第12、13節と今季初の連勝で迎えた前節アウェイでのvs熊本戦を、東京Vは0−0のスコアレスドローで勝点1を持ち帰った。この△を、「負けなかった」とするのか、「勝っていない」と印象付けるのか。その意味でも、今節は非常に大きな意味をもつ。ホーム初の連勝で、サポーターに「ようやく流れが出てきた」と証明したい。
結果として、3試合連続無失点となっているが、受け取り方は様々と言えよう。その中で、まずは、守備の安定をポジティブにとらえるべきだろう。前節は、シュート数が熊本の9本に対し2本と、相手により多くのチャンスを作られながらも耐え忍んだ。「これが最初の頃だったら、たぶん失点して負けていたと思います」と、DF安在和樹は語り、「シュートブロックの場面とかを見てもわかってもらえると思いますが、全体として粘り強さが出てきている」チーム皆の『守ろう』という意識の高まりを感じているという。たしかに、振り返ってみれば、第5節で長崎戦で5失点を喫して以来は、9試合で4失点。いずれも複数失点なしという堅守は「上出来だと思います」(安在)安定しつつあると言ってもいいのではないだろうか。
だが、J1でプレーしてきた主将・田村直也のベースからみれば、「(GK佐藤)優也さんの好セーブで救われている部分もあるし、自信をつけるのはまだまだ早い」。無失点が続いているのはたまたまであって、本当の意味の堅守を構築するために、さらなる追求が必要だと語った。そして、続けた。「今は、なかなか取れていないから、先に失点して、2点3点取らないと勝てないという状況は、正直厳しい。それを考えたら、やはり、まず無失点で、なんとか1点を奪って、その1点をしっかりと勝利に結びつけるという方が現実的だと思います」。三浦泰年監督も、「考え方。仮に、1点目が89分であっても、先制点は先制点。大事なのは、良い攻撃をするために“先に点をとる”こと。それはつまり、“先に失点しない”こととも言える」と力説する。やはり、この試合でも先制点が大きな鍵となる。
一方で、前節も無得点に終わったことを、チームとして大きな課題としてとらえている。前節は、「FWになかなか良いボールが入らなかった」「入ったとしても、そこでボールが収めることができなかった」など、それぞれゴール前のシーンを作ることができなかったと振り返り、反省している。その中で、改善策として今週は、ボランチやサイドバックからスピードアップのためのくさびのボールを入れる練習や、両サイドからのクロスボールの精度をより高めることを再確認している。「クロスボールの質を高めて、しっかりと中で合わせて、仮にそれが直接ゴールにならなくても、こぼれ球からのシュートや、そこからさらなる攻撃展開などにつなげたい。その意味でも、僕らボランチも、サイドハーフも、とにかくゴール前にもっと人数をかけることができれば。その練習はしっかりとできた」と、田村は今週の練習での改善に手応えを口にしている。「きっと、北九州戦のような、アグレッシブな展開が見せられると思います」と、安在も語る。
なかなか得点力が上がらないFW陣だが、起爆剤として期待したいのが南秀仁だ。前節、5試合ぶりにアディショナルタイムに1分だけ出場したが、ベンチやスタンドから戦況を見つめ、感じていることは非常に多いという。「自分が出たら、できるだけFWの近くにいて、FWに入ってからのセカンドボールから崩したりしていきたい」(南)。投入される時間帯が時間帯だけに、戦況によっては裏へのボールが主で、丁寧につないで時間をかける攻撃が難しいことも十分ありうるが、それでも、「僕が入ったら、足元につけてほしいと、練習でもみんなに話した」と、南は語る。現時点では、出場時間は後半残り数分に限られているが、それでも、「試合に出られない人もいる。それに比べたら、たとえ1分でも、チャンスをもらえているだけ恵まれています。その中で、絶対に結果を残したい。(出場)時間が長ければ長いほど、結果を残す自信はある。たとえ1分という短い中でも、一番は自分が点をとること、それができないなら、誰かに点を取らせることを追求したい」胸の内は燃えている。その思いの強さに、ぜひ期待してみたい。
大分は、今季2度目の連勝を目指す。印象としては、安川有、松本怜が縦に並ぶ左サイドをストロングとしている感があったが、前節は西弘則を3試合ぶりに先発起用し、松本昌也との右サイドも活性化。両サイドからのバランスとれた攻撃に、東京Vも警戒が必要だ。だが、一方で、そこにこそチャンスも隠されていると、安在(東京V)は目論む。「相手の両サイドが高くとってくると思うから、スペースが生まれる。そこをこっちもうまくついていきたい」。東京Vも、両サイドに個性強い顔ぶれが揃うだけに、互いのサイドでの攻防が、この試合の大きな見どころの1つとなりそうだ。
昨季J1で戦いながらも、1シーズンで再びJ2での戦いを強いられることとなった反省から、大分も再びしっかりとベース作りから着手しているに違いない。東京Vも、ベース作りの真っ最中である。両者とも、どのようなスタイルを目指しているのかが、見ている人に伝わるような戦いぶりに期待したい。
以上
2014.05.23 Reported by 上岡真里江
J’s GOALニュース
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