浦和にとって、この試合は決して消化試合ではない。ミッドウィークに行われた第6節で甲府を2対1で下し、1試合を残して予選リーグ突破を決めたものの、最終節で対戦するのは勝点2差で3位につける名古屋。首位での突破を決めるためには、この試合に敗れることは許されない。一方の名古屋にとっては言わずもがな。自力での予選リーグ突破をかけた、今大会最大のビッグマッチとなる。ただ、この試合は前週末にもたらされたビッグニュースにより、より広い意味で世間の注目を集めることとなった。
浦和の生え抜きのスター、原口元気がこの試合を最後にクラブを離れることになったのだ。
2014年W杯に出場する日本代表メンバー23名の選考から漏れた原口だが、4年後に向けた動きは早かった。原口が選択した道は、かつての浦和でのチームメイト、細貝萌が所属するドイツ・ブンデスリーガの古豪ヘルタ・ベルリンへの移籍。原口は移籍発表直後に行われた甲府戦ではメンバーから外れたものの、ペトロヴィッチ監督は名古屋戦での起用を明言。このため浦和にとってこの一戦は、単なる首位防衛戦ではなく、原口のラストマッチとして特別な意味合いを帯びることになった。
ジュニアユース時代から浦和のエースとして君臨してきた原口は、プロのカテゴリーでもすぐさまリーグ屈指のドリブラーとして認知されるようになり、相手のマーカーが何人いようと左サイドから果敢にドリブルを挑んでいくその姿は、埼玉スタジアムではお馴染みの光景となっていた。しかし、その光景も少なくともしばらくの間は見納めとなる。
かねてから海外移籍をする場合は浦和に移籍金を残して去ることを希望していた原口は、ちょうど3年前の2011年6月、チームと2015年1月までの長期契約を結ぶ。その直後に行われた大宮との埼玉ダービーでは、スタンドには「若いレッズはおまえの背中を見て育つ。ありがとう元気」と書かれた横断幕が掲げられた。以降、原口と浦和サポーターは強い絆で結ばれることになる。日曜日の試合は、決して高い金額でこそないが、移籍金を残すという約束を果たした原口を、サポーターがどのような形で送り出すかにも注目だ。
一方で対戦相手の名古屋も、むざむざと勝利を譲って原口に花をもたせるつもりは毛頭ない。引き分けでも勝点10で並ぶ2位甲府(最終節は試合なし)を上回ることはできるが、勝点8で背後に迫る4位柏が徳島に勝利した場合には、得失点差で予選リーグ敗退が決まる。つまり確実に決勝トーナメントに歩を進めるためには、埼玉スタジアム2002で勝点3を奪うことが条件となる。
こうしたなか、名古屋は攻守の要を欠いて重要な一戦に臨むことになった。守備の重鎮、田中マルクス闘莉王は累積警告により古巣相手の試合には出場できず。さらに大型ストライカーのケネディも、2014年W杯のオーストラリア代表メンバーの予備登録メンバーに選ばれたため、この試合は欠場となった。この二人はリーグ戦で共に4ゴールを挙げており、これはチームトップの数字だ。
それでも名古屋は玉田圭司、永井謙佑というスピードを武器とするツートップを擁している。この二人が浅いラインを敷く浦和ディフェンスの裏を快走すれば、大きなチャンスが生まれることになりそうだ。
守備に目を移せば、名古屋にとってはこの試合の主役である原口を抑えることが重要となる。名古屋は原口にプロ初得点を決められるなど過去に何度も煮え湯を飲まされており、今季のJ1第7節でも同点弾を許している(その後1対2と逆転負け)。この試合が当人のラストマッチであるという事実を抜きにしても、最も警戒を要す相手だと言えるだろう。ベテラン闘莉王を欠く若きDF陣がどのように原口を抑えにかかるか注目だ。
浦和が若き背番号9のラストマッチを勝利で飾るのか。それとも予選リーグ突破のかかる名古屋がパーティーに水を差すのか。Jリーグ創設時からのライバル同士である両者の一戦は、様々な意味で見応えのある一戦となりそうだ。
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