「こんな試合が続くと苦しい…」と前節の試合直後にCB菊地直哉（鳥栖）は語った。
リーグ戦再開後の初戦となった試合、ホームでは20試合も負けていなかった神戸相手に勝利した試合だった。
リーグ一と言われる神戸の猛攻に耐えての勝利にもかかわらず、敗戦の将まじきのコメントに聞こえる。
それだけ、きつい試合だったと言えるだろうし、『何かしらのタイトルを取る』（尹晶煥監督／鳥栖）ための課題を感じてのことだった。

「優勝を狙えるチームだし、課題はあるが（次節）しっかりと戦いたい…」と前節2点目をあげたFW大久保嘉人（川崎Ｆ）は試合後に語った。
前半は、清水の攻撃に反撃の糸口を見つけることができずに苦戦を強いられていたが、後半には持ち前のパワーを爆発させて2得点を奪って勝利した試合だった。
「前半は点を取られても、後半うちは絶対に点を取れるので、OKかなと思っていた。どんな悪いゲームをしていても勝てるので、チーム力が上がってきているんだと思う」と攻撃には自信を見せている。

これらのコメントを見るだけでも、前節の試合では川崎Ｆの方が、“らしさ”を出しているように見える。
中3日での試合となるが、勢いだけを取ってみると川崎Ｆに分があるように感じてしまう。
では、この勢いのままに鳥栖は苦戦を強いられるのだろうか…。
川崎Ｆが、自慢の攻撃力で撃破するのだろうか…。
そうとも言えないのがサッカー。現に、前節の鳥栖は神戸の猛攻を耐えた中での最少得点差で勝点3を奪い取っている。
運やまぐれで勝点は得られない。90分間を通しての結果で勝点が突くわけで、崩されながらも最後は身体を張って全員で守り抜いたからこそ得た勝点3なのである。
今節の鳥栖対川崎Ｆ戦も、互いにはっきりとした攻撃の形を持っているチーム同士なので、そこをいかにして抑え込むかが重要なポイントとなるのは間違えない。
多くを語りはしないが、菊地（鳥栖）の言葉の中には、『このままでは終わらない』との強いメッセージが込められている。目下、得点ランキング一位の大久保（川崎Ｆ）とて、簡単には菊地（鳥栖）の気持ちを打ち崩すことはできないだろう。
この2人の対決の結果については、明日のレポートにも続けるつもりである。

続いて、川崎のDFと鳥栖の攻撃にも触れておきたい。
前節は、CBジェシを欠いていたが今節には戻ってくるとの情報が入ってきた。
しばらく実戦からは遠ざかっていたようだが、彼本来の能力が発揮されたら鳥栖の攻撃陣と言えど簡単にゴールを割ることはできない。
ジェシを中心とした組織的な守備を、鳥栖の攻撃陣がアイデアと運動量でいかにして崩していくかが問われるところだろう。
鳥栖の攻撃は、中断期の済州島キャンプ（韓国）である変化を見ることができた。
その変化がどのようなものかは、明日の試合で見ることができたらレポートをさせて頂きたい。
いずれにせよ、攻撃力を持った両チームだけに、守備で機能を果たせた方が勝点3を上積みできる試合と言える。
鳥栖は前節の悪い流れを絶ち切れるのか、川崎Ｆはケガから復帰してきた選手が守備での力を発揮できるのか…。
非常に楽しみな一戦となる。

文末ではあるが、お知らせもしておきたい。
明日の試合では、来場者全員にプロ野球ソフトバンクホークスとコラボ企画の限定ユニフォームが配られる。
選手たちもいつもとは違うユニフォームで試合を行う。
梅雨明けした九州北部で、少し早い夏祭り気分で試合を観戦するのも一考だろう。試合もイベントも楽しみな一戦である。

片方が攻めると、もう片方は守備に回る。
ボールが相手に渡ると、攻守が逆転するサッカー。
ボールを失わずに、いかにして相手ゴールに迫れるのかを見せるスポーツでもある。
『打つなら打ってみろ！』と投げ込むボールに力で返す野球とは違う魅力がそこにある。
ボールを足で蹴りながら、アイデアとテクニック、時にはメンタルも見せなければならない競技だけに、妙技と拙技が同居する。
ここを知った上で試合を観て欲しい。選手たちが一切手を(足を？)抜かずにプレーしていることがわかるはずである。
サッカーは、見た目以上に奥が深いスポーツなのである。

以上

2014.07.22 Reported by サカクラゲン