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【J2日記】水戸:「水戸のために」戦い続けて16年。本間幸司、前人未到のJ2通算500試合出場へ!(14.08.08)

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第25節・京都戦にフル出場を果たし、本間幸司のJ2通算出場試合はついに499に達した。第26節・北九州戦に出場すれば、前人未到の500試合出場を達成することとなる。

水戸に携わる人にとって、本間とは「特別な存在」であると同時に「いつもそこにいる存在」なのではないだろうか。スタジアムに足を運べば、当たり前のようにゴールマウスを守っていて、当たり前のように一緒に喜び、一緒に悲しんできた。それは僕だけでなく、水戸の試合を見続けてきた人の共通した思いだろう。「500試合」という数字を見て、それが「当たり前」ではなく、あらためて「すごいこと」なんだと気づかされた人も少なくないはずだ。僕はその1人だ。

ただ、本間のすごさは数字以上に、その足跡にあると思っている。資金力に乏しい水戸は、毎年のように大幅に選手が入れ替わってきた。この傾向は最近では少し変わりつつあるものの、これまで3年在籍すれば長いほうで、5年在籍する選手は珍しい存在であった。その中で本間は16年も水戸のゴールマウスを守ってきたのである。
その間、うれしいことよりも苦しいことのほうがはるかに多かったはずだ。経営難のため何度か存続の危機に陥り、ピッチ上では主力選手が引き抜かれ、次の年はまた一からチームを作り直さないといけないことの繰り返し。「プロクラブ」として乏しい環境での戦いが続いたものの、それでも本間はクラブから離れることなく、モチベーションを保ち続けてきた。

心の根幹にあったものは、「水戸のために戦う」という意識だ。茨城県日立市に生まれ、水戸市の高校出身の本間にとって「地元のクラブのために戦おうという強い気持ち」を胸に秘めてJFL時代に浦和レッズから移籍加入。水戸の町にJリーグクラブが誕生する原動力となった。その後も「水戸のために」戦い続けた本間は「これ以上地元への気持ちが強くなることはないと思っていた」と振り返る。

ただ、さらに自らの人生における覚悟を決める出来事が起きた。2011年3月11日、東日本大震災である。
被災地となり、元気を失った町を見て、「より一層、この地域のために戦いたいという気持ちが強くなった」と言う。震災後、チームが活動休止している間、本間は自ら進んでボランティア活動を行い、その後ホームタウン活動にそれまで以上に積極的に参加するようになった。そして、ピッチに戻ると、ゴールの前で今まで以上の存在感を発揮し、2012年からは人生初のキャプテンを務め、名実ともに先頭に立ってチームを引っ張ってきた。「震災を経験して、『水戸のために』という思いが意識するものではなく、自分の体の一部になったような感じがします。それまでとまったく別の感覚となりましたね」と充実した表情を見せた。

前人未到のJ2通算500試合出場へ。達成されたならば、心の底から「おめでとう」の言葉を贈りたい。同時に「ありがとう」の言葉も伝えたい。何よりうれしいのは、500回も「水戸のために」という思いでピッチに立ったという事実だ。そんな本間の存在は、水戸に携わる人間にとっての誇りである。20年のクラブの歴史の中で16年も在籍し、守護神としてゴールを守ってきた。彼の足跡、そして生き様をマネできる者はいない。だからこそ「レジェンド」なのである。

北九州戦に向け「ケガやコンディションに問題がない限り、本間でいく」と柱谷哲二監督は本間の起用を明言。今節記録が達成されることはほぼ間違いない。
ゴールマウスの前に立つ本間の姿を見て、僕らの胸には感慨深い思いがこみ上げてくることだろう。これまでの苦しみや喜びが頭に浮かび、かつてないほど胸が熱くなるはずだ。そして、その後、僕らはこの思いをさらに強くするに違いない。
「本間とJ1に行きたい」。
それは夢ではない。願望でもない。明確な目標である。
8月10日、Ksスタは本間の記録を祝う場となるとともに、目標に向けてクラブに携わるすべての人が力を合わせて前進していくことを約束する場となる。

以上

2014.08.08 Reported by 佐藤拓也
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