勝てない。「ゴールデンウィークの連戦で、これまでの借金を帳消しにする」と、鼻息荒く連戦に向かった群馬・秋葉忠宏監督だが、そんな目論みは砕け散っている。３日の前節アウェイ千葉戦でも敗れ４月以降勝ちなしでクラブワーストタイにあと１つと６連敗。「（連敗については）サポーターに申し訳なくて、コメントするのも恥ずかしいくらいの気持ち」（黄誠秀）。今節の山形戦で群馬に課せられたミッションは、連敗を止めることだけ。不名誉な記録に肩を並べることだけは避けなければならない。

千葉戦は後半早々まではだれもが連敗ストップを確信した。だが、過ちは繰り返された。２点リードしながらもその後に３失点を喫して痛恨の逆転負け。第９節・ホーム福岡戦に続くゲーム終盤での失態。気持ちを切り替えることは大事だが、逆転負けに至った要因を検証しなければ同じ失敗を繰り返すことになる。セットプレーのマークの緩さなど、チーム全体の甘さが不幸な結果を招いている。

白星から遠ざかるチームに追い打ちをかけるかのように悲報も届いた。第５節・富山戦で負傷交代して以来欠場していたエース兼主将・平繁龍一が右ハムストリング付着部損傷で全治３カ月の診断となったことが４日に発表された。群馬は平繁が離脱した第６節以降全敗、エース不在が結果に大きな影響を及ぼしている。平繁抜きでいかに戦うか。この試練を乗り切れなければ、今季も残留争いに巻き込まれる可能性は否定できない。

暗い話題の多い群馬だが、明るい材料もある。前節の前半終了間際に青木孝太が決めたゴールはJ２通算１万２５００点目、そして瀬川和樹が流し込んだゴールは群馬の通算４００点目のメモリアルゴールとなった。
今季初ゴールに加えて瀬川のゴールをお膳立てした青木孝は「千葉戦は２つのメモリアルゴールが決まりながらも勝てなかったのは本当に悔しい。その悔しさを山形戦へぶつけたい」と連続ゴール、そして連敗ストップを誓う。瀬川は「ゴールはうれしかったが、勝てなかったので意味が薄れた。山形戦は泥臭くてもいいから勝点３を奪う」と勝利へのこだわりを口にした。群馬は攻撃の歯車が噛み合い始めているだけに、ゴールを結果につなげたい。

山形は今季初の連勝を狙って群馬に乗り込んでくる。前節・富山戦では、11年に群馬でプレーした愛犬家ストライカー萬代宏樹がアディショナルタイムに千金の決勝ゴールを決めて１−０で快勝した。上位追撃がかかる今節・群馬戦は、勝点３が求められるゲームだ。さらに山形には昨季まで群馬で通訳を務めたダニロが在籍、ディエゴとともに正田スタへやってくる。群馬時代は、ピッチサイドの演技や小技で時間を稼ぐなど12人目のプレーヤーとしてチームとともに戦い、サポーターからも愛された。ダニロが劇的に成長したとは思えないが、彼がどんなパフォーマンスを見せるか注目だ。

財政難によりJライセンス危機に陥る群馬は今季、ライセンス確保のために救済募金を展開、個人・企業・団体などから2000万円以上が寄せられている。募金に協力してくれた人々のためにもクラブワースト連敗記録に並ぶことだけは避けなければならない。マイナスの重圧がかかるゲームとなるが、これも自分たちがまいたタネ。その災いは自らで刈り取らなければならない。「チーム全員が現状を理解して、意識を変えなければいけない」（小林竜樹）。６連敗はチーム力がない証拠。自分たちの弱さを認め、謙虚な姿勢でゲームに向かうことが連敗阻止の条件だ。

群馬は試合当日、選手全員がバスに乗り込み、一致団結して正田スタ入りするという。「先発は当日朝のコンデションを見て決める。選手全員の気持ちをひとつにして連敗を止める」（秋葉監督）。もうこれ以上、黒星を続けるわけにはいかない。今季のチームに戦う資格があるのかどうか。ジャッジが下されるゲームだ。

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2014.05.05 Reported by 伊藤寿学