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【J2:第25節 北九州 vs 札幌】レポート:冨士&小手川のホットラインで鮮やか先制弾。北九州が3試合ぶりに白星。札幌はチャンス生かせず無得点。(14.08.04)

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本城は昼過ぎまで降り続いた雨で濡れそぼっていた。曇天にもかかわらず気温と湿度はぐんぐんと上昇。試合直前のピッチは夕凪に包まれて蒸し暑さに煙っていた。走れば走るほどバテる――。そういう空気を、空気自ら読んだのだろうか。キックオフから30分が過ぎようとする頃、音も立てずに雨が降り始め次第に強くなっていった。幸いにも本城の整えられた芝は雨に降られても極端にボールが止まったり、滑ったりはしない。時間を追うごとに涼しくなるピッチ。言えることはただひとつ。90分間、足を止める言い訳はなくなった。

立ち上がりから札幌が優勢に攻め込む展開。センターバックとボランチの間のわずかなギャップを突いて中央突破したり、小野伸二が絶妙なボールコントロールでチャンスを量産した。36分には敵陣中央でFKを得ると、その小野が直接鋭いシュート。ボールはクロスバーを叩いて上へと逸れたが、小野の真骨頂が垣間見えた瞬間だった。しかし札幌のワンサイドゲームとなる中で、少ないチャンスをゴールに結びつけたのは北九州。前半唯一のシュートがゴールネットを揺らした。

得点シーンは41分。小野のパスを風間宏希がカットすると、横にこぼれたボールを拾ったのは冨士祐樹。すぐに右サイドの小手川宏基に流すと、冨士はためらうことなく猛然とゴール前へダッシュした。小手川もドリブルでサイドを駆け上がると、溜めを作らずにアーリークロス。それをダッシュの勢いそのままに冨士が頭で合わせてゴール右隅を突き、先制点を奪った。「迷う必要もないくらいにいいボールが来た。タイミング合わせるということもなく、走っているスピードのままに来たので、自然にあのコースを狙った」と冨士。瞬く間のカウンターが実り、北九州が1点をリードした。

そのゴールと前後して雨が落ちてきた本城。蒸し暑さが落ち着き、戦術変更を強いるような急激な体力ダウンや早い段階での交替といったリスクはなくなった。前半を1−0で折り返し、後半もお互いが持ち味をそのまま発揮することが期待された。

果たして後半に入っても札幌はバイタルで保持したり最前線に当てたりして打開策を探り、北九州も引き気味になりつつカウンターを狙うという構図に変わりなし。50分に小野のクロスに宮澤裕樹が合わせてゴールに迫るなどチャンスを作っていたのもやはり札幌だった。ただ言い換えれば中央突破を試みるか、ターゲットにシンプルに入れるかというパターンの繰り返しで、北九州の守備陣が次第に順応。怖さが薄れていく中で、またしても『次の1点』を先に手にしたのは北九州だった。カウンターでいくつかのチャンスを得ていた池元友樹が65分、GKと1対1の絶好のチャンスを作ると、札幌の櫛引一紀がペナルティエリア内で後ろから引っかけてしまう。このプレーで櫛引は退場。北九州はPKを得ると、「コースを狙っていた」と話す池元が自らセットして左上の隅を突き、北九州が2−0と突き放した。

1人少ない状況の中で2点を追いかけることになった札幌。必然的に札幌は前のめりになり、北九州も間延びしたスペースを使ってカウンターを連発。いっそう強くなっていく雨と相まって、試合は終盤にかけて攻守の入れ替わりの激しい展開となっていく。しかし札幌は北九州の体を張った堅いブロックを崩せず、砂川誠も投入して攻撃に人数も割いたが、1人少なくなったことで攻撃パターンがさらに限定。結局は1点も奪えないままホイッスルを迎えることになった。2−0。終わってみれば北九州の快勝だった。

プレビューでも触れたが札幌はこの試合でも運や試合の流れを引き込みきれなかった。「今は負の連鎖というか、どうしなければいけないかというところで戸惑いが出ているのではないか」とほぞをかんだのは90分間走り続けた小野伸二。クロスバーを叩いたフリーキックを悔やみつつ、「点を取れないと勝てない」と話して次の試合に目を向けていた。財前恵一監督も「チームは最後まで諦めず得点を奪うという気持ちを持ってやってくれた」と話す。退場者を出す前まではゲームを掌握できていただけに、引きずることなくミッドウィークの天皇杯へと進んでいきたい。

北九州は少ないチャンスを確実に得点に結びつけた。シュート数は札幌の20本を大きく下回る5本。安易に使う「少ないチャンス」という言葉だが、数字もそれを裏付けるゲームだった。もちろんチャンスは多いほうがいいし、得点も2点よりは3点、4点と狙っていったほうがいい。PKで追加点を奪った池元友樹も「結果的には」という前置きをしてから、狙い通りの試合運びだったと話した。「もっともっと上に行くためにはこれだけではだめ」。そう言って表情を引き締める。言葉には勝つことと同時に内容を求める強い気持ちが表れていた。池元だけではなく多くの選手の共通意識だろう。勝てているがゆえの贅沢ではなく、勝つならばもっといいゲームをしたい、もっと主導権を握りたい、そういう向上心がチームをより強靱なものにしていくはずだ。次戦へは1週間の準備期間があるし、連戦でもない。内容と結果。勝ってなお飽くなき探求心を燃やし続ける。

以上

2014.08.04 Reported by 上田真之介
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