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【J1:第20節 鹿島 vs 甲府】レポート:攻守に持ち味を発揮したのは鹿島ではなく甲府。しかし、柴崎の一撃に泣く。(14.08.17)

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試合後、城福浩監督の表情は固かった。
「選手は頑張ってくれましたけれども、選手の頑張りが結果に伴っていないということは自分の責任なのかなと思っています。本当に残念です」
トニーニョ・セレーゾ監督はやれやれといった雰囲気だった。
「今日は勝点3を取ったことが良かったと思います」
決定機の数だけ数えれば、勝敗は逆でもおかしくなかった。しかし、試合は鹿島が勝利をおさめ甲府が敗北を喫した。

試合は、いきなりのゴールで幕を開ける。鹿島のキックオフから昌子源が前線に送ったロングキックの処理に甲府DFが手間取っているところに土居聖真が詰め寄るとボールがこぼれた。そこにすばやく寄せたのが柴崎岳。前にボールを持ち出すとシュートコースが空いているのを確認して一気に右足を振り抜く。計算された無回転シュートは途中から急激にコースを変え、ゴール左に突き刺さり鹿島が先制点をあげた。
これで気をよくした鹿島イレブンは一気呵成に追加点を狙う。しかし、甲府の選手たちは崩れず、逆に、鹿島の攻め急ぎが目立つようになり、前半は1-0のまま折り返した。

ハーフタイム、トニーニョ・セレーゾ監督の指示は3つの指示を出している。
「攻守の切り替えは早く!特に守から攻への流れをスムーズに」
「ボールを落ち着かせてシンプルかつリズミカルにプレーすること」
「献身的な守備と積極的な攻撃が両立できれば、必ず結果はついてくる」
いずれも中断明けから今までの試合では実践できていた要素だが、この試合は幸先の良い先制点が逆に真摯な姿勢を奪ってしまう。攻守の切り替えは遅く、ボールはシンプルにまわることがないためリズムが生まれない。献身的な守備と積極的な攻撃はどちらも影を潜めてしまった。

当然、試合は相手に傾く。後半、[5-4-1]から[5-3-2]に布陣を変更した甲府は、コンパクトな陣形を保ってスペースを消しながら、攻撃になると人数を割いて前に出るようになる。福田健介のアクシデントで前半途中から出場していた盛田剛平は前線で体を張って起点をつくり、60分から出場した下田北斗が中盤をかきまわす。後半15分過ぎから何度となくチャンスを迎えた。ところがシュートが決まらない。途中出場の3人(盛田、福田に加え稲垣祥)が後半だけで5本のシュートを放ったものの、一度もゴールネットを揺らすことはなかった。チーム得点王のクリスティアーノがチャンスメイクにまわってしまったのも痛かった。

「後半に関しては忘れるべき後半だった」とセレーゾ監督。そうなってしまった要因として、1つ目は止めて蹴るを確実に判断をすばやくできなかったこと、2つ目はスリッピーなグラウンドで2タッチのプレーができなかったことを挙げ、3つ目に「連勝したり勝ったことで、数名の選手には慢心というか謙虚さが薄れてしまったところがその要因になった」と挙げた。

結果的には3連勝できたが、こうした試合を続けていては痛い目を見る。相手の拙攻に助けられた試合に学ぶことは多い。

以上

2014.08.17 Reported by 田中滋
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