この試合、磐田は16本、岡山も15本のシュートを放ち、オープンな展開となった。
いい入り方を見せたのはアウェイの岡山だった。均衡を破ったのは試合開始直後の11分。片山瑛一が石原崇兆とのワンツーで敵陣中央に切れ込み、左足でシュート。コースはやや中央寄りだったが、ボールはドライブ気味に変化しながらゴールネットに吸い込まれた。片山は「上手くゴールに直結して、強く向かっていった結果、生まれた得点だと思う」とこの場面を振り返る。また、利き足とは逆の左足での得点に、「『左足のシュートも持ってるぞ』ということを印象づけることができたと思う」と笑顔を見せた。
敵地で先制に成功した岡山だったが、影山雅永監督は「(先制点は)ポジティブな効果もあり、ネガティブな効果も及ぼしたと思う」と振り返る。「自信を持って動かしてといういい入り方ができたが、1点入って安心するのか、チャレンジをしていたものが停滞してしまった。その矢先に一発の裏を食らってしまった」(同監督)。岡山は試合開始から前線からのプレッシャーと相手のギャップを突くパスで優位に試合を進めていたが、わずかにその勢いが弱くなった。
その隙を見逃さなかったのは磐田のレフティー・小林祐希だった。同点ゴールは18分。中盤の中央でボールを持つと、左足の正確なロングフィードをポポへ。「裏への動きはいつも狙っている。(小林)祐希がそれを見てくれた」と語るポポが右足で強烈なシュートで叩き込み、ゲームを振り出しに戻した。小林はその後も卒のない配給を見せたが、勝利ならず、試合後は「3人目の動き出し、パスのタイミングを含め、練習でやっていくしかない」と反省を口にしていた。
対する岡山のレフティー・上田康太も中盤の底でつなぎ役となりつつ、献身的な守備を見せた。62分にはフェルジナンドのヘディングシュートをライン上でクリア。さらにその直後の66分には相手のカウンターを体を張ったディフェンスでカット。試合後は「やはりこのスタジアムは僕にとって特別な場所。いいプレーを見せたかった」と話していたが、古巣のサポーターに成長した姿を見せることができた。攻撃面では最大の見せ場は試合終了間際。CKを後藤圭太の頭に合わせ、ポスト直撃のヘディングシュートをもたらしたが、惜しくも勝ち越しゴールはならなかった。
得点場面以外にも互いにチャンスはあった。77分のチャンスは岡山。頭部を強打した八田直樹に代わり後半開始からピッチに立った藤ヶ谷陽介が、藤田義明とエリア内でボールを見合う形に。その隙に石原崇兆がボールを奪い、右足でシュートを打つも、これは枠の横。88分には途中出場の押谷祐樹がカットインから右足で強烈なシュートを放ったが、藤ヶ谷の鋭いパンチングに防がれた。
磐田も試合終了間際に山崎亮平のシュートのこぼれ球を前田遼一が頭で押し込んだが、これはオフサイドの判定。ホームで勝ちきることはできなかった。
勝点1を得るにとどまった磐田は他会場で勝利した松本に追い越され、3位に転落。同じく他会場で勝利した首位・湘南との勝点差も『14』に広がった。連敗こそ回避したが、2試合勝利から遠ざかることになり、次節はホームに水戸を迎える。対する岡山はクラブ新記録となる4連勝こそならなかったが、これで8試合負けなし。順位は5位のままだが、4位・北九州に勝点で並んだ。次節は2位・松本とホームで対決する。
以上
2014.06.01 Reported by 南間健治
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