第15節にJ1が再開してから、2分1敗同士の仙台と大宮。再開後3試合の失点数がそれぞれ6と8ということで、どちらも特に守備を立て直して、後半戦の最初となるこの一戦で勝利したいところだった。
そのために両チームとも先発メンバーを前節から変更している。ホームの仙台は最近センターバック起用の多かった角田誠を中盤に上げ、彼が抜けた最終ラインには渡辺広大が入った。中央を固めるとともに、「ここ数試合欠けていた、なるべく高い位置でボールを奪って攻撃につなげるかたちを作りたい」(角田)「球際の強さ、攻守の切り替えの速さをもっと表現しなければいけない」(渡辺)という事前の意気込みを表現することが求められた。
アウェイの大宮も先発が前節から変わっている。これはやむを得ない事情もあって、菊地光将らの負傷や片岡洋介の出場停止という守備陣の不在もあって、「ズルズル下がらないためには今日の人選がベター」という大熊清監督の意図のもと、最終ラインの顔ぶれが変わった。その一方で橋本晃司がボランチに復帰し、中盤の左サイドには富山貴光が入った。ズラタンとムルジャの2トップ、攻撃のコンダクター家長昭博を加えれば、4-2-4にも近い攻撃的な組み合わせともいえる。
この両者が激突したうえでの攻守のバランスが問われる試合となったが、その結果は2-2。点の取り合いの末の引き分けだった。
「立ち上がりはロングボールで押しこもうとした」(渡邉晋監督)「はっきりこの2トップもしくは3トップでやっていくので、必ず前を見ることは徹底している」(大熊監督)ということで、両チームとも2トップにボールを集めようとして前半は進んだ。ただしロングボールが行き交う展開が続くと、どうしても全体の布陣は間延びしてしまう。そこで仙台と大宮は前半から中盤にスペースができてしまった。ある時は中盤とFWの間に。またある時はボランチとセンターバックの間に。ここを埋めきれないことで、両チームとも最後までボールが落ち着かない展開が続くことになり、もっと点を取り合ってもおかしくない試合になった。
得点場面については、仙台が先行し、大宮が追いつく展開が二度繰り返された。5分に渡辺が跳ね返したボールを太田吉彰がつなぎ、それを受けた赤嶺真吾がシュート。これはGKに弾かれたが、そこに梁勇基がフリーで詰めていた。振り回された大宮守備陣はこの連続攻撃についていけなかった。
それから9分後に大宮が追いついた場面では、仙台が家長の粘りに意識が集中するあまり、ムルジャにボールが渡った時にすばやく陣形を整えられなかった。ムルジャがボールを持ってからは少し時間が合っただけに、最低でも連係してコースを消したかったところだった。
後半は立ち上がりに大宮が連続でCKを取ったものの、仙台は後半最初にもぎとったCKから、66分に石川直樹の今季初ゴールで勝ち越した。ここでたたみかけたいところだったが、72分にサイドに抜けた家長のシュートが鎌田次郎の足に当たってオウンゴール。またも追いつかれた。「オウンゴール自体は不運ですが、その前に崩されていました」と鎌田は反省する。大味な試合を象徴するような場面だった。
試合後、石川直樹は自身が仙台加入後ユアテックスタジアム仙台で初めて決めたゴールの嬉しさを語りながらも、「2-1もしくは追加点を取っての3-1で終わらせなければならなかった」と守備面での悔しさをにじませた。この試合での仙台は選手の距離が離れがちだったぶん、ボールに対する寄せに時間がかかった点は否めない。「アプローチに甘さが見受けられた」(渡邉監督)点も合わせ、球際での強さが引き続き課題となった。
ただし、この日の仙台には球際での一対一だけでなく、好調時にできていて今は忘れている要素は他にもある。たとえば、ロングボールを前線に送った後に、後方のポジションが位置を押し上げて距離を縮めること。たとえば、リード時にボールを確実に短くつないで時間を使うこと。そういった試合運びの必要性が、多くの選手から聞かれた。
仙台も大宮も、後半戦のスタートはともに勝点1の獲得から。“半歩前進”といったところにとどまった。次は確かな一歩にするために、攻守のバランスと試合運びについて、修正を重ねなければならない。
以上
2014.08.03 Reported by 板垣晴朗
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