決めるか決めないか――。サッカーにとっては永遠の課題だ。シュート数は北九州の8本に対し、松本は倍以上となる17本。しかし試合は原一樹が僅かな隙を生かして挙げた虎の子の1点を、最後まで守りきった北九州が勝利した。
序盤、試合をリードしたのはホームチームだった。開始6分、ペナルティエリア付近で船山貴之が倒されてFKを得る。押し込むことこそできなかったものの、しばらくの間、松本が相手陣内で仕掛ける。しかし、北九州は復帰した前田和哉と渡邉将基の両センターバックを中心に身体を張って抑える。
“前への姿勢”を失わなかった松本だったが、徐々に流れは北九州に傾き始める。兆候はあった。原を捕まえきれずに自陣内で自由にさせてしまう場面が目につき始めていた。それまでは人数を割いて最後の部分で抑え込んできたが、31分についに均衡は破れる。後方からのフィードが池元友樹を経由し、コンディション不良により欠場した多々良敦斗に代わって3バックの中央に入った今季初先発の大久保裕樹がクリアしきれず裏へと通ってしまう。「相手よりも先にボールを処理しようと思ったが、予想以上にボールに回転がかかっていた。自分がバウンドの処理を誤らなければ、あの失点は生まれなかったと思う」と試合後に大久保は唇を噛むが、その一瞬の隙を逃さずに抜け出し「シュートを打つまで時間もあったので、ボールとゴールを確認できた」と迷いなく冷静に押し込んだ原も流石と言える。
0−1のまま迎えたハーフタイム。期しくも両監督から同じ『リトリート』という単語が聞かれた。反町康治監督が「リトリートした守備をどう崩すかだ」と激を飛ばせば、柱谷幸一監督も「リトリートをしっかりすること」と指示を送る。そのとおり1点を追いかける形になった松本は武器のセットプレーやカウンターでゴールへと迫るが、先制したことで余裕の生まれた北九州ディフェンスがブロックを敷いてゴールを許さない。
試合が動かないまま残り時間が30分を切ると、先に動きを見せたのは松本。新加入の山本大貴がピッチに入る。交代選手はアタッカーではなく、中盤のユン・ソンヨル。フォーメーションを3−5−2に変え、前線の枚数を増やした“攻撃モード”へとシフト。互いに球際への強さが増し、笛が鳴る場面も増える。85分を過ぎると松本が攻勢を強めて場内に歓声が響くが、それでも北九州守備陣はゴールを割らせず守りきった。
試合後に反町康治監督が総括したように、「(失点は)大久保が全部責任を負うわけではない」し、追いつき逆転する可能性もあった。しかし、「最後はかなり押し込まれましたけども、みんな落ち着いて対応していたんじゃないかと思います」と柱谷監督。ワンチャンスを生かし、最後まで集中を切らさずに守りきった北九州が接戦をモノにした。決勝点の直後、原は先日第一子の生まれた井上翔太をゆりかごダンスで祝った。
以上
2014.06.15 Reported by 多岐太宿
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