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【第94回天皇杯 3回戦 ソニー vs 山形】プレビュー:再び実現した「みちのくダービー・ネオ」。前への推進力が強い山形を相手に、ソニー仙台は今大会2度目のJ撃破なるか?(14.08.19)

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JFLソニー仙台が天皇杯でJ1ベガルタ仙台を破る大アップセットをやってのけたのは2010年。その記憶がいまだ鮮明なうちに、今度はJ1鹿島を破り3回戦に駒を進めた。
3回戦で対戦するのはJ2山形。山形はベガルタ仙台と「みちのくダーピー」を戦ってきたが、山形が戦いの場所をJ2に移した2012シーズン以降、公式戦で「みちのくダービー」は実現していない。今大会もベガルタ仙台がすでに2回戦で姿を消し、今シーズンの公式戦で対戦する可能性は消えている。そこへ実現した、もう一つの「みちのくダービー」。会場は仙台のユアスタ。J1・J2連続撃破でチーム初のベスト16入りを狙うソニー仙台と、仙台と名の付く、しかも下位のカテゴリーのチームに負けるわけにはいかない山形。東北の覇権を懸けた戦いが刻一刻と迫っている。

昨シーズンは大久保剛志(現バンコク・グラス/タイ)がシーズン途中でソニー仙台から山形へ完全移籍し、07〜09年に山形に所属した遠藤大志が現在はソニー仙台のGKコーチを務めている。また、最近では年2回ほど練習試合が組まれるなどさまざまな接点がある両チームだが、公式戦での対戦は、旧JFL最後の年となった98年まで遡る。90年から東北社会人リーグ4連覇の末、旧JFLの入れ替え戦でも勝ち上がった山形の前身、NEC山形がひと足早く94年に参入。その年、94年の東北電力(現ベガルタ仙台)をはさみ、95年から97年まで東北社会人リーグを3連覇したのがソニー仙台だった。そのソニー仙台も98年、いよいよ戦いの場を旧JFLに移したことで、山形と同じリーグでの対戦が実現した。94年から旧JFLに参入した山形は、95年に石崎信弘監督が就任して以降も年々着実に順位を上げていた。15チームで争った98年は最終的に3位となったが、シーズン折り返しでは首位を独走。最終的に13位でフィニッシュした新規参入のソニー仙台との対戦では山形が力の差を示し、6-1、2-0で2連勝している。翌99年、山形は新設されたJ2へステージを移し、「プロの横にいる最強のアマチュア」をめざすソニー仙台はJFLに残ったことで、同じリーグでの対戦はその年だけで幕を閉じた。

ソニー仙台は昨年、今年と大卒の即戦力を積極的に補強している。JFL昨シーズンは34試合で33得点・34失点だったが、今シーズンは16試合を終えた時点ですでに31得点(20失点)。3年目の指揮を執る石川雅人監督がシステムを3-4-3に変え、より攻撃的なチームへと進化を遂げている。
その成果が天皇杯2回戦、鹿島戦にも表れた。2-2で延長戦に入り、最後はPK戦までもつれ込んだが、ゆるく立ち上がった鹿島に対し、23分に細見諒の直接FK、28分に小泉慶治の右クロスから田中豪紀の飛び出しで2点を先制する展開。「後ろを3枚にして前に人数をかけるというのは今年一番やっているところなので、そういう部分が得点につながったのはよかったと思います」とキャプテンの瀬田貴仁。石川監督も「単に守りきっての勝利というだけではなく、先に2点を取れた、攻撃的な姿勢を最初に見せることができたということが大きかったかなと思います。0-0でのPKではなく、2-2のPKだったというところを、私自身も成果の一つとして感じています」と手ごたえを実感している。

鹿島戦では前半のうちに2-2と追いつかれたが、後半45分、延長前後半30分をスコアレスでしのいだ。数多くのシュートを浴び、相手の精度に助けられた部分もあったが、3バックの中央でプレーした吉田吏玖は「チーム全体として自分の陣地に引いて守備してカウンターでいこうという感じ、それをやるなら十分に守れるなというのはありました」とリトリートした状態での守備に自信を見せている。ただし、点を取りにいくためには両ウィングバックがどれだけ高い位置で勝負できるかが大きなカギとなる。そのあたりの使い分けについて、瀬田は「ボールをつないでというのがベストなんですけど、それをやろうとして早い時間に失点しちゃうと厳しい展開になるのは目に見えてる。やりたいことはもちろんありますけど、それに固執することなく、と思っています」と状況を見ながら柔軟に対応する姿勢だ。

JFL直近の試合は8月3日のレノファ山口戦。そこから2週間以上経っているが、今月8日、9日にはソニー仙台単独チームで宮城県代表として東北総体を戦っているため、試合勘で大きな心配はなさそうだ。6月29日、コバルトーレ女川と行った天皇杯宮城県代表を決める決勝戦、本大会の2試合、そこで結果が伴ったことで、その後に再開されたJFLセカンドステージの3試合も同じ先発メンバーで戦っている。固定して戦ってきたメンバーへの石川監督の信頼は厚いが、東北総体では新たなメンバーも起用し、あらためてメンバーの選考が難しくなっているという。そして何より、多くの応援を受けられる地元開催のメリットは小さくない。会社からの応援のほか、地道に継続してきた社会貢献活動で出会った子どもたちや地域の人たちを含め、宮城県すべての期待を背負ってユアスタのピッチに立つ。石川監督は「上のカテゴリー相手ですから、我々も思いきりチャレンジしていく姿勢を打ち出したいなと思います。ただ、チャレンジして勝てなかった、いい試合だったと終わっても何も得るものはないと思っているので、勝つためのチャレンジをしたいと思っていますし、勝ちにいく姿勢にはこだわっていきたいと思います」と鹿島戦に続くジャイアントキリングを狙う。

2回戦に続きアウェイでの戦いとなる山形は、2回戦では終了間際に山崎雅人のゴールで1-0。同じJ2の熊本を破り3回戦に進出した。山形はJ2リーグ戦では10勝8分9敗で現在9位。自動昇格の2位とは勝点19差と大きく離されているが、J1昇格プレーオフ圏内の6位までは2差につけ、十分に昇格の可能性を残している。98年以来16年ぶりに指揮を執っている石崎監督のもと、今シーズンは前線からのプレッシングと早い攻守の切り換えを前面に押し出している。シーズン途中からようやく守備が安定し、27試合で25失点と1試合平均1点未満を維持。一方、攻撃では多くのシュートを放っているが、決定力に課題があり、今シーズンここまで連勝がないために10位前後を行き来している状態だ。8月17日に行われた直近の札幌戦では、立ち上がりにいきなり失点したものの、PK2つで逆転勝利。攻撃の形が整理され、ようやく狙った形で決定機までたどり着くシーンが増え始めている。勝てば次も連戦になるというジレンマはあるが、日本の頂点に立つチャンスを簡単に手放すわけにはいかない。

他のJリーグクラブと同じように、リーグ戦にはさまれた週中に天皇杯3回戦が組まれていることで、山形もメンバーの変更を視野に入れていても不思議ではない。直近の試合から中2日であること、3連戦となる週末の対戦相手が2位・松本(8/24@松本)であること、30歳以上の先発メンバーが多いこと、下位のカテゴリーのチームとの対戦であること、場合によっては120分のゲームとなることなどを総合的に判断すれば、ターンオーバーの幅は大きい可能性が高い。また、7月に3連敗を喫した際に先発メンバー変更を行うなど、これまでも何度か入れ替えを行うなかで、現在のサブメンバーには主力としてプレー経験のある選手も多く、層の厚さや底上げという点でもかなり整備されてきた印象がある。そうしたことも併せて、山形がどのような決意、どのようなメンバーで3回戦に臨むかは注目されるが、どのカテゴリーのチームを相手にするにせよ、ハイプレッシャーと早い攻守の切り換えがベースのスタイルは不変だ。

石崎監督は「アントラーズに勝っているチームなので、集中して戦っていかなければいけない」と相手への警戒レベルを上げている。そのうえで、「札幌戦みたいに最初にハンデを負ってしまうと大変なので、試合の入りには十分意識していかなければいけないのと、ソニー仙台はアントラーズ戦も2点先に取っている。そういうところを十分集中してやっていきたい」と立ち上がりの時間帯に最大限の集中が必要と説く。「この試合はチームが本当に勝たないといけない試合。山形を代表して出ることになったら、とにかくチームの勝利のために力を全部注ぐだけ」と決意を語ったのは、ここまで山形のユニフォームを着ての公式戦出場経験がない3年目の日高慶太。「トップチームは徐々にやるべきサッカーが形になってきていると思うので、まずは自分たちのやれることをすべて出すということが大事だと思います」と思いを込めてデビュー戦のピッチに向かう。指名されていない若手中心の練習にも自主的に参加し、クラブハウスへ引き上げるのがいつも一番遅い萬代宏樹は「毎試合毎試合準備をしてきているし、練習にもそういう気持ちで取り組んでいる」と胸を張る。ベガルタ仙台時代はホーム・ユアスタでの試合を得意としてきた。「今まで出られなかった選手が多いなかで、全員がそのチャンスをモノにできるように、自分たちがやることをしっかりやっていかなきゃいけないなと思います」とチームメートを思うやさしさもこの選手の魅力だ。

ソニー仙台が鹿島に続きJを引きずり下ろすか、山形がJの意地とプライドを見せるか。試合を主管する一般社団法人宮城県サッカー協会のチラシは「絶対に譲れないダービーマッチ」と煽っている。

以上

2014.08.19 Reported by 佐藤円
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