待たされれば待たされるほど、思いは募るものだ。未だ手に出来ていないホーム初勝利を、東京Vの監督・選手・スタッフ、クラブ関係者、そして、誰よりもサポーターは「今度こそは」と、待ち焦がれている。歓喜の瞬間を信じ、今節もそれぞれが自分の場所でチームのために一丸となって“1勝”を目指す。
ここ2試合を振り返り、三浦泰年監督は守備面での手応えを口にしている。特に前々節の磐田戦は、セットプレーで失点を許したものの、「コレクティブな守備ができていた」チームとしてコンセプト通りの戦い方ができたことを評価する。前節の札幌戦も、勝点3こそ挙げられなかったが、無失点で終えられたことはポジティブに受け取っていい要素だろう。「理想は11人、最低でも9人が守備意識をもっていないと、やられる」と語る指揮官の言葉に対し、選手たちからも「まずは守備から」「先に失点しないようにすることが大事」との言葉が数多く聞かれる。その意識の高さが、結果として直近5試合での3失点という守備の安定感に表れているといえるのではないだろうか。今節も、90分間集中力を切らさず、無失点を目指す。
一方で、一番の課題として三浦監督が指摘したのが、ボールロストの多さである。「守備に人数をかけてしっかりと相手のストロングを抑えても、そこで奪ったボールをロストして、自分たちから相手にチャンスを与えていることが多い」。先に失点を避けようとする意識の強さから、若干低めの位置で人数をかけて奪うことが増えているだけに、そこから攻撃に切り替えたところでロストしてしまうと、あっという間に決定機を作られてしまう。低い位置からの攻撃スタートとなれば、FWがゴールに持ち込むまでの距離も増えるというもの。失う場所によっては、再びFWが守備に戻らなければならず、さらに長距離を走る羽目となってしまう。FWの守備負担を軽減するためにも、攻撃に転じてからは、最後まで攻めきることが重要だろう。
攻撃は、2試合連続で無得点に終わっているが、「常盤(聡)との関係もどんどん良くなっている」と、平本一樹はますますの手応えを感じているという。前節も、ワンツーで相手DFの狭い間を割って崩す絶好のコンビネーションから決定的場面を2人で作り出していた。それだけに、「あと1〜2人、ボールを運んでくれる仕事をする選手が必要。そうすれば、もっと攻撃の幅が広がる」と平本は話し、特に前田直輝にその重要な役割を期待した。その前田も、ボールロストの多さを猛省しており、今まで以上にボールを大事にすることを意識しながら、もっと積極的に周りの攻撃陣と絡んでいくことを自らに課している。その上で「得点やアシストという目に見えた結果で存在感を示したい」と気合いを入れ直している。
前節、3試合ぶりに白星を挙げた岐阜は、意気揚々と乗り込んでくるに違いない。まして、相手がラモス瑠偉監督が愛して止まない東京Vである。燃えないわけがない。恐らく、選手たちにも相当な発破をかけてくることは想像するに容易い。
東京Vの三浦監督は、個人的にも深いつながりのあるラモス監督の作っている、GK川口能活、三都主アレサンドロら元日本代表経験のある選手に加え、高地系治、難波宏明、宮沢正史ら経験豊かで才能溢れる選手たちが集まるチームを、「素晴らしいチーム」とリスペクトする。また、その印象を「思い切りがよく、怖いもの知らず」と話した。思い切りがいいといっても、若さからくる勢いではない。太田圭輔、杉山新といった、「経験ある選手たちの縦の推進力こそが、『思い切りがいい』と映るのかもしれない」(三浦監督)。東京Vの若い両サイドとのかけひきが、ポイントの1つとなりそうだ。
そして、この試合は両チームにとって改修前最後の国立競技場でのゲームとなる。その両チームを率いるのが三浦監督、ラモス監督という、国立競技場をイメージさせる両雄なのだから、感慨深いものがある。サポーターにとっても、2人が同じフィールドに立っている姿に、いろいろな思い出が蘇るかもしれない。「絶対に負けたくない」三浦監督も、平本も、尊敬するからこそ「対ラモス監督」に必勝を胸に期す。きっと、ラモス監督もまた同じ思いに違いない。「プレーヤーとしては勝てなかった。だからこそ、監督としては絶対に勝ちたい」と三浦監督。さまざまな感情を抱きながら、国立最後のホイッスルを待つ。
以上
2014.05.02 Reported by 上岡真里江
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