前節、２−１で横浜FCを下し、9試合ぶりにアウェイで勝利をあげた長崎。ホームで連勝をかけ、前節６−１で大勝した山形と激突する。6月唯一のホームゲームでもあるために何としても長崎らしい元気なサッカーをファンに見せたいところだ。今回の試合は8位（長崎）と10位（山形）の対決となるが、両チームの勝点差はわずかに１。リーグ全体を見渡してみてもプレーオフ圏内を窺う中位グループ、7位から16位は勝点7の中に10チームがひしめいている。両チームとも大混戦のリーグから一歩抜け出すためにはぜひともここで勝点3が欲しいところだ。

長崎は前節の横浜FC戦、怪我人を抱える苦しい状況ながらも、出場したメンバーは目の覚めるようなアグレッシブなサッカーを見せた。この試合の勝因について多くの選手があげたのは「強気の姿勢」。相手のカウンターやロングボールにひるむことなくラインを上げ、よい距離感を保ち中盤をコンパクトにできたことだ。コンパクトな中盤からアグレッシブなプレスが生まれ、スムーズな攻撃への切り替えができた。ディフェンスリーダーの山口貴弘も「やっていて昔の感覚を思い出してきた」と振り返っている。ただし、この試合について2点目のゴールを決めた佐藤洸一は、「守備は良いが、奪った後の攻撃はさほど良くない。横浜FCにはミスが多かったので、ラッキーだった部分もあった」と反省も忘れない。

今節対戦する山形は横浜と同様にパスで攻撃のリズムを作るチームだが、「よりダイレクトで早い」（奥埜博亮）チームだ。長崎は横浜FC戦のイメージで望みたいところだが、高木琢也監督は「必ずしも繋いでくるとは限らない」と見ている。石崎信弘監督が今節、どう出るかはまだ誰にもわからないが、もともと両チームはハイプレスを得意としているため、中盤での激しいぶつかり合いが見られるような試合になる可能性も高い。長崎は山形のプレスでボールを失わないようにしたい。

山形から長崎に期限付き移籍中の中村隼は今季の山形の特徴について「ディエゴが入ったことで前線が活性化しているし、若手の躍動も感じています。また守備も固く、ほとんど崩れることがありません。何と言っても球際に強いので、長崎はそこの主導権争いで負けないことが大事になるでしょう」と話す。山形は前節、４−１−４−１の布陣を敷く栃木と対戦。中村の言うとおり球際で圧倒的な強さを発揮して１０試合ぶりの複数得点で勝利している。

大敗した栃木の近藤祐介は試合後にチームが裏を狙いすぎたことに関して、「（プレスを避けるために）前に蹴ることは悪くはないと思うんですけど、全部が全部勝てないので、つなぐところも大事かなというのは特に前半はあったかなと思います」と話している。長崎もこの試合でチームとして繋ぐのか蹴るのかを試合中に判断し、全員が意思統一できるかといったところも大きなポイントになってくるだろう。

もちろん、相手に対応するために、互いに試合の途中でプランをガラリと変更することも充分に考えられる。そういった面では交替選手のデキも勝敗を大きく左右しそうだ。事実、山形は前節、キム ボムヨンが途中出場し、1アシスト１ゴールを挙げている。一方の長崎は先日加入した深井正樹がこの試合に出場する可能性も充分に考えられる。先発でなかったとしても攻撃のインパクトとしてはかなり大きいだろう。

ダイレクトパスが多く、前に速いサッカーをする両チームだが、この試合で共にどういう戦いを選択するかはもちろんまだわからない。興味深い両監督の采配は是非スタジアムに行って、自らの目で味わってもらいたい。

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2014.06.13 Reported by 植木修平