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【J1:第19節 広島 vs 鳥栖】プレビュー:離脱者続出の広島。監督交代の鳥栖。苦境にこそ、本質の力が試される。(14.08.09)

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試合前日の朝、驚愕のニュースが飛び込んだ。鳥栖・尹晶煥監督の退任が、正式にクラブから発表された。衝撃的だ。首位チームの指揮官がシーズン途中で交代するなんて、前代未聞である。昨年の大宮・ベルデニック監督交代劇にも驚いたが、あの時はチームが連敗中だった。だが、鳥栖は前節も勝利し首位に返り咲いたばかり。外側から見れば何の問題もなかったように見えた。かつて経営問題で揺れに揺れ、Jからの除名もあり得る状況だったクラブが見事に再生し、優勝を果たす。そんな奇跡の物語に向けて、チームが一つになっているかのように思えた。なのに、この状況である。本当にチームをつくり、前に進ませるということは難しい。

広島もまた、激震の中にいる。前節の鹿島戦、45分で交代を告げられた佐藤寿人はコンディションの問題で今週のトレーニングに参加できず、明日の試合に出場することはほぼ絶望的。さらに週明けの練習で塩谷司が左足を傷め、出場が微妙な情勢となってしまった。青山敏弘、ファン ソッコ、林卓人ら主力メンバーもケガのため欠場が見込まれ、まるで野戦病院のように選手を次々と欠いてしまう異常事態。5試合で13失点と守備の改善は見られず、攻撃面でもここ2試合は1点ずつ。森保一監督就任以降、結果・内容共にもっとも厳しい状況に陥った。

ただ、危機は緊張を生み、屈辱は改善へのスピードを速くする。今週、森崎和幸を中心に選手だけのミーティングを行い、サッカーを含む生活のところから改めて見直し、ピッチの上で結果を出すために結束して戦うことを確認した。そしてトレーニングでも基本に立ち返り、球際に厳しくわたりあう激しさを見せて、苦境から脱皮したいという意欲を露わにした。

「確かに今は苦しい時期。だが、連覇した過去2年にしても、苦しい時期は間違いなくあった。それを僕らは一致団結し、全員でまとまって乗り越えてきたという自負は、あります。1人1人がやるべきことをやれば、そしてその力で一つの勝利を手にできれば、状況は必ず変わるから」。

キャプテンマークを巻く水本裕貴は、苦戦の責任を自ら背負い、全ての力を勝利のために注ぎ込む決意を固めている。広島の守備の中心であり、最終ラインの要として大きな信頼を受け、明日の試合でフル出場を果たせば100試合連続という大記録を達成する実績もすごい。だが、そんな記録も輝かしい実績も、現実の前には力を持たないことも、彼はよく知っている。
「今、上とも下とも勝点差がそれほど広がってはいない。だからこそ、物事は前向きにとらえたいと思っています。鳥栖は現在首位だし、そのチームを叩けば、上との差は縮まっていくわけですからね。だからこそ、明日の試合は本当に重要。自分たちの全てを出し切りたい」。

塩谷やファンの欠場を受け、森保監督は宮原和也の起用をアイディアの一つとして考えている。彼はU-17ワールドカップでは日本代表の中心として活躍した経験を持ち、最終ラインの統率者としてサイズの大きな相手と闘ってきた。身長は172センチと小柄だが「スピードもあり、身体も強い。そしてとてもクレバーな動きを見せてくれる」と指揮官は高く評価している。ただ明日の試合で宮原が対峙するのは、いわずとしれた豊田陽平だ。身体能力にかけてはJナンバー1といってもいい破壊力に満ちたFWを相手に、ルーキーがどこまで戦えるか。

「豊田さんは高くて強いけれど、いい準備をしてボールウオッチャーにならずに戦うことが大切。ここまで試合に絡めなかった悔しさを晴らしたい」。

シャイで、なかなか笑顔を見せることも少ない若者ではあるが、芯の強さを持っている男である。圧倒的な存在感を見せつける鳥栖のエースに一歩も引く構えなどない。そんな若者の躍動に期待し、指揮官が苦境脱出のピースとして起用する可能性はある。

明日、鳥栖を率いるのは吉田恵新監督だ。昔からの広島サポーターであれば、彼のことはよく覚えているはずである。2004年から2年間、広島で活躍。特に2004年はストッパーとして26試合に出場し、対人の強さとクレバーなプレーぶりでチームに大きく貢献した。選手としての実力はもちろん、人柄も素晴らしい。2005年は負傷もありベンチにも入れない日々が続いたが、絶対に腐ることはなく現実と真摯に向き合い、若い選手たちに「あるべき姿」を見せてくれた。そんな本物のプロ・吉田恵が率いるチームである。現在首位という力を「監督交代」という激震を集中に変え、力をさらに増幅させるに違いない。

共に「変化」が予想される実力者同士の対戦なのに、台風の襲来は残念だ。台風情報に十分留意し、準備を整えてスタジアムにお越しいただきたい。未来への財産となるような試合を、きっと選手たちは見せてくれるだろう。

以上

2014.08.08 Reported by 中野和也
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