新潟は第20節大宮戦(8月16日)から始まり、この天皇杯3回戦を挟んで第21節徳島戦(8月23日)までホーム3連戦。大宮戦は2-1で接戦をものにした。大会が異なるとはいえ、勢いを付け、そして天皇杯を勝ち上がるためにもこの長崎戦は落とせない。
大宮戦で2得点したことで、低調だった攻撃に明るい兆しが見えてきた。中でも期待されるのがFW鈴木武蔵だ。大宮戦の後半25分から出場し、決勝点を挙げた。U-21日本代表ではエース格と見られている成長株が、2試合連続ゴールでチームを活性化させる心構えでいる。
「今までやってきたことををやっていれば、チャンスは来る。続けてやっていればビッグチャンスもくる。それは長崎が相手でも、徳島が相手でも同じ」。鈴木は自信を持って、残りのホーム2戦を見据える。天皇杯はカテゴリーが異なるJ2長崎が相手だが、「得点を狙いにいくことには変わりない」と試合に臨む集中力は高い。
大宮戦の決勝ゴールは手応えになった。中央の指宿洋史からのパスにスムーズに反応し、左足で流し込んだ。「自然に体が動いた。練習からやってきたことを体が覚えてきた」。日々のトレーニングで 、パスの出し手とのタイミングの合わせ方を意識してきた。柳下正明監督からは、踏み込みすぎる癖があるシュートフォームのチェックを受けた。「前に体重が乗る打ち方ができるようになってきた」。積み重ねの成果が試合に出せている実感がある。
新潟は鈴木を含めて5人のFWがいる。川又堅碁の名古屋への移籍と前後して、スペインから指宿、スイスからブラジル人のラファエル・シルバが移籍加入した。中盤が本職の成岡翔もここ2試合はFWで起用されていて、実質6人の状態で競い合っている。
その中で生き残るためには「結果を出していくこと。スタメンでも途中出場でも、得点を重ねていけば、ピッチに立つ時間は長くなるはず」。自らのサバイバルとチームの勝利。その2つを求めて 、まずは長崎を相手にゴールを決め、チームを4回戦に導く。
長崎は、高いモチベーションで新潟と戦う。新潟のセンターバック舞行龍ジェームズは、昨季開幕直後まで長崎に在籍。期限付き移籍だっただけに、新潟の要請を受けて復帰させた形だった。JFL時代の守備の要で、サポーターにも人気だった選手。その頼もしい存在が、この試合では突破しなければならない壁として立ちはだかる。
舞行龍ジェームズを中心とした新潟の守備は、ここまで17失点とリーグ4番目の少なさと堅守を誇る。それを突破するのは、チームの持ち味を最大限に発揮することだ。
前線からの激しいプレスと、佐藤洸一、東浩史らが流動的にワンタッチでつなぐ形に持ち込めば、主導権を握る可能性ば十分にある。J2では15位と低迷するが、天皇杯でJ1を倒すことが、リーグ終盤戦の勢いにもつながる。
自分たちの戦い方への自信、天皇杯の上位進出、そしてリーグ戦での上昇への弾み。どちらにとっても、ここでの1勝には大きな意味がある。
以上
2014.08.19 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)
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