4年に一度のサッカーの祭典、ワールドカップが幕を開けた。約1か月に渡り、地球の反対側のブラジルでの戦いにサッカーファンが一喜一憂する。しかし、その間もJ2は続く。この戦いも注目せずにはいられない、熱い熱い真剣勝負だ。3位の松本と、5位の北九州。前半戦も残り4試合となり、お互いに少しでもいい形で後半戦へ進みたいところ。
ホームの松本は、水戸・岡山とのアウェイ連戦を1勝1引き分けで乗り切った。現在7戦負けなしと結果は残している。とはいえ負傷者が相次いでおり、台所事情は楽ではない。チームも迅速に動き、急きょ育成型期限付き移籍で仙台から山本大貴を獲得。さっそく前節・岡山戦で途中出場を果たした。本人は「ゴールが欲しかった。チャンスは何本かあったが決めきれず、もっとやれたと思っている」とスコアレスドローに終わった試合を振り返ったが、「何としてもアルウィンでゴールを決めたい」と既に今節の戦いに気持ちを切り替えている。「まだプロになってから公式戦で得点を挙げていない。アルウィンでJリーグ初ゴールを」と意気は高い。
「調子のいい相手だが、勝たないといけない」とはユン ソンヨル。「アウェイで勝つことももちろん気持ちがいいが、ホームでは4連勝中だしサポーターと喜びを分かち合いたい」と闘志を燃やしている。コンディション不良で2試合を欠場した喜山康平も今週のトレーニングから復帰しており、先発起用が濃厚。このボランチコンビが中盤に安定をもたらしてくれそうだ。
対するアウェイの北九州だが、ここ3戦勝利から遠ざかっている。前節・熊本戦も1−1のドローとなったが、前田和哉と渡邉将基の両CBを欠いては苦戦も免れなかった。しかし、苦境の中で勝点1を積み重ねられたことは事実。試合後の柱谷幸一監督も「これから夏もあり続いていくのでこの2人がしっかりやれたのは大きな収穫だった」と宮本亨と寺岡真弘のCBコンビに及第点を与えた。選手層が確実に厚みを増していることは現在地が示すとおりで、スカウティングを進める反町康治監督も「全体的に質が上がっている。今季のJ2でも最も良い補強をして、いい戦略のもとで戦っているチームの一つだろう」と北九州をリスペクトしている。
この試合の勝敗の分かれ目は、どちらがより“らしさ”を発揮できるかだ。北九州で言えばポゼッションサッカーと池元友樹・原一樹の強力2トップ、松本はハードワークとアグレッシブな姿勢だ。ボール保持能力・パス成功率が高く、フィニッシャーの2トップは「個人だけでゴールを取れる力を持っている」(飯田真輝)。ならば松本はハードワークと守備で封じ込める。もちろんただ守るだけで精一杯になるのではなく、攻撃の端緒となる守備を実践したい。ボールを奪えば、息つく間もなく前へとスイッチを切り替える。例えシュートが枠を外れても繰り返しチャレンジを続ける、そのアグレッシブな姿勢こそ松本の誇るべき“らしさ”――。今節はその激突に期待したい。
以上
2014.06.13 Reported by 多岐太宿
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