“ぐうの音も出ない”。神戸・小川慶治朗は「完敗ですね」と渋い表情を見せた。もちろん、一つ違えば神戸が勝っていた可能性もあったが、この日のG大阪は何一つ間違えなかった。1−5。シュート数では神戸15本に対してG大阪19本と大差が無い中で、勝敗を分けた差はゴール前のクオリティだった。
前半の立ち上がりから両者は激しく打ち合った。6分過ぎには神戸のシンプリシオがいい位置でボールを奪い、フリーでスルーパスを受けたペドロジュニオールが決定的なチャンスを迎えた。7分にも同じように高い位置でシンプリシオがボールを奪い、マルキーニョスを経由して最後は森岡亮太がシュートに持ち込んでいる。8分過ぎには、森岡から左サイドでパスを受けた小川がカットインから惜しいシュートも放った。ここまでは神戸がゲームの主導権を握っていたと言っていい。
だが、その後はG大阪の厳しいプレッシングに神戸がミスを連発。10分頃には森岡と増川隆洋のクリアミスからG大阪にCKを与えると、11分過ぎにはチョンウヨンのバックパスをG大阪のFWパトリックに拾われ、そのままシュートに持ち込まれた。徐々に流れがG大阪に傾きかけた14分に試合が動くことになる。
G大阪は大森晃太郎と阿部浩之が左サイドで起点を作ると、そこからペナルティエリア左角で相手DFのマークを外していた宇佐美貴史へパスが通る。パスを受けた宇佐美は相手ゴールとGK、DFの位置を確認しながらボールをコントロールし、針の穴に糸を通すようにミドルシュートを沈めた。これで0−1。
その後、20分に神戸はマルキーニョスのPKで試合を振り出しに戻したが、26分にはG大阪がFKからの流れで宇佐美がヘディングで押し込み再び1点リードに。36分に大森が負傷で退場したものの、代わって入った倉田秋がスピードのあるドリブルで神戸をかき回し、完全に試合の流れを掌握した。そして43分には遠藤保仁のFKからパトリックが見事なヘディングで追加点を挙げた。
1−3で迎えた後半。2点を追う神戸が高い位置でプレッシングをかけ、しばらく押し込む時間帯が続く。G大阪は引いて守りながら、カウンターで追加点をうかがう展開。57分頃には神戸が中央で森岡、マルキーニョス、小川へと流れるようなパスワークでGKと1対1の場面を作るがG大阪のGK東口順昭に阻止される。61分には小川のセンタリングにマルキーニョスがボレーシュート、ポストに弾かれたボールをペドロジュニオールが頭で押し込もうとするが決めきれなかった。
チャンスの後にはピンチありとはよく言ったもので、今度はG大阪にチャンスが訪れる。63分のCKの好機をパトリックがヘディングで決めて4点目。72分には宇佐美の見事なサイドチェンジから右サイドのパトリックへ。パトリックの浮き球パスを阿部がワンタッチで浮かせて相手ボランチを交わし、最後は左足のボレーで5点目を挙げた。
その後、神戸は松村亮、田代有三、大屋翼とカードを切っていくが、そのまま得点を奪うことができずに大敗を喫した。
勝敗を分けたポイントについて、G大阪の長谷川健太監督は「後半立ち上がり15分間に、何度か危ないシーンもありました。けれど、GK東口を含めてDFラインがあそこで点をやらなかったことが結果的にこういう結果につながったと思っています」と話した。
神戸の安達亮監督は「今日は、両ゴール前の差が大きかったかなと思います。お互いに打ち合いでオープンな展開になったけれど、決めるところと、まぁ決められるところと、その両方で差が出た試合だった」と記者会見で言い残している。
“決められる時に決めないと負ける”とは、サッカーでよく耳にするフレーズだが、神戸は前半立ち上がりと後半立ち上がりのビッグチャンスをものにできなかったのが敗戦につながったと言える。
逆にG大阪はシュート4本に1本は決めるという高い得点力を見せつけ、アンラッキーなPKを除けば神戸の攻撃をほぼシャットアウト。90分間を通して攻守ともに高いクオリティを保ち続け、運動量でも神戸を上回った。
今節でJ1リーグは前半の折り返しとなる。中断期間明けの3試合だけを比較すると、神戸は0勝1分2敗で3位から6位に後退、G大阪は3連勝で16位から8位へ浮上という対照的な結果となった。神戸はこの大敗を“いい薬”に変えて、後半戦に臨みたいところだ。
以上
2014.07.28 Reported by 白井邦彦
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