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【J1:第22節 C大阪 vs 神戸】レポート:傷だらけになりながら奮闘も、C大阪は失意の逆転負け。神戸は日本代表MF森岡の劇的決勝弾で4カ月ぶりの連勝!(14.08.31)

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8月最後のJ1リーグ戦となった第22節にて実現したC大阪と神戸の関西ダービーは、神戸が、日本代表に初選出されたばかりのMF森岡亮太による試合終了間際の劇的な決勝弾により、2-1と逆転勝利を収めた。勝った神戸は、8月の1カ月間で3勝目。4月以来、約4カ月ぶりの連勝で、勝点を35に伸ばし、上位戦線に踏みとどまった。逆に、C大阪はこれでリーグ戦11試合勝ちなし、マルコ ペッツァイオリ監督が指揮をとってからの9試合で4分5敗と、またしてもトンネルを抜け出せず。J2降格圏内の16位から抜け出すことができなかった。

試合後のヤンマースタジアム長居は、実に対照的な表情を映し出していた。神戸サポーターがアウェイ戦勝利後に行う『ピクニック』の歌をアレンジしたアウェイマーチが高らかに響き渡り、クリムゾンレッドは歓喜に包まれていた。クラブ生え抜き3人目となる日本代表戦士となった森岡への激励や応援チャントも止むことはなかった。その一方で、ホームの桜色のサポーターのショックは計り知れず。リーグ戦ではホームで5カ月間勝利から遠ざかり、関西ダービーという絶対に負けられないライバル対決にも敗れてしまったことで、大ブーイングは必然のものだった。「素晴らしいサポーターがたくさん応援に駆けつけてくれたが、サポーターをがっかりさせることにもなってしまった」とペッツァイオリ監督。受け入れがたい敗戦を、現実に捉えざるを得なかった。

ただし、試合に関しては、「約70分くらいは、我々のほうが本当に優れたチームだった。本当にやりたいサッカーができていたし、本当に多くのゴールチャンスを作っていた」とイタリア人指揮官も胸を張るように、C大阪が優勢に進めていた。ホーム初見参となったカカウがオープニングシュートを放ち、南野拓実が前節出場停止の鬱憤を晴らすべく、トップ下で躍動。開始8分には、その南野が、平野甲斐のヘディングでのポストプレーから、右足ボレーシュートを叩き込んだ。その後も、平野や長谷川アーリアジャスール、そして日本代表に1年ぶりに選ばれた扇原貴宏らの献身的なプレス、山下達也と藤本康太の両センターバックの奮闘、カカウのゴール前での飛び込みや攻撃のアクセントとなるプレーなどもあり、「前半に関しては、攻撃もいい形でできている場面も多かったし、本当に相手に決定的なチャンスを与えなかった」(扇原)。

C大阪として、惜しむらくは、先に追加点を決めきれなかったこと。前半にカカウと平野、後半南野に2度チャンスがあった。そして、最たるところは、フォルランだ。63分、安藤淳の絶妙な右クロスから、相手ゴールの目の前でフリーでヘッドを合わせられるシーンが訪れるも、叩きつけたボールは、枠を捉えられず。この場面が、この試合でのC大阪最後のシュートだった。また、30分に藤本、68分に長谷川と、負傷交代が続き、終盤には安藤もケガを抱えながらのプレーを強いられた。さらには、後半に、前線のフォルランとカカウの運動量が下がったのを皮切りに、チーム全体が疲弊していたことも、追い打ちをかけた。韓国代表GKキム ジンヒョンの度重なる好守でなんとかしのいだ時間もあったが、最後は力負け。逆転されたあとは、ピッチの桜色の戦士たちだけでなく、C大阪サポーターも、茫然自失となってしまったほどだ。

「もう……、悔しいです……」、試合後、平野が開口一番、振り絞るように述べたコメントが、チームの現状を代弁していた。それでも、「やっていることに対して、自分たちが不信感を抱くことが、一番ダメだし、やり続けて、それを本当に突き抜けたときに、勝ちというのがあると思う」と熱き18番も継続性の大事さを訴えれば、「こういうときこそ、選手、スタッフ、サポーター、全員が1つにならないといけない」と扇原も言うように、この悔しさをバネに、C大阪はクラブ一丸となって、同じ方向を向いて戦う必要がある。リーグ戦があと12試合残っているなかで、ここでバラバラになるわけにはいかない。

一方の神戸は、「後半よく自分たちのペースに持っていってくれた」と安達亮監督も言うように、前節同様、後半の立て直しが功を奏した。ハーフタイムで「とにかく幅を使ったほうがいいという指示を出した」指揮官のアドバイス通り、中央に偏りすぎた前半の攻めから一変、後半はフレキシブルな動きが生まれ出した。松村亮の途中起用など、采配も的中。そのなかで、ペドロ ジュニオールが2アシスト、森岡が後半だけでシュートを5本も放つなど、攻撃の迫力が増した。そして、最後の5本目を見事に決めきった森岡はさすがの一言。『さあ導け、その脚で、栄光の未来へ』という応援チャントそのものの活躍を示していた。

さらには、枝村匠馬とともに古巣対決となった試合で、「自分自身が日本に来るきっかけを与えてくれたクラブ。当然特別な想いがある」と試合前から述べていたシンプリシオの奮闘も、触れないわけにはいかない。「ファビオ(シンプリシオ)が決めてくれて、そこからまた落ち着いてできるようになった」と高橋峻希も言うように、価値ある同点ゴールでチームに安定をもたらした。ゴール後、「素直に喜べないところもあった」と、あえて喜びを表現しなかったところは、シンプリシオのC大阪へのリスペクトの表れだ。「街全体をはじめ、C大阪のすべての環境を僕自身はすごく愛していますし、またいつかできればいいですね」と、戦前に古巣への想いも吐露していた神戸の6番。いまやクリムゾンレッドの攻撃の象徴的な存在の1人が決めた恩返し弾や勝利を導くプレーに、C大阪が感じ取らなければいけないことも、多々あるように思える。

以上

2014.08.31 Reported by 前田敏勝
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