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【J1:第16節 甲府 vs C大阪】レポート:評価が難しい0-0の引き分け。甲府は次に繋がる勝点1だが、C大阪にとって我慢の勝点1となったのか(14.07.24)

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”甲府に勝ってほしい”と願いながらこの試合を見た人のC大阪に対する印象と、”C大阪に勝ってほしい”と願いながら見た人のC大阪に対する印象や評価が大きく違うものだったのではないだろうか。2013年度のJクラブ個別情報開示資料を見ると、甲府の営業収益が15億弱なのに対してC大阪は約32億。C大阪の半分だから甲府が負けて当然でもないし、2倍のC大阪が勝って当然ともならないのがサッカー。多い方が有利なのは当然だけれど、多いなりの難しさもあるのだろう。C大阪とほぼ同額だった磐田が昨年17位でJ2に降格しているし、半分の甲府は磐田よりも14ポイントも多く勝点を積み上げて15位で残留している。今のC大阪は約1か月前に監督が変わり、少し前にエースの柿谷曜一朗が移籍して難しい状況にあることは誰もが分かっていることだけど、開幕時の目標を下方修正するのか修正しないのかを明確にしないと周囲の想いがそれぞれの基準で交錯してしまいそうで、もっと難しくなりそうだと感じた一戦。

関西からの遠征組だけでなく関東甲信越のセレ女が集結してくれた(と思われる)山梨中銀スタジアム。柿谷がいれば+2000人や+3000人も達成できたかもしれない第16節・甲府対C大阪。迎え撃つヴァン女、漢字で書くと蛮女(と男性サポーターも)も職場や学校からスタジアムに駆けつけてくれて、水曜のナイトゲームなのに12052人もの入場者数となった。ホーム甲府の先発は、稲垣祥が右のウイングバックに入り、ボランチには新井涼平が出場停止から戻り、石原克哉がシャドーに入る4-2-3-1で、ここまでリーグ戦2ゴールのFWクリスティアーノをクリスティアーノ・ロナウドに進化させたい布陣。

C大阪はゲーム形式の練習ではメンバーをシャッフルして最大値を探しているようで、中盤の三角形以外に変更がある4−3−3。ペッツァイオリ監督は試合後の会見で「90分間ゲームを支配することができた」と話したが、甲府は悪くない立ち上がりで想定内の戦いができ、安定感が損なわれたのは15分と45分の杉本健勇にシュートを打たれた場面という印象。甲府もクリスティアーノがPKを貰ったか…と思うような場面もあったし、30分過ぎからはカウンターから決定機といってもいいシュートシーンは作っていた。ただ、プレーの質で見るとC大阪の選手は浮球の処理で大きなミスをしないから、アンチカウンターの守備で甲府に決定機をプレゼントするような場面はなかった。対して甲府の攻撃は、JR大阪駅と阪急梅田駅と同じくらい近い距離までゴールに近づいたこともあるのに、最後の部分で、アクセスが悪くて辿り着けない。

0-0で迎えた後半の立ち上がり、C大阪の圧力のある攻撃をCB山本英臣がファンペルシ(オランダ代表)がスペイン代表戦で見せたダイビングヘッドのようなクリアで凌ぐと、押し切られそうでもあったチームにスイッチが入った。城福浩監督が、「ボールを持っている場合はその選手の質によってリスクの負い方が決まるが、ボールのないところのリスクの負い方は全員がベストを尽くさないと。ボールが出てくるかどうか分からないところで30メートル全力で走れるか、そこを走らない選手はこのチームには必要ない」という趣旨の話をしたが、50分に石原が猛烈なチェイシングを前線から仕掛けて甲府ボールに繋げ、「本能で戦え」と城福監督からゲキを受けた青山直晃が呼応するオーバーラップで続いて押し込み、FKのチャンスに繋げた。この流れからはゴールは奪えなかったが、高い技術を持つ選手が揃うC大阪に挑むには欠かせない心意気。大事なことが少しずつ甲府に戻ってきている感じ。

後半の中盤戦からはお互いに交代カードを切って勝負を決めにかかるが、C大阪の1枚目のカードでフォルランが出てくると甲府側は多少なりとも「おーッ」となってしまう。2014年のJリーグを象徴する選手でもあるので、インパクトは充分。ただ、コンディションはまだ整っていないようで、77分にヘッドでキム ソンジュンに落としたシーン以外では決定的な仕事をするチャンスはなかった。この決定機はキムが浮かして外してしまったが、それでも丸橋祐介をはじめとするディフェンスラインの選手の質が高く、運動量も豊富なのでC大阪の押し上げる脅威が低下することはなかった。前の6枚をディフェンスラインの4枚が支えている感じ。

C大阪側から見ると「甲府の攻撃は、クリスティアーノを1枚残してカウンター」と見えるかもしれないが、野生の馬みたいに乗りこなすことが難しい選手なので”C大阪に勝ってほしい”と願っている人が感じる脅威と”甲府に勝ってほしい”と願う人が感じる手応えには差が出てしまう。「縦パス1本、あとはお願い」ではなく、クリスティアーノを活かし、クリスティアーノが周囲を活かすサッカーをやるための苦労や工夫が結構ある。クリスティアーノも未だ2ゴールという焦りもあるだろうし、その成果が充分に出ていたとは言えないが、ブラジル人選手で攻撃を組み立てたときのフィット感はいいし、68分に投入された阿部拓馬が前線でタメを作ることができる選手なので、クリスティアーノを活かし、活かされる攻撃の未来は右肩上がりという希望は萎まない。

甲府は87分に新井のロングシュートがバー当たる場面があった。こういうゲームを、こういう凄いシュート一発で決めることが年に2〜3試合あってもいいのだが、勝利の女神さまはこういう勝利を甲府にはまだ許してくれない。アディショナルタイムにはクリスティアーノと阿部(拓)のコンビで決定機を作るものの、阿部(拓)のシュートは枠の外にコロコロ…。決まっていれば「阿部拓馬、挨拶代りのゴールで勝利を引き寄せる」なんて見出しになったはずだけど、勝利の女神さまは阿部(拓)にもう少しの我慢を強いるみたい。甲府は――もちろん勝つために挑んでいるので満足はしないが――この0-0の引き分けを次に繋がる、繋げる勝点1と受け止めることができる。そして、C大阪に対しても、このままコンビネーションがよくなればもっと良くなるチーム、という印象を持つ。今は守備もしっかりやる選手にチャンスが来ているようだが、ベンチに座っている選手も質が高いから、現状認識を共有して目標を明確にすれば一丸になれるのではないだろうか。勝っても負けても引き分けても次が大事。お互い、日曜日は勝点3を取りましょう。

以上

2014.07.24 Reported by 松尾潤
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