清水が3−2でF東京を破り、ヤマザキナビスコカップ予選リーグA組首位に立った。勝者と敗者は、必然の姿だったのかもしれない。F東京の選手たちは皆、「すべてが悪かった」と口を揃えた一方で清水のアフシン ゴトビ監督は会見場で口を開くと、笑顔でこう語った。
「エンターテイメント性の高い試合だった。質の高い5得点が入ったが、サッカーファンにとっては観ていて非常に面白かったのではないかと思っている。それに、結果にも満足しているよ」
その勝因と敗因も明らかだった。F東京にとっては、今季ここまで乗り越えてきた課題がすべて出た試合だったと言っても良いだろう。組織だった守備は、試合開始から姿を見せずじまいだった。マッシモ フィッカデンティ監督が常々言葉にしてきた「i temp」(イタリア語でタイミングの意)はこの日のピッチに欠如していた。前線からプレッシングを掛けようと試みてはいたが、連動性を欠いてFWがボールホルダーに向かっても後続が続かない。最終ラインを押し上げることができず、中盤にはスペースが広がった。
そして、F東京のそうした状況を生んだのは、清水の攻撃が機能していたからだ。彼らは、ピッチを広く使うことができていた。F東京の最終ラインの背後に何度も高木俊幸が飛び出し、サイドの選手はうまくサイドに張り出してピッチの横幅を生かした攻撃をしていた。的を絞らせない配置を取り、うまくボールを逃がしながら攻めるということができていた。結果的に、それが先制点にもつながっている。
F東京にとっては、ミスが絡んだ失点が重くのし掛かった。試合内容は悪かったが、そこで耐えきれなかった。開始8分に、高橋秀人のパスをさらわれると、そのままつながれ、高木にゴールネットを揺らされた。さらに、18分にエドゥーが相手の背後に抜け出して同点に追いつくも、3分後にはリスタートから大前元紀に追加点を奪われてしまう。
さらに、試合を折り返した57分にはカウンターから河井陽介にボールを運ばれ、右サイドへと展開される。高木が中央に折り返したボールは、ノヴァコヴィッチに決められてリードを広げられてしまう。87分にエドゥーがミドルレンジから敵将も「すばらしい」とべた褒めするシュートを決めて1点差に迫ったが、2−3でゲームを落としてしまった。
そもそも、F東京にとっては、この日の失点の形は3点とも今季直面した課題の数々だったはずだ。試合後、高橋は自戒を込めて言った。
「今まで改善してきたのに、ここで逆戻りしてしまった。僕も含め、このスペースを見ていればいいというところがあった。自分のエリア以外を守ろうとする足の運び、準備ができなかった。自分を含めて悪かったと認めないと、勝ち癖をつけるということを達成できない。ここで、すべての膿を出しつくさないといけない」
試合への臨み方、集中力、そして一つ一つのプレーの強度。残念ながらこの日のF東京はそれらでも清水に劣っていた。だからこそ、試合内容が悪くても勝点を拾うということができなかった。清水は勝つべくして勝ち、F東京は負けるべくして負けた。フィッカデンティ監督も「ここ数カ月見せてきたパフォーマンスのレベルに達していなかった」と素直に認め、改善、修正を口にした。F東京はこの敗戦と向き合わなければ、また同じ過ちを繰り返してしまう。次じゃなく、大切なのは今だ。
以上
2014.05.22 Reported by 馬場康平
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