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【J2:第20節 札幌 vs 岐阜】レポート:後半アディショナルタイムに生まれた丁成勳のゴールで札幌が勝利。白熱した点の取り合いをホ制したホームチームが今シーズン初連勝を達成。(14.06.29)

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ホームの札幌が1−0のスコアでリードして折り返した後半は、互いの戦略が絡み合う見応えのある展開となった。

前半の内容に納得がいかなかったという岐阜のラモス瑠偉監督は「益山(司)とアレックス(三都主アレサンドロ)に高い位置でプレーしてもらいたかった」と試合開始時の4−2−3−1のシステムから3−5−2へと変更して後半に突入。しかし、このシステム変更で最も注目すべき部分は3バックの守り方のほうだろう。阿部正紀が都倉賢に、ヘニキが宮澤裕樹にマンツーマンで対応する形に切り替えたのだが、マークを受け渡すことはせず、徹底してこのマッチアップを維持するやり方にしていたのである。

これを「クラシカルな守り方」と評してしまうのは簡単だ。だが、岐阜の阿部が都倉にマンマークを徹底したことで、前半にクサビのプレーで攻撃の起点を担った都倉を封じてみせたわけである。実際に前半に生まれた札幌の先制点は都倉のポストプレーから生まれていたことを考えても、このラモス監督のベンチワークは充分に機能したと言っていいだろう。「なかなかあそこまでタイトにマークにつかれたことは今までない。ラモス監督らしい、思い切ったやり方だった」と都倉も言う。

ただし、札幌もこれを逆手に取ってみせた。「かなりタイトにマークをされていたので、逆にそれを引きつけるようにした」と都倉。後半開始からしばらくは前線の都倉とトップ下の選手が縦関係でバランスよくプレーをしていたものの、後半中頃になると近い距離を保つことで相手のマークを近づけ、スペースを生むプレーを増やし始める。

そうして迎えた71分。都倉と、宮澤に代わってトップ下の位置にいた内村圭宏がともにサイドに開いて相手守備を引きつけると、そうした生まれたスペースに荒野拓馬が走り込んでフィニッシュ。「前の選手がうまくスペースを作ってくれた」と荒野が言うように、岐阜の戦略を見事に生かした札幌が2点のリードを奪ってみせたのだ。

しかし、試合はこのままでは終わらない。ラモス監督が施した策の狙いはもうひとつあったことを思い出したい。マンマークの3バックにして守備を整えただけでなく、サイドバックを高い位置に張り出させる狙いもあったのである。この試合での岐阜は左サイドの三都主アレサンドロが何度も攻撃の起点となっていたのだが、システム変更後もそれは変わらずに継続され、そしてその位置は高まる。結果、札幌の守備陣は札幌から見た右サイドへの警戒を強めるのだが、問題は逆サイド。後半途中までは左MFに入っていた砂川誠、宮澤はしっかりと岐阜の益山をマークしていたが、札幌が2点目を奪う直前に上里一将が腰を痛めて退き石井謙伍がこのポジションに配置されており、急遽の投入とあって石井はうまく試合の流れに乗ることができず、加えて左サイドバックの上原拓郎も内側にスライドすることが多く、益山をフリーにしてしまう場面が頻発してしまう。

結果、72分にその益山がミドルシュートを叩き込むと、84分にも益山の突破が演出した好機から遠藤純輝が鮮やかに決めてアウェイの岐阜が2点差を追いついた。

そうした展開を「雰囲気が悪くなっていた」と荒野が振り返る。それはそうだろう。“2点差は危険な点差”とも言われることは多々あるが、現実的には圧倒的に優位なリードであることは間違いない。ホームでそれを埋められたとあっては、チームとしてネガティブになってしまうのはある意味で仕方のないことだとも言えるだろう。

だが、そうした空気をひとりの選手が払拭してみせた。韓国人FW丁成勳だ。

87分にパワープレー要員として前線に配置された丁は身長190センチ。その高さを生かして幾度も空中戦から周囲の動きを引き出し、同時に相手の守備ラインも押し下げることに成功。ジワリジワリと、敵陣深くへと入り込んでいったのである。そして90分+1、相手ゴール前で混戦が生まれると、相手のクリアが後方に流れたところをこの丁が左足で豪快にゲット。もちろんこの得点が決勝点となり、ホームの札幌が岐阜を3−2で退けた。

札幌としては大きな勝利と言うしかない。J1昇格を至上命題としながらもなかなかエンジンがかかりきらずに日程を進めてきたが、ここにきて初の連勝を達成。6位との勝点差も5へと縮め、「ここからいいリズムにしていきたい」と都倉が意気込む。いよいよ本領発揮といきたいところだ。

一方、敗れた岐阜はなかなか白星を重ねられていない状況だが、前節に続いてこの札幌戦でも試合中にシステムを変えて、流れも一変させている。個々の経験値はあらためて言うまでもないが、チームとしてのポテンシャルも間違いないだけに、ここからの巻き返しに期待したいところである。

前半戦最後の試合となる次節は、札幌は敵地で長崎と、岐阜も敵地で熊本と対戦する。

以上

2014.06.29 Reported by 斉藤宏則
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