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【J2日記】千葉:誕生日(14.07.30)

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2014年の天皇杯2回戦の試合前練習の準備でピッチに出てくると千葉サポーターから「ハッピーバースデー」の歌声がおこり、照れ笑いをしながらスタンドに向かって「まあまあ」という感じで手を上げたり、お辞儀をしたりしていた千葉の江尻篤彦コーチ

少し前の話になるが、7月13日の天皇杯2回戦・千葉vs長野はJリーグ公式戦と違ってクラブ主導のイベントがないため、試合前の写真として横断幕を撮影しようとしていた時のことだ。千葉の江尻篤彦コーチが試合前の練習準備のためピッチに出てくると、千葉サポーターの「ハッピーバースデー」の歌声が聞こえてきた。それは前日の7月12日が47歳の誕生日だった江尻コーチに向けてのもので、照れくさそうな笑顔で手を上げたり、お辞儀をしたりしている江尻コーチの写真を筆者は慌てて撮った。歌声がやむとゴール裏スタンドから「赤沼さ〜ん、江尻コーチが誕生日だから写真を撮ってあげて!」という声が聞こえ、「撮りました!」と答えた筆者は試合前写真として使用させていただいた。

実は、江尻コーチへの「ハッピーバースデー」の歌声のあとに千葉サポーターから拍手が起こり、すぐに長野サポーターからも拍手が聞こえたので、試合前写真のキャプションには江尻コーチに向けてのものと書いた。だが、後日に長野の美濃部直彦監督のブログを拝見したところ、7月11日付の『明日なんですけど』というタイトルの話として、江尻監督と同じく7月12日が誕生日で今年49歳になられた美濃部監督が前日にメディアの皆さんからサプライズでお祝いしていただいたことが書かれていた。もしかしたら長野サポーターの拍手は江尻コーチだけでなく美濃部監督にも向けられていたものもあったかもしれない。当日はそれに気づかなくて申し訳なかったなと思った。

誕生日が同じ人は、どこか意識してしまうことがある。過去に千葉に在籍した選手では井幡博康氏、要田勇一氏、野本安啓氏が筆者と同じ誕生日で、内心、ほかの選手よりも勝手に親近感を抱いて応援してしまうところがあった。誕生日の選手やスタッフには「おめでとうございます」と声をかけようと思っていても、仕事でバタバタしているとうっかり忘れて言いそびれてしまうことがあるが、自分と同じ誕生日だとやはり忘れにくい。ただ、選手やスタッフには「おめでとうございます」と声をかけるものの、自分となるとだいぶ前から誕生日が来て歳をとることがあまりうれしくない年齢になった。

だが、歳を取りたくてももう取れない人たちもいる。筆者がサッカー取材の仕事を通してお世話になった人々の中には残念ながら急逝された方たちがいる。
筆者が編集部記者として仕事をしたサッカー雑誌のアドバイザーを務められていたサッカージャーナリストの富樫洋一氏。1994年夏に北海道で清水のキャンプ取材をした際に知り合い、清水の試合や日本代表戦でお会いするとよく話をさせていただいたフリーライターの大場健司氏。雑誌でのインタビュー取材の際、筆者とはほぼ初対面ながらも笑顔で率直な気持ちを語ってくださった松田直樹氏。2008年から3シーズン千葉のGKコーチを務めた眞田雅則氏。2008年に千葉の監督に就任し、成績不振のためシーズン途中で解任されたヨジップ・クゼ氏。そして今年5月のJ2日記に書かせていただいた、千葉の強化部でお仕事をされていた田部和良氏。あの方たちがもう歳をとることはない。また歳をとるということは、また1年間無事に生きてこられた証だ。私事になるが、8月は筆者が23歳の時に亡くなった父の誕生日があり、父が亡くなった時の年齢に筆者はだいぶ近づいた。誕生日の人にはその人が生きていることを喜び、自分の誕生日にはまた1つ歳をとれたことを素直に喜びたい。

前述の天皇杯2回戦の試合後には江尻コーチへ、そして7月20日のJ2リーグ戦第22節・栃木戦の試合後には7月19日が25歳の誕生日だった中村太亮選手へ、勝ち試合だったこともあって千葉サポーターから「ハッピーバースデー」の歌とチャントが送られたそうだ。当日や前後が誕生日の選手やスタッフを試合後に「ハッピーバースデー」の歌で祝える勝ち試合が今後も多くあることを願っている。

以上

2014.07.30 Reported by 赤沼圭子
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