており、これがシーズン3度目の対戦。成績は2戦2敗と分が悪い。初戦は3月のヤマザキナビスコカップで、この時の名古屋は若手主体の思い切ったメンバー構成で臨み、0-1で敗れた。2戦目は4月のアウェイゲームで、負傷者続出の折というエクスキューズはあったものの、0-2の完敗。この試合を境に西野朗監督の選手起用には変化が生まれ、矢野貴章がサイドバックで、またボランチでは田口泰士がスタメンに定着するようになっている。1度目と2度目ではメンバーはほぼ入れ替わっており、西野監督はそれを「チーム全体で負けている」と表現する。監督以下、3度目の今回は負けられないという思いも強い。

しかしながら、名古屋と同様の理由で甲府も負けられない状況は続いている。16位C大阪とは勝点1しか差はなく、17位大宮とも勝点は5差だ。持ち前の堅守で失点はリーグ7位の少なさだが、いかんせん得点が少ないのが悩みの種。エースのクリスティアーノが4得点、盛田剛平も4得点と、勝つための資源が供給不足の状態だ。前節では13節ぶりに前線に河本明人が復帰しまずまずの動きを見せたが、決定力の面での特効薬にはなれていない。リーグでは5月17日の第14節以来の勝利を挙げた前節を浮上のきっかけに、連勝で“勝点6”を獲得したいのは甲府も同じ気持ちだろう。

名古屋は前節、横浜FM戦では堅守速攻のスタイルで快勝を収めたが、同じく堅守速攻スタイルの甲府を相手に同じ戦い方は展開できないと見るべき。西野監督もその点については「押し込んでも崩しきれない、そこから鋭いカウンターが来る戦いをイメージする」としている。モデルとしては天皇杯ラウンド16の群馬戦か。9人がかりで自陣バイタルエリアからペナルティエリアのスペースを消された一戦は、結局田中マルクス闘莉王のパワープレーで1点をもぎ取るのが精一杯だった(得点はレアンドロ ドミンゲス)。あそこまでの守備ブロックはさすがにないだろうが、守備時には最終ラインが5バックになる甲府の守備ラインを崩すには、格好のテストケースであることは間違いない。その上で攻撃のイメージを膨らませるのは、永井謙佑だ。

「ウチにはジョシュア(ケネディ)も(川又)堅碁もいますからね。高さがあるので、自分がサイドならクロスの選択肢ですね。天皇杯(4回戦)を思えばカットインするのは厳しい。僕は得点というよりチャンスメーカーのイメージですかね。あとはセットプレー。ニーヤン(レアンドロドミンゲス)もいるし、トゥさん(闘莉王)、(矢野)貴章さんもいる。牟田(雄祐)はまだまだかな(笑)。でも、セットプレーはカギになってくるでしょう。今季は少ないかもしれないけど、それでもここぞという時にズドンと決めているので」。

いまだ対戦相手からは「名古屋はチームというより個人能力」という言葉が聞かれるが、逆に言えばそれだけの脅威となっているということ。ストロングポイントを活かしきるのも指揮官のスタイルであり、連戦の疲労を見据えるならばセットプレーは省エネの得点方法でもある。永井の指摘通り、セットプレーは甲府戦のひとつの見どころであるかもしれない。

さらに注目はサイド攻撃だ。天皇杯の群馬戦の試合後、闘莉王は「真ん中に行き過ぎ。外を崩さないから中が開かない」と攻撃陣に苦言を呈したが、西野監督もまたその点を指摘する。
「人が多くいるところを崩していくのが前提。外があっての中央、中央があって外が生きるというイメージや、グラウンダーがあったから勝てた空中戦やパワープレーがあったとか、そういうことを共有しながら(勝負できる)ポイントに入っていかなければいけない。確かにパスが足元ばかりのパスや、10人の守備の前でボールが動いている状況は当然いけないことだけど、わかっていてもなかなかそういうところにいけないもの。群馬戦の時はツートップにしたらどうかなと思ったが、永井も足元では窮屈だし、玉田(圭司)は前線から降りてくるから前線の深みができない。ターゲットをしっかりにらんだ上で組み立てて、サイドアタックは考えていかないと崩せないと思う。それにはミドルシュートとか、五分五分のチャレンジのボールも使いながら、試合を動かしていかなければ」。

中央のフィニッシャーには2試合連続ゴール中の川又が調子を上げてきている。天皇杯は新潟で出場しているため、リーグ戦に集中するストライカーは「休める分、しっかり準備したい」と意欲も十分。周囲との連係も日に日に良くなってきており、今や1トップのファーストチョイスだ。彼の3試合連続ゴールにも、期待が集まる。

シーズンも終盤に差し掛かり、疲労も徐々に溜まってくる頃。その最中での8日間3試合の日程はハードなものとなる。過密日程に対する最高の回復薬といえば、やはり勝利である。敗戦の疲労感はその後のリカバリーにも負の影響を与えるが、勝利は疲労感も軽減してくれる。重要性の高い連戦に向かう名古屋としては、まず初戦で甲府に3戦目での今季初勝利を得て、心身ともに勢いをつけていきたいところだ。

以上

2014.09.19 Reported by 今井雄一朗
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