ワールドカップによるJ1リーグ戦中断期間前の、最後のホームゲームに臨んだC大阪。しかし、9本のシュートがどれもゴールに結び付かず。自慢の攻撃陣が火を噴くことなく、0-1と惜敗した。
対する仙台は、渡邉晋監督の采配も的中して、3連勝を達成。前節の反省を活かし、「決して選手はひるむことなく、バランスよく守りきることができていた」(渡邉監督)なかで、スコアレスで迎えた83分、途中出場の佐々木勇人と赤嶺真吾がつないだボールを、最後は梁勇基がゴール。仙台の10番が奪った値千金の決勝点により、アウェイで貴重な勝点3を得た。
「今日は、全体的にかみあっていなかったと思う」。C大阪の主将・山口蛍が、試合後の囲み取材冒頭でそう述べたとおり、桜色の戦士たちは、自分たちの思い描くサッカーを遂行できなかった。6日に行われたACLラウンド16・第1戦・広州戦での大敗劇を払拭するどころか、その悪い流れがさらに続いてしまった。DFの要・山下達也を出場停止で欠いたなか、今回は序盤戦で採用していた4-4-2のシステムに戻して、攻撃的に勝ちに行った、はずだったのだが……。
「ゲーム自体は、私たちがボールをしっかりと動かしながら、決定機、チャンスをいくつか作れた」と言うのはC大阪のランコ ポポヴィッチ監督。しかしながら、「メンタル的に勢いを持って入ろうといった選手たちの姿勢は、前節の神戸戦にはなかったもの。そういったメンタリティーを持ちながら、コンパクトに、オーガナイズをしっかり整えたなかで守るということを、共通理解を持ってやりきれたと思うし、距離感よくバランスよく守れていた」と渡邉監督が言うような、仙台の組織的な守備を崩すまでには至らなかった。
また、戦前の分析から、「特に前半、相手の背後のスペースを活かして」(ポポヴィッチ監督)、押し込んだように見えたが、実際は「戦術として、裏のスペースを狙うというのはあったが、ほとんどの時間帯が裏を狙うボールばっかりだったので。今日は裏に蹴って、相手ボールになって、その繰り返しだった。しんどいゲームというか、走っただけで終わったゲームになってしまった」(山口)。前半に作った決定機も、柿谷曜一朗のループシュートがDFに阻まれたところと、フォルランの直接FKがクロスバーを直撃したところの2本のみだった。
さらに、タイミング良く赤嶺、佐々木を投入し、活力が生まれてきた仙台とは対照的に、C大阪は後半途中で南野拓実を下げたことにより前線からの守備も機能しなくなり、試合が進むにつれて足が止まり始め、ウイルソンにC大阪の選手2人が抜き去られるシーンなども見られた。72分にはフォルランにこの日最大に決定機が訪れたが、これが仙台GK関憲太郎に阻まれると、83分、C大阪にとって恐れていた最悪の事態、冒頭に述べたような先制点を奪われることになった。その直後、3枚目の交代カードとして、柿谷に代えて永井龍を送り込んだC大阪。キンチョウスタジアムに集った多くの桜色のサポーターの声援も後押しに、なんとか1点を取りにいくも、終了間際の酒本憲幸のFKからの最後のチャンスも、仙台の分厚い守備の前にゴールへ至らず。試合後にはスタンドからC大阪に対してのブーイングも巻き起こった。
従来の流れるようなパスサッカーが影を潜めたC大阪。「ゴールに向かう迫力は、今日いまいちなかったし、そういうのをもっと出していかないといけなかった」と言うのは扇原貴宏。「相手のリズムに合わせてサッカーをしていたような感じでテンポが遅かったので、もっと自分たちのリズムでやらないと(相手にとって)怖くないかなと思う」と言うコメントには、C大阪本来のサッカーができない悔しさを感じさせた。
これで4月、5月のホームゲームは勝ちなし。J1とACLとの連戦が続き、疲れがピークに達しているのも否めない。戦術も奏功しない試合が続くC大阪。でも、山口は言う。「今、耐えどきだと思う」と。それに、桜色の戦士たちには、試合後、チームバスがスタジアムを後にするときにも、応援歌「POWER AND THE GLORY 〜我がCEREZOに弥栄あれ!〜」を必死に歌い続け、イレブンを鼓舞しようと、ともに戦ってくれるサポーターがいる。「本当にふがいない気持ちは、選手みんな分かっている。こういう苦しい状況でも応援してくれたり、信じてくれるサポーターやファンの人たちのためにも、次は中国アウェイ戦ですが、状況的には厳しいかもしれないけど、試合がある限り、勝利に向かって、あきらめずに頑張りたい」というのは、長谷川アーリアジャスール。現状を打破するなら、C大阪は中断前の公式戦残り2試合、ここからの変化を、そして勝利を、ピッチで示さなければならないだろう。
一方の仙台は、「しっかりチームで粘り強く戦って、1点をもぎ取って勝てた。ちょっと仙台らしい試合だったのかなと思う」と、殊勲の梁も言うような展開で劇的な勝利を飾り、09年から続くC大阪戦のリーグ戦での無敗を11に伸ばした。「間違いなく、勝利で得られる自信というものは、選手、チーム全体が今、持ち続けているので、そのあたりを引き続きプラスにして進んでいかなければいけない」と、5月全勝へ、さらに気を引き締め直した渡邉監督。若き指揮官とともに、チーム一丸となって戦えていることこそ、C大阪との結果の差を生んだと言えるのかもしれない。
以上
2014.05.11 Reported by 前田敏勝
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