試合前に話していた「明確に結果を残したい」との言葉通り、まさに有言実行のFW宇佐美貴史の先制ゴールだった。
9分、左サイドのDFオ・ジェソクとのワンツーからボールを受けるとペナルティエリアの中に持ち込み、やや遠目の位置からゴール右上隅に狙いすまして右足を振り抜く。弧を描いたボールがゴールに吸い込まれた瞬間、どよめきとともに一気に沸き上がる万博記念競技場。J1再開を告げるＧ大阪の最初のゴールは「イメージ通り」だと話したエースによってもたらされる。

そのゴールに続いたのは、開幕前の練習試合をはじめ、先週行われた天皇杯２回戦でもプロ初のハットトリックを決めるなど、好調ぶりをアピールしていたFW倉田秋だ。左サイドからMF大森晃太郎、FW宇佐美と細かく繋いだパスを受けると、身体を反転させながらボールを右足に持ち替えて豪快な一撃。立ち上がりは相手にペースを握られて攻撃にリズムを見出せずにいたＧ大阪だったが、2度のシュートチャンスを、個が質の高さを示しながら確実にゴールに結びつけ、早い段階で2点のリードを奪う。

対する甲府は2点こそ失ったものの、決して悪くはない前半。アウェイ戦ということも含めて守勢に回るのかと思いきや、立ち上がりからラインを高く保ち、積極的に攻撃の姿勢を示す。この日のファーストシュートはFWクリスティアーノ。ゴール前中央、約25ｍの距離からのFKは、左に大きくカーブを描きながら枠を捉えたかに見えたが、Ｇ大阪のGK東口順昭のセーブに阻まれゴールにはならず。さらに23分にも左サイドからのFWジウシーニョの中へ仕掛けから、最後は相手DFのこぼれ球に反応したMF佐々木翔がダイレクトでシュートを放つが、こちらはバーの上へ。それでも、チームとして意図の感じられる戦いを徹底しながら、優勢に試合を運ぶ。
そのいい流れを、なんとか『フィニッシュ』に繋げたいという思いもあったのだろう。甲府の城福浩監督が早々に動き、後半のスタートからFW水野晃樹、MF 保坂一成と2枚同時に投入。立ち上がりからより攻撃の姿勢を強めて主導権を握るが、Ｇ大阪の守備陣も落ち着いて対応。FWクリスティアーノに合わせて放り込んだボールも、センターバックの岩下敬輔、西野貴治を中心に安定のパフォーマンスを示していたDFラインにことごとく跳ね返されてしまう。そんな中、58分にはDFラインからのロングフィードに反応して抜け出したFWクリスティアーノがフリーの状態でボールを受け、この日一番とも言えるビッグチャンスを迎えるが、シュートの質を欠いてゴールには繋げられない。その後も、運動量が減り、前線からのプレスもかからなくなったＧ大阪を尻目に、甲府が攻勢に試合を運ぶが、フィニッシュに至るまでの過程でミスも多く、また先にも書いた通り、Ｇ大阪の守備陣の堅守もあって決定的な形はなかなか作り出せない。

後半に入り、防戦一方の展開になっていたＧ大阪は、試合終盤になって長谷川健太監督動き、72分に足が止まったFW宇佐美に代えて、この日がＧ大阪でのデビュー戦となった元甲府のFWパトリックを投入。高さや縦への推進力を持ち味とする彼を前線に据えることで攻撃に変化を見出そうとするも、守勢に回る展開を覆せず。また、彼を活かした攻撃も仕掛けられない。結果、FWパトリックはおろか、後半は1度たりともシュートチャンスを見出せないまま2-0で試合終了。
前後半を通して甲府が10本のシュートを放ったのに対し、わずか3本のシュート数に留まりながら、そのうち2本を効率よくゴールに繋げ、かつ最後まで守備の安定が光ったＧ大阪が勝点3を引き寄せた。

以上

2014.07.20 Reported by 高村美砂