北九州が逆転勝ちで勝点3を手にし、4位に再浮上。「あまりいい入り方ができず本当に苦しい展開だった」(柱谷幸一監督)という前半から一転、後半に風間宏希と小手川宏基の連続ゴールで勝利を呼び込んだ。
厳しい見方をすれば手中に収めたのは勝点のみで、結果とともにチームとして目指している「内容」や「フェアプレー」でこの試合は合格点を得られたわけではない。プレビューで触れた試合2日前の集中力を欠いてしまった練習。その日、渡邉将基は「練習が悪いと試合も悪くなってしまう」と話していたが、悪い予感は的中してしまった。北九州はボールのないところでの動きが鈍く自らパスコースを限定してしまっただけでなく、群馬のボールホルダーへの厳しいアプローチをかわせず、前半は思ったようなプレーが全くと言っていいほどできなかった。
ぼわっとしたような入りの中、先制したのは群馬。8分、小柳達司が右サイドからグラウンダーの鋭いパスをペナルティエリアに向けて送ると、DFに当たってコースが変わったところを野崎桂太が拾い、「チャンスのところで力んでしまうのが課題だったのでそれだけは意識して蹴りました」と力を抜いて冷静にシュート。コースを突いたボールがネットを揺らし群馬が先手を打った。
この先制後も群馬がボールを保持する時間が長く続く。しかしシュートの一歩手前でボールを失って枠まで飛ばせず、スコアはそのまま0−1でハーフタイムへ。
逆転を狙う北九州。柱谷監督はハーフタイムで「0−1は『点差』ではない。0−0の気持ちで行き、1点取れば流れは来る」と選手を鼓舞してピッチに送り出すと、後半から投入の渡大生のスピードも相まって徐々に北九州が「流れ」を引き込んでいく。
61分、渡は枠を捉えるミドルシュートを放つ。これはGK内藤圭佑の好セーブで枠外にはじき出されてCKとなるが、ここで得たCKではニアサイドに小手川宏基が飛び込んでクロスバーを叩き、にわかに得点の香りが漂い始める。そうして65分。小手川のクロスを原一樹がペナルティエリア内で収めると、「前半よりも前に近い位置にいて受けよう」と目論んだ風間宏希がその狙い通りに原のパスをもらって鮮やかに同点弾。なおも北九州の勢いは止まらず、直後の67分にはカウンターから原が攻め上がっていくと、原と同タイミングで中央を駆け上がった小手川にパス。小手川はGKが高い位置を取っていると見るやすかさず右足を振り上げてループ気味のシュートを狙い、ボールはそのままゴールへと吸い込まれた。
この連続ゴールが効き、2−1で北九州が逆転勝利。前半から一転して「流れ」を自分たちのものとした北九州が、後半は勢い負けした群馬を下した。小手川のゴールは北九州のホーム通算100ゴールにもなり、ヒーローインタビューに登場した成長株たる背番号10は「記念のゴールを取れたのでこれからもゴールできるように頑張っていきたい」と笑顔を浮かべていた。
もっとも北九州は結果としては勝てたが90分を通した内容では群馬に軍配が上がる。着替えて再び取材陣の前に現われた北九州の選手たちの表情は硬く、「前半の入り方や試合運びは課題」(前田和哉)という認識は共通していた。背景にあるのは上の渡邉の言葉のとおり練習が試合の入り方を左右するという現実だ。次節はラモス瑠偉監督を迎えてテコ入れを図っている岐阜とアウェイで戦い、その次のホームは上位を伺う栃木と当たる。決して簡単な試合ではないだけに、トレーニングから集中してゲームに備えていきたい。
一方の群馬は「90分通してしっかりとしたゲームができていたが、残念ながら最後のクオリティの差が結果になった」という秋葉忠宏監督の言葉が全てを物語る。ゲームの主導権を握って先制。ディフェンスの安定感も際だち前線からの厳しいチェックも、ボックス内での人数を割いた守備も効果的だった。しかし終始チャンスも作りながらも追加点を奪えなかったことと、同点に追いつかれた直後にさらに点を奪われてしまったことで、掴みかけた勝点をこぼしてしまった。それでも白星を手にする流れは一時的にはできあがり、指揮官は「下を向く内容ではないし狙いとするサッカーを体現してくれた」とも語る。「勝点3」は勝負どころの微妙な差で行ったり来たりする。この試合では呼び込みきれなかったが、自分たちのサッカーを信じて次節へと駒を進めたい。
メモリアルゴールで幕を閉じたゲーム。結果と内容はリンクしたり、しなかったり。サッカーの不思議や奥深さを感じる試合になった。
以上
2014.05.19 Reported by 上田真之介
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