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【第94回天皇杯 3回戦 柏 vs 千葉】レポート:120分間の激闘と26人にも及んだPK戦。柏の圧力に耐え抜いた千葉が、4年ぶりの千葉ダービーを制して4回戦へ進出!(14.08.21)

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両者は対照的だった。ほぼフルメンバーを組んだ柏に対し、17日の熊本戦から中2日の千葉は、これまで出場機会の少なかった選手を中心に多くのメンバーを入れ替えて臨んだ。
したがって前半は、柏がほぼハーフコートゲーム状態に押し込み、千葉は両サイドハーフまでディフェンスラインに下がり、6バック状態でゴール前を固める。その引いた相手に対し、柏はサイドアタック以外に攻め手がなく、圧倒的に押し込んだわりにはチャンスを作れない。前半のチャンスらしいチャンスといえば、40分の工藤壮人のポストプレーから小林祐介が放ったミドルシュートがバーを直撃したぐらいだろうか。

劣勢の千葉は、前半からボールを奪った後は、しっかりと攻撃につなげたいという意図はあったようだが、ほぼ見せ場を作れなかった。
「もっと自分たちはできるんだとセキさん(関塚隆監督)からも言われましたし、すぐに蹴ってしまっていたので、もっとつないでほしいと自分も要求しました」(山中亮輔)。
ハーフタイムの修正によって、前に出る意識を強めた千葉。守備に重点を置くことは前半と変わらないが、奪った後には積極的に前へ出ていくことで、それまでハーフコートゲームで淡々としたペースに浸かっていた柏を慌てさせる。54分には町田也真人、88分にはオナイウ阿道が、ともに山中の折り返しから決定機を迎えるなど、ポゼッションで上回りつつも同じテンポで工夫のない攻撃を繰り返す柏に対し、時折見せる鋭いカウンターで襲い掛かる千葉のほうに、より得点の可能性は感じられた。
柏の決定機は冒頭でも述べたとおり、前半の小林のミドルシュート1本のみ。後半途中から、アイデアを持つパサーの茨田陽生を3バックの右に入れて閉塞感からの脱却を図ったが、依然として千葉の守備を崩し切るには至らなかった。

延長に入ると、攻め疲れの目立つ柏に些細なミスが生まれ、それを狙う千葉が回数は少ないながらも怒涛のカウンターを展開する。千葉は町田や、途中から入った井出遥也、阿道といった若い選手たちがはつらつとしたプレーを見せた。延長後半、わずかにリズムを掴んだ時間帯に柏守備陣の乱れを突き、山中の折り返しから阿道が右足で決めてネットを揺らす。108分、ようやく均衡が破れた。
それまで淡々としたサイド攻撃を繰り返すだけだった柏も、この失点でスイッチが入ったのか、以降は嵐のような猛攻を仕掛けた。失点からわずか2分後、木村裕のゴールがオフサイドになったものの、これは引いた千葉の守備をようやく崩し、相手の背後を突いて形を作った。そして116分、セットプレーのセカンドボールを太田徹郎がゴール前へ入れ、木村のシュートがバーに阻まれてルーズボールになると、そのこぼれ球を橋本和が詰めて土壇場で柏が同点に追い付いた。

延長戦に入って試合が動いた白熱の攻防は、結局120分では決着が付かず、PK戦へ突入。ここでも両者とも譲らず、柏1人目の大谷秀和と、千葉2人目の町田が外した以外は、両チームのキッカーが次々とPKを成功させていき、とうとう2巡目へ回った。大谷、井出が成功させ、迎えた柏の13番手、レアンドロ。1度目はレアンドロがGKの動きを見定めてからコースを突いたが、2度目ではレアンドロのキックの瞬間まで動かなかったGK高木駿が、その駆け引きに勝利しシュートストップ。直後のキッカー・町田はゴール右に確実に決めた。
120分間の激闘と26人にも及んだPK戦。手元の公式記録によれば、試合所要時間は2時間54分35秒と記されている。この長い長い試合は、千葉の勝利で幕を閉じた。

柏にとってPK戦での敗戦は仕方がない。昨年度の天皇杯4回戦、大分戦での敗戦もそうだったように、こうした引いて守る相手は、時間が経過するごとに集中力が増すものだ。延長に持ち込まれたとか、PK戦に突入したという以前に、90分間のうちに守備攻略の手立てを見出せず、決着を付けられなかったところに問題があった。
対する千葉は、この勝利が今後のJ2の戦いにも、これ以上ないほどの弾みを与えるのではないだろうか。試合後の会見の場で、関塚監督が「しびれましたね。みんなが勝つというのでひとつになって勝てたんじゃないかと思います」と表情を少し綻ばせたように、若いメンバー中心の千葉は“勝利”に向かって1つにまとまっていた。普段出場機会の少ない選手たちが、高いモチベーションを維持し、一瞬も集中を切らさずに柏の攻撃に耐え続けた。彼らの「勝ちたい」という気持ちは、明らかに柏のそれを上回っていた。

4年ぶりに公式戦で実現した千葉ダービーは予想に違わぬ白熱ぶりを見せた。この熱い戦いを、来年はぜひリーグ戦で繰り広げよう。

以上

2014.08.21 Reported by 鈴木潤
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