前節終了時の8位・千葉が4位・北九州と対戦したJ2第31節。千葉が56分に北九州に3点目を奪われ、スコアが0−3という苦しい状況下の70分に交代出場し、82分に一矢を報いるゴールを奪ったのがオナイウ阿道選手だった。今季、埼玉県・正智深谷高校から加入したオナイウ選手は、2010年からJ1昇格争いを続け、加入選手の多くが即戦力となる移籍選手や大学卒選手だった千葉にとって、2010年に加入した戸島章選手以来の高校卒ルーキーだ。
1月18日の千葉の新体制発表会見後の囲み取材で、J2に対する印象やどう戦っていこうと考えているか聞くと、オナイウ選手は次のように答えた。
「試合数が多いと思うので、自分も出場する機会が多くなるかもしれないから、そういうところで自分をアピールして、どんどん自分を出していけたらいいと思っています。動きの質をもっと上げて、動いて相手の裏に出て、そこから得点に絡むとか自分が点を取るということはやっていかないといけない。それは去年(2013年)、千葉の練習に参加した時から考えています。(今季の得点数の目標を聞かれて)何点取るかというのは、自分がまだ試合に出られるかわからないので何とも言えないですけど、試合に出たら毎試合で点を取るくらいの気持ちでやっていかないと、(スタメンの)ポジションは取れないと思っています」。
だが、2月の沖縄キャンプ中に右足第5中足骨を骨折し、高校選抜チーム選考合宿を辞退するなど出遅れてしまった。それでも、ナイジェリア人の父譲りのフィジカルの強さを生かしたダイナミックなプレーや物怖じしない性格もあって、徐々に台頭。J2では第5月31日の第16節・愛媛戦で初めてベンチ入り。その後は7月20日の第22節・栃木戦から3試合連続でベンチ入りしたものの出場なし。明治安田生命J3リーグでJリーグ・U−22選抜の一員として8月10日の第21節・福島戦で61分から交代出場し、8月17日の第25節・盛岡戦ではスタメン出場(62分に交代)を果たしたが無得点だった。
しかし、J2リーグ戦で出場機会が少ない選手が多くスタメンに入った8月20日の天皇杯3回戦・柏戦で78分に交代して公式戦初出場を果たすと、延長後半の108分に先制点となる公式戦初ゴールをゲット。柏に追いつかれてPK戦にもつこれこんだが、4番目のキッカーのオナイウ選手はPKもしっかり決め、チームはPK戦12−11でラウンド16に進出した。一躍ヒーローとなったオナイウ選手は「点を取った時は本当に気持ちがよかったですし、みんなが集まって来てくれてうれしかったです。リーグ戦でチャンスをもらったら、チームの勝利に繋がるようにまた絶対に点を取りたいです」と笑顔を見せた。
天皇杯の活躍もあって8月24日の第28節・岡山戦で65分に交代出場し、J2リーグ戦初出場を果たしたもののチームは0−1の敗戦。続く第29節では初スタメンでのフル出場で、チームは森本貴幸選手の得点で1−0の勝利を収めたが、水戸に主導権を握られる苦しい試合だったこともあり、試合後は「初スタメンでモチベーションは高かったんですけど、結果が出ていないので。なかなかボールをキープできなくて連続で相手の攻撃になってしまったので、そこはまず反省しないといけないかなと思います」と話した。
9月6日の第30節・京都戦もスタメンだったが点は取れずに57分に交代し、ベンチ入りしたものの出場はなかった9月10日の天皇杯ラウンド16を経ての第31節でJリーグ初ゴール。天皇杯3回戦は山中亮輔選手のクロスを受けての右足でのシュートだったが、第31節ではナム・スンウ選手のクロスを森本選手がゴールを背にして胸で落としたのを左足で合わせたダイレクトシュートだった。
うれしいはずのJ初ゴールだが、敗戦とあって得点シーンを「あの形は練習でやっているので。モリさん(森本選手が)が自分のいるところにしっかり落としてくれたので、周りに人はいっぱいいたんですけど、しっかりボールを叩くことを意識して蹴ったらゴールの枠に飛んで行ってくれたのでよかったです」と振り返ったオナイウ選手に笑顔はなかった。そして、筆者が「リーグ戦の初ゴールは天皇杯でのゴールとはやはり違いますか」と聞くと「状況が違うので感覚的には特別なものはないですけど、やっぱり点を取っていかないといけないポジションなので、もっと短い時間でも仕事ができれば本当にチームのためになる。これからも続けていきたいです」と神妙な表情で答えた。
実は、初めてベンチ入りしてチームが勝った第16節で、オナイウ選手は試合に出ていないのに試合後にゴール裏でのマイクパフォーマンスを行った。また、勝ち試合では選手が千葉の伝統の勝利のでんぐり返しのあとに最近はラインダンスも行っているが、明るい性格のオナイウ選手は選手の列の前に出て踊り、盛り上げ役も務めている。残念ながらJ初ゴールの試合ではそういったパフォーマンスができなかったが、オナイウ選手が次に得点した時は勝利のパフォーマンスで満開の笑顔を見られることを願っている。
以上
2014.09.16 Reported by 赤沼圭子
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