たとえば、今季初黒星を喫した第15節愛媛戦である。1点ビハインドで迎えた終盤、湘南はパワープレーに出たが奏功せず、ゴールに結ぶことはできなかった。得点を奪わなければならない状況におけるある種の常套句は、しかし湘南のスタンダードではなかった。自分の言葉でなければ想いは届かない。彼らはこのとき、ピッチで語るべき自分たちの言葉、すなわちゴールに通じる自分たちの本筋は蹴り込むことではなく、ボールを速く動かしながら相手の懐に臆せず切り込んでいくことだと再確認した。
前節の熊本戦も然りだ。2点のリードを奪ったあと、重心が下がりセカンドボールを拾われ、防戦の体になった。だが彼らが培ってきたのはゴールを守る守備ではない。かの展開もまた自分たち本来の文脈とは異なっていた。ミドルサード以上の高い位置でボールを奪う守備の特徴が数字にも表れているという湘南にあって、奪いやすい状況をつくるためのライン形成は欠かせないと曹貴裁監督は語っている。前節あらためて確認された彼らが描くべきラインは、今週のトレーニングにも反映された。
たとえばそんなふうに、勝利や敗北に関わらず課題と向き合い、自分たちのサッカーを、選手としてやるべきを粛々と突き詰めていく。勝負事という相手との係わりのなかで、今節も目指すところは変わらない。地に足つけて戦う、その地面がしかとある。
今節、湘南は富山をホームに迎える。現在22位の富山は第20節ホーム長崎戦に勝利し、連敗を9で止めたが、続く栃木戦に敗れ、後半戦のスタートとなった前節は21位の讃岐と引き分けた。負けられない戦いは続く。
湘南との前回の対戦は6月の第17節、富山で行なわれた。ゲームは湘南が立ち上がりから攻め立てたものの決め切れず、勝負は終盤までスコアレスのまま推移した。そして試合終了も近い90分、セットプレーの先で 遠藤航がヘディングシュートをねじ込み、湘南が土壇場で勝点3を掴んだ。ことに湘南にあっては、チャンスを決め切るシュートに対する意識をあらためて見つめ直した一戦でもあった。
「焦れずに戦うことが大事」前回の対戦を踏まえ、藤田征也は週末に目を向ける。
「ボールを持つ時間が長くなるかもしれないけれど、焦れることなく最後のアイデアや工夫で崩したい。攻撃が中途半端だとカウンターで危ない場面にも繋がってしまうので、しっかりやりきることが大事だと思います」
富山はDF御厨貴文が出場停止となる。一方の湘南は今週、清水から樋口寛規が期限付き移籍で加入した。「湘南はチーム全体がまとまって戦う印象です。どんな形でも点を取りたい」そう新天地での活躍を期する樋口を含め、日々自分たちと向き合う彼らである。圧倒的に勝ち越した前半戦を踏まえ、相手のモチベーションや湘南対策は今後厳しさを増すだろう。だがその難しい戦いも次へのステップに違いない。湘南らしい言の葉をピッチに散りばめ、ホームに勝利を届けたい。
以上
2014.07.25 Reported by 隈元大吾
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