●トニーニョセレーゾ監督(鹿島):
Q:前回の試合から短い期間で立て直しました。前節で「戦う姿勢を見せないといけない」と仰っていましたが、今日の試合はどう見ましたか?
「最低限、そういった部分は示さなければいけない部分です。要求することではなく当たり前のこと。その話を、残念ながら前の試合のハーフタイムで注意を促さなければなりませんでした。正直、うちの選手はその類いの要求をしなくてもいい選手が多い中で、長年指揮する中で初めてではないかと思います。うちはどんな状況だろうと、与えられた条件の中で団結してやるのが伝統です。僕もそういった指導をしてますし、それは選手たちもいつもはできることです。さすがに前の試合は、その最低限の部分ができていなかったので、残念ながら厳しい言葉をかけざるを得ませんでした。ただ、今日見ての通り、これぐらいが本来できることであって、それ以上のものを練習で積み重ねて向上させることができる。ただ、チームとしての流れがチャンスを10回つくって1回決められるかどうかという時期なのかな、と考えるしかないような状況で、今日もあれだけ数多くのチャンスをつくりながら決められた回数が少なかったと思います。ただ、チャンスを作れているということはチームとしての方向性や選手たちの意識が良い形になっているんだと思います。今回で1回中断するので、この流れが得点に関しての悪い流れが1回止まる、という希望があります。今日も、もしかしたら予選突破できる状況まで持っていくことができました。当然、他会場の結果もありましたけれど、自分たちがやるべきことはできていましたのでもう少しでした。予選突破できなかったのは、自分たちのホームの試合を落としてしまったから、というのが正直な感想です」
Q:赤崎選手が先発しました。先発したときは期待に応える得点をあげていると思いますが、先発のチャンスが少ない理由は?
「単純なことです。皆さんはメディアとして彼を露出させる立場かもしれません。大学からの鳴り物入りという表現をするかもしれませんが、サッカーというのはただシュートがうまければ良いという世界ではありません。チームとしての約束事がありますし、こうして欲しい、ということを指導しなければなりません。サッカーのセオリーがありますし、競争意識も大学レベルとプロレベルは違う世界です。ただ試合に出せばいいと思われがちですが違います。今年も杉本選手が加入しましたが、僕は彼を一生懸命育てて、いつかは、というタイミングの見極めと準備をしているところです。彼がピッチに立った時、選手として恥じないように準備をしています。去年、豊川選手はずっと試合に出ることがありませんでしたが、彼にしっかり準備させることで今年使うことができています。まだ、それでも物足りない部分もあるし、セオリーとなる部分があって、基礎的なことをまずは叩き込まなければならないし、その後に応用編として、彼が持っている特長を試合の中で発揮していくわけです。それを1,2カ月、あるいは半年でできるかと言えばできません。本当に時間がかかるものであり、戦力として戦える選手、勝負に徹する姿勢というものは時間と経験が必要です。そう簡単にできるものではありません。ただ巧いからといって選手を送り出しても、パフォーマンスが悪かったら次の試合に出しません、ということをやってしまっては選手のキャリアや選手自身を潰すことになります。ある程度の土台を与えて、彼らが恥じないように、本来できることやれるようにしないといけません。サッカーは1人でやるものではなく、組織やるものです。組織における攻撃の動き出し、守備の連動性が必要です。あとはボールを持っているときだけ良いプレーをすれば良いわけではなく、ボールを持っていないとき、つまりプロというのは守備ができなければいけない世界です。守備の仕方、位置など、完璧にやる必要はないが、チームとしての約束事を守ってもらわなければならない。そうした中で、彼らを少しずつ先発で使って自信を持たせて、また次のことをやらせる、という繰り返しをやっている最中です。
植田選手も伊東選手も、彼らもステップを踏みながら少しずつ試合に絡みながら、僕も様子を見ながらチャンスを与えているわけです。当然ながらまだ若いので経験が足りず、判断ミスをすることもあります。それは若い選手故のあり得るミスなので、僕らが彼らと共に成長していく手助けをしなければなりません。今では梅鉢選手も試合に絡むようになりました。それぞれが選手によって、適応能力のスピードが違うわけです。すぐに理解して実行できる、という選手もいれば、理解するだけでも時間がかかる選手もいます。戦術理解度なども選手によって違うわけです。今のチームに小笠原、本山、中田、青木以上の選手がいるかといえば存在しません。若手を彼らのレベルにもっていくための指導と準備をしているわけで、少しずつやらないといけない。あとは、そのタイミングについても、ただ試合に出たい出たいと訴えている選手を試合に出しますか?普通はちゃんと準備をして、ここぞ、というところで出場させなければならない。我慢の限界に来ているタイミングで爆発してもらった方が、良いパフォーマンスを出せるし良い緊張感と同時と落ち着きが紙一重に働いて、良い緊張感の中で働くことができます」
Q:小笠原選手が先発でなかった理由と、前の試合で我慢の限界と言っていた土居選手の評価をお願いします。
「この場で我慢の限界という表現を使ったことが功を奏したというか、今日の試合を見てもらえれば僕の作戦勝ちだったと思います。さっきも言いましたけれど、小笠原、本山、中田あるいは皆さんがベテランと表現している選手以上の選手がいるかといえばいません。ただ、質問される前にその選手の年齢や状態を把握しておかなければなりません。小笠原選手は35歳の選手になり、膝の手術もしています。この気候はこれからもっとひどくなるわけであって、週2回の試合のペースを考えると消耗度は高くなります。その時、どこまで行けるのかを僕は見極めなければなりません。本人は非常に闘争心が強い選手ですので、どんな状態でも『大丈夫だ』と言ってくるでしょうが、体自体はそのように動かない時もあります。当然ながら、今は選手を入れ替え、再建をしている中で選手層が厚いかといえば建設的な話しとして、厚いとは言えません。ただ、だからといって放棄するわけではなく、今の選手層、28名前後の中で、戦力となる選手を一人でも多く育てようとしている最中です。なかなか全てがうまく行くわけではなく、チームは1名、2名を代えたところで連携や連動、意思の疎通の部分でそこまで損傷があるわけではありません。しかし、3名、4名、5名となるとチームはガラッと変わってしまうので、ピッチの中で違いは出てきます。1名、2名だったらやはりベンチに座った選手は、また出場機会を求めて一生懸命やるだろうし、自分が本来できる表現がたとえ45分間休んだとしてもちゃんとできるようになるわけなのであって、そういった部分でもチームをうまくマネジメントしなければなりません。選手層が薄いですし、予算もありません。限られた中でみんなでやっていこうという意思がクラブとしてあるので、それを僕は一生懸命取り組んでいる最中です。選手たちもそれを理解し、全員がクラブのために全身全霊を賭けて日々の練習から取り組んでいることは見てもらえれば感じられると思います。今日は、梅鉢選手が出たところも、豊川選手が出たところもうまく行ったかもしれませんが、次回もその交代がうまくいくかといえば違うかもしれません。対戦が相手がいて、他にもいろんな要素が絡む中での勝負ですから、必ずしもうまくいくとは断言できないし、人間がやっている以上いろんな変動があるかと思います。ただ、一生懸命取り組むということは僕自身に変わりはないですし、選手たちにも常にそういったところは求めていきたいと考えています。
すいません、僕の電池も切れました(笑)」
以上
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