文字通り相手を呑みこむかのような、圧倒的な立ち上がりだった。アウェイ富山戦に臨んだ前節、湘南はらしく前線から圧力をかけ、奪うや素早く攻撃へと転じた。縦を目指す意欲がピッチに漲り、ゴールを向いて主導権を手繰り寄せていく。
しかし、ゲームの構図に反して歓喜はなかなか訪れない。富山の粘り強さもあったろう、チャンスもシュートも積み上げたが、決め切ることができなかった。
「ゴールへ向かう積極性はいつにも増して意識して臨んだんですが」反省が三竿雄斗の口をつく。言葉の通り、意識は体現されていた。開始間もなく武富孝介とのワンツーで自らシュートまで持ち込みもした。しかし、「ああやって得点に限りなく近いチャンスが来たのは今季初めてだったので、思いきってシュートを打てなかったのが残念でした。もちろん予測して走りましたが、最後のところで考えすぎてしまったかもしれない。あそこで点を取れていればもっとみんなが楽になったと思うので、次はしっかり決めたいと思います」。
ゲームは終盤に動いた。コーナーキックの先でその三竿が菊地俊介とのパス交換からクロスを送り、遠藤航がヘディングで仕留めた。間もなくアディショナルタイムを迎えようかという90分の決勝点は、思えば前半からゴール前に攻め入っていた遠藤の積極性の実りとも言えた。「最後まで攻め続けられたことが最後に1点取れた要因だと思う」殊勲の遠藤は、チームの姿勢に勝因を求めたものだった。
第15節愛媛戦で今季初の無得点とともに初黒星を喫して以降、東京V戦、そして富山戦と続いている僅差の勝利に相手の守備的な戦いが浮かぶ。スペースを消し、ゴール前に人数を割くことで湘南の攻撃をはね返す。
「シーズン当初に比べれば、攻めあぐねる展開が多いのも事実だとは思います」そう語る菊地は、しかしこうも言う。「シュートチャンスがないわけじゃないし、むしろシュートは多い。でも入っていないというのが現状だと思うので、自分たちのサッカーを続けながら、シュートや最後のところの精度を高めていくことが大事だと思います」。そのためには一蹴入魂、決めるという気持ちが大切だと語る。昨季J1でチャンスを作りながらもゴールの遠かった湘南にあって、チームとして追求し続けるなによりのポイントと言えるだろう。
今節BMWスタジアムに迎える讃岐は、開幕から7試合勝点を得ることができなかったが、富山、長崎、札幌と対戦したこの3試合は2勝1分と負け知らずで、順位もひとつ上げた。湘南とは対照的な展開といえようか、前節のホームゲームでは、前半から札幌に押されるも粘り強くこれを凌ぎ、終盤の高橋泰のゴールによって1-0で勝利した。高橋に今季初ゴールが生まれたことや木島良輔の復帰など、勝点3とともに得られた収穫は大きい。
前節の決勝ゴール然り、クロスからの得点を特徴とする讃岐に対し、湘南は持ち前の攻撃力を発揮しながらしっかりと対応したい。初対決であり、小澤雄希やソン ハンキというかつて湘南でプレーした選手との再会も楽しみな一戦だ。
あらためて三竿は言う。
「前節同様、チャレンジャーの気持ちは今節も変わらない。そのうえで自分たちの特長や、やらなければいけないベースの部分をしっかり出したい」
チャンスはゴールのためにある。見据える高みに向け、今節もまた大切な一歩を踏む。
以上
2014.06.13 Reported by 隈元大吾
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