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【J2:第21節 熊本 vs 岐阜】レポート:終盤に突き放した岐阜が完封で5試合ぶりの勝利。3連敗の熊本は17位に後退。(14.07.06)

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「苦しい試合だったし、3-0の結果じゃない、1点差の勝負だったんじゃないかと思いますけどね」。
その選手時代からメディアを通して目にしてきた姿を思いおこせば、岐阜のラモス瑠偉監督は、基本的にはストレートな物言いをするパーソナリティなのだと思う。裏返せばつまり、内容的にも、また双方のチーム力を比較しても、3−0になる試合ではなかった、というのはある意味、正しい見方なのだろう。しかし結果は3点差になった。現実は重い。

この試合、熊本は4-3-3の布陣を採った。「前節、ボールに対してのプレッシャーが甘くなってしまい、特にアウトサイドで浮いた選手が出てしまった。横のスライドさえできれば、そこにプレッシャーがかけられる」というのが、小野剛監督の狙いだ。実際、「相手のトップ3人のプレッシャーにけっこうやられていた」「水野(泰輔)とヘニキからいいボールが出なくて苦しんでいた」という言葉からも、ラモス監督が熊本のプレッシャーを認識していたことがうかがえる。後方からの展開で比嘉諒人と難波宏明をスペースに走らせるが、そこに対しては熊本のサイドバックと3ボランチの左右がアプローチをかけていたこともあり、岐阜としてもうまくボールを動かして組み立て、高い位置で起点が作れていたわけではない。
だがそれでも、「最近は前線からのプレッシャーがウチはあまりない」(ラモス監督)と、前節のパフォーマンスを買われて先発に起用された遠藤純輝が、その期待に応えてスペースに動きながら流動性を作りつつ、熊本の最終ラインに圧をかけ、その下では経験豊富な高地系治が構えてセカンドボールに反応し、つなぎ役として左右に捌いた。

サイドバックがいかに高い位置を取って相手を押し込めるかは両チームにとって主導権を握る上でのポイントで、左の野垣内俊、右の益山司と、岐阜の両サイドバックが出てきた背後を使う形で、15分ごろからは熊本が徐々にペースをつかみ始めている。
33分の場面もそうした形から迎えた、熊本のチャンスではあった。園田拓也からの長いパスを納めた澤田崇がタメを作って背中を追い越した片山奨典を使い、片山のクロスには黒木晃平が合わせる。しかしこれをGK時久省吾がセーブするや、岐阜は大きくクリア。そのボールを養父雄仁が自陣へ下げると、これにいち早く反応したのは――パスの先にいた篠原弘次郎ではなく――岐阜の遠藤だった。前に出ていた熊本GK畑実がさらに出てクリアしようとしたものの、そのボールを引っ掛けた高地が左足で落ち着いて無人のゴールに流し込む。決定的なピンチから一転、34分に岐阜が先制したのである。

後半、ラモス監督はまず野垣内に代えて中村英之を送り、3バックにシフト。前半に比べてプレー強度も高くなった熊本がボールを握って攻め込むのだが、逆に岐阜は左へ回した関田寛士と右の益山も下がり、堅いブロックを敷いて対応する。これを受けて熊本の小野監督も動き、前線に巻誠一郎、さらに黒木に代えて五領淳樹を投入して前での出入りを促すが、熊本は攻撃にかかった際の最初のパス、あるいはフィニッシュに持ち込む1つ前のパスなど、大事な局面で精度を欠いた。

逆に岐阜は押し込まれる時間を耐えると、84分に関田からの縦パスに抜け出した遠藤が左から、そしてアディショナルタイムの90+2分にも交代出場の清本拓己のパスを受けた益山が右からと、ともに2試合連続となるゴールで追加点を挙げて熊本を突き放した。

ベテランを思い切って外したラモス監督の判断もさることながら、遠藤や比嘉、水野がフリーランニングでもボールを持った仕掛けでもはつらつとしたプレーを見せ、かたや30歳の時久がゴールを死守するなど、岐阜は先発起用された選手達がきっちり、それぞれの役割をこなして勝点3をたぐり寄せた。結果として前期はなかなか結果が出なかったものの、ラモス監督の言う通り、自信を掴んだ選手達がベテラン陣に火をつけることになれば、後期の飛躍も見えてくる。
一方、熊本は19〜21節の3試合で計11失点と、戦績としては下降気味でシーズンを折り返すことになった。原因はハッキリしている分、自分たちが目指す形をよりどころに修正していけるにしても、特にこの3試合については失点の仕方や時間帯が悪すぎた。もちろん、「ミスを怖がって臆病なプレーをするより、たとえそれが失点につながっても果敢なプレーをしていくべき」と小野監督が話すように、決して消極的になっているわけではない。とは言え、シーズン序盤に手にしかけていた自信と、1つ1つの局面で主体的にボールに関わろうとする姿勢が薄れているのではないかと感じられる場面も目につく。
「取りに行ってかわされた後だったり、カバーリングのポジショニングだったり、そういうのが遅れてしまっているところがあるので、細かい所を突き詰めていかないといけない」と畑が話しているが、あと1歩の寄せや、体を投げ出してでも止めるような迫力が、シーズンの序盤と比べて鳴りを潜めてはいないだろうか。

残るは半分の21試合。足元を見つめ直し、自らに問いかけ、そして顧みて、再起するしかない。

以上

2014.07.06 Reported by 井芹貴志
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