8月20日の天皇杯3回戦・柏戦では延長戦が終わって1−1、そしてPK戦を12−11で制してラウンド16進出を決めた千葉。78分から出場して延長後半(108分)に先制点を奪い、トップの公式戦初出場で初ゴールを記録した高校卒ルーキーのオナイウ阿道選手。互いに13人ずつが蹴り合ったPK戦で、柏の13人目のレアンドロ選手のPKをセーブした高木駿選手。彼らの活躍ももちろん千葉サポーターにとってうれしいことだが、長年、千葉を応援しているサポーターはアカデミー出身の佐藤祥選手の奮闘も喜んでいることだろう。
佐藤祥選手は今季途中からスタメンに定着した井出遥也選手と同期で、第2種登録だった2011年の第37節(シーズン終了2節前)の89分に交代出場(井出選手は同年の最終節・第38節)でJデビューした。だが、その第37節・F東京戦は敗戦で、試合後は次のように話していた。
「試合に出る時は楽しもうと思ったんですけど、チームが負けていたので、Jデビューしたけど、うれしさよりも負けていた悔しさのほうが強かったです」
試合ではボランチで出場し、物怖じすることなく外国籍選手を含めた先輩たちに積極的にコーチング。中盤でボールを奪い、パスの繋ぎにも絡むと前にも上がって行った。
2012年からの活躍が期待されたが、J1昇格を目指す千葉は毎年即戦力の中盤の選手を補強。佐藤祥選手は紅白戦やトレーニングゲームではボランチだけでなくセンターバックや両サイドバックでもプレーした。だが、リーグ戦出場はかなわず、天皇杯で2試合に出場したのみ。昨季はトップの公式戦出場ゼロだった。
今季もリーグ戦ではベンチ入りが3試合だけの状況下での天皇杯3回戦のスタメン出場。左サイドバックを務めた佐藤祥選手は、対面にいた日本代表経験者の工藤壮人選手や韓国代表のキム チャンス選手に粘り強く対応しながら守った。後半には果敢なオーバーラップでチャンスを作るなど持ち味を発揮し、終始、闘争心あふれるプレーを見せた。
試合後に話を聞いた時の佐藤祥選手は時折笑顔を見せながら、穏やかで落ち着いた表情だった。試合についての率直な感想をまず聞くとこんなふうに答えた。
「サポーターの方たちの声援のおかげで、すごくいい雰囲気で試合をやらせてもらって、自分は公式戦に全然出ていなかったんですけど、素直にすごく楽しかった。自分のプレーを冷静に振り返ると、もうちょっとできたかなという思いがあります。自分ではもっとできるという自信もあったから、守備のところでも『ああ、今のは違ったかな』とか考えながら、常に気を使いながらやっていたんですけど、そういうミスはありました。だから、まだまだだなと思います」
開口一番にサポーターの声援について語ったのは、日頃から「井出選手と一緒に活躍してほしい」という千葉サポーターの期待を感じているからだろう。
PK戦では9人目のキッカーとして登場し、柏の菅野孝憲選手が中央から動かなかったにもかかわらず、豪快にど真ん中に蹴りこんで決めた。
「あんなにみんなが蹴って自分に回ってきて、これでもう外したらしょうがないでしょ、と思って蹴りました。思い切りよく蹴れば入るんじゃないかと思って(笑)。コースを狙うのがあまり得意じゃないし、慎重に慎重にと思いながら蹴って外すのは嫌だったので」
度胸の良さに加え、自分ができることを熟知して生かそうとする彼らしいPKだった。
自分がどこまでできるか。そのうえで相手にどう対応するか。その判断力と対応力は、今季の明治安田生命J3リーグのJリーグU−22選抜チームでの出場経験(8月20日時点ではスタメン出場が4試合、交代出場1試合)によって磨かれた部分もあるようだ。
「J3リーグでの経験が今、生きているところはもちろんあると思います。公式戦をやらせてもらったことで、試合の入り方に気を付けることもできました。それに、今日は柏(の出場選手)にJリーグU−22選抜で一緒にプレーした小林祐介選手や木村裕選手がいたので、彼らの特徴もわかるし、こういう場で話ができてよかったです。
(JリーグU−22選抜チームは練習期間が短く、メンバーも試合によって違うことから)味方の選手や対戦相手の特徴を早く理解して、そこで自分の良さをアピールすることを求められるので、そういう部分が鍛えられたというのもあると思います。今日はJ1が相手だったのでどこまでできるか考えていたんですけど、最初に考えていたのと比べるともっとできなきゃダメだなと思いました。でも、経験できたことはよかったです」
今後に向けては「まずJ2リーグ戦に出ることが一番の目標です」と話した佐藤祥選手だが、8月24日は第28節のメンバーに入らず、安田生命J3リーグ第22節に右サイドバックでスタメン出場した。千葉でのスタメンへの道は険しいが、「もっとできる」ところを日々見せ続け、リーグ戦のスタメンでフクアリのピッチに立ってほしい。千葉のJ1昇格には着実にレベルアップしてきた選手の台頭による底上げが必要なのだから。
以上
2014.08.26 Reported by 赤沼圭子
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