今日の試合速報

ACLE
ACLE

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2日記】大分:12億円の借金を背負った男の涙(14.04.30)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ぐっと涙をこらえる『大分のカルロス・ゴーン』青野社長

クラブの経営破綻寸前から4年。11億6700万円の借金を背負った青野浩志社長が、「クラブ再建」と「債務超過解消」の大きなミッションを成し遂げ、涙した。
4月28日に行われた株主総会後の記者会見で、大分県と県内市町村、地元企業から計7700万円の出資を受ける増資が承認されたことを伝え、「クラブの最大の課題であった債務超過が解消され、クラブライセンスを所得できる見込みとなりました」と報告。その後に「私が社長に就任してからの4年間、毎季のチケット購入やスポンサーのご支援、一昨年にはJリーグの歴史に残るであろう約3億円のJ1昇格支援金、さらには今回の4億2000万円もの増資へのご協力など、多くの県民、サポーター、経済界、行政の皆様の温かいご理解、ご支援により本日を迎えることができました。本当にありがとうございます」と、涙で言葉が詰まりながら感謝の言葉を語った。

ここまでの道は本人の語るように「茨の道だった」。2009年11月にクラブの約12億円を超える債務超過が発覚。破綻寸前の状況下では、火中の栗を拾う者などおらず白羽の矢が立った。「辞令の紙1枚で部署を動くのが役所の人事」と翌年1月に県庁マンから代表取締役社長に就任した。当時は、自分が作った借金でもないのに「公務員に何ができるんだ」という辛辣な言葉を浴びた。「お金がないことがこんなに苦しいのかと初めて体験した」と青野社長。毎月定められた給料が振り込まれる公務員生活から、毎月資金繰りに追われる借金生活に一転。10日に税金を払い、25日に選手、社員の給料、月末には協力業者への支払い。毎月3回のヤマ場を過ぎれば、すぐに翌月の支払いが迫る。それを毎月こなすために実直に金融機関を回り、頭を下げる。ストレスで難聴になり、体重が激減した時期もあった。それでも逃げ出すことなく、「トリニータという大きな財産を失ってはならない」と県庁マン魂で踏ん張った。

ニータン(亀)の如く地道に歩を進め、社長就任以降は毎年黒字経営に転換。「青野さんが社長でなかったら今のトリニータはない」と、田坂和昭監督も認める誠実健全な経営手腕で借金を解消した。多くのトリニータを愛する方の支援があったとはいえ、青野社長の功績は大きい。「債務超過が解消され、ようやくほかの39クラブと同じ土俵に立てる」と、これまでの4年間の経験を糧に、「経営基盤のさらなる強化」と「強い大分トリニータの構築」に向けて新たなスタートを切る。危機に瀕したクラブをV字回復させた『大分のカルロス・ゴーン』の次なる一手に期待したい。

とはいえ、この社長はすごく庶民派なトリニータサポーターである。本人は「(立場上)一喜一憂することはない」と言うが、試合に勝てば大喜びし、負ければ本気で悔しがる姿を目にする。試合を肴に赤提灯の灯る店に足を運び、サッカー談義に花を咲かせることもしばしば。また、県庁時代から購入しているシーズンパスを今でも購入している。「継続割引がなくなるのがもったいない」と、社長業を辞め、老後の楽しみとしてトリニータシートで応援するときのために継続しているようだが、まだまだ激務に追われそうだ。

以上

2014.04.28 Reported by 柚野真也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テレビ放送

一覧へ

明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/11/25(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田J3リーグ全ゴールまとめ【1124】