7月30日に電撃的な監督交代を行ない、それまでユースチームの監督を務めていた清水の“レジェンド”大榎克己氏を新監督に迎えた清水。今回の徳島戦は、その大榎監督のホーム初陣であり、さらにホーム通算200勝(あと1勝)と、ホーム通算600得点(あと1点)がかかっている。つまり、何としても勝ちたい、勝たなければいけないという意味では、これ以上ないほど想いや期待の強いゲームになっている。
ただし、相手が最下位の徳島だからといって、「今度は勝てるだろう」と楽観的に考えることはけっしてできない。直近の9試合で比較すれば、清水が1勝2分6敗(勝点5)で、徳島が2勝3分4敗(勝点9)。中断明け4試合では、清水が計3得点で無得点試合が3つあるのに対して、徳島は6得点を挙げ、無得点も1試合だけ。徳島の新エースに成長した188cmのFW高崎寛之は、ここ4試合で4得点。トップ下の衛藤裕も2試合連続でゴールを決めており、チーム状態としては明らかに徳島のほうが好調と言える。
さらに徳島は、2010年にC大阪で27試合14得点、11年にG大阪で8試合9得点とJリーグでも高い得点力を発揮したブラジル人FW、アドリアーノ(32歳)を獲得。この試合から出場可能になっており、コンディション的な問題でいきなり先発するかどうかは微妙だが、彼のスピードや決定力を考えると、終盤のカウンター要員としても非常に恐い存在となりそうだ。
また、前線に決定力のある選手がいることで、徳島はアウェイでは堅守速攻のスタイルに徹しやすくなる。5バック気味にして分厚く守りを固め、清水のミスを突いた速攻でゴールを奪うという形で先制点が取れれば、かなり優位に試合を進められるだろう。
逆に清水のほうは、今は引いて守りを固めた相手を攻め崩すという部分でかなり苦労している。だから、先制点を奪われると、かなり脆い面を露呈してしまう。つまり、今の徳島は、清水にとって非常に難しい相手と言えるわけだ。
もちろん大榎監督も、そうした状況は百も承知している。そのうえで今週の練習で重点的に取り組んできたのは、まずF東京戦で4失点した守備の修正だ。とくに簡単にDFラインの裏をとられてしまうことが今の大きな課題で、その原因を大榎監督は、「ラインを押し上げようとする意識が高いのはいいけど、今はアップ、アップ、ストップなんですよ。ラインを止めてしまう。そうではなくて、アップ、アップ、ダウンじゃないと。背後をケアしてダウンする意識が足りない」と説明する。
その指摘に関しては、選手たちも十分に理解を示し、「そこは自分たちに変なクセがついてしまっているので、(ラインを)上げたら下げるというところはしっかりやりたいし、まだまだラインが揃っていないので、そこも修正していきたいです」とセンターバックの平岡康裕も語る。この試合でそこをどれだけ修正できるのか、清水サポーターにとってはまず大きな注目点となる。
そして攻撃に関しては、「ボールを持った選手へのサポートを増やすとか、ボールを追い越していくとか、もっとアグレッシブにプレーさせたい」(大榎監督)というのが現時点で重点的に取り組んでいるところ。アフシン ゴトビ監督時代には、ボールを失ったときのリスクを考えて、あまりポジションを崩さないことやボールを追い越さないことが要求されていて、前線でのリスクを冒した大胆な動き出しが少なくなっていた。それが、固めた守りを崩せない要因のひとつにもなっていたため、大榎監督は選手たちの自由な判断や動きを尊重する姿勢を強調しているのだ。
ただし、そうした攻守に及ぶ修正も、一朝一夕ですぐに成果が出るものではない。したがって今の清水は、少しずつ問題点を修正しながら、結果を求めていかなければいけないという難しいミッションを求められている。だが、「自分のゴールで大榎さんに初勝利をプレゼントしたい」とユース時代からの愛弟子・石毛秀樹が語るなど、火中の栗を拾ってくれた大榎監督の男気に対して、選手全員が「監督を男にしたい」という想いを強く持ち、チームがひとつになれている。それも、監督交代前にはなかったことだ。
あとは、スタンドのサポーターともひとつになって、ホームの力を最大限に生かし、11人プラスαの力を発揮することが、勝利へのいちばんの近道になる。
以上
2014.08.08 Reported by 前島芳雄
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