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【toto情報】コラム:ACLとスポーツ文化と助成金(14.04.28)

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その国にスポーツが根付いているのかどうかは、施設を見ればある程度わかる。長らくプロスポーツとして野球が親しまれてきた日本の場合、国土のいたるところに野球専用スタジアムが建設されているが、サッカー場の数はまだまだ少ない。テレビでの報道の分量を見ていても、野球に割かれる時間に比べるとサッカーの報道量は少なく、そういう部分でも日本のトップスポーツは少なくともインフラや報道の観点で見れば野球ということになる。これは「だから不公平だ」という事を言いたいわけではなくて、スポーツをめぐるそういう歴史の上に今の日本があるのだという事を単純に言いたいだけの事で他意はない。

今季のACLにエントリーしている川崎Fが、先日グループリーグ最終節の蔚山戦を勝利してみごとにラウンド16進出を決めた。移動距離と過密日程に加え、アジア特有の厳しい環境での戦いを強いられながらの戦いを勝ち抜いたということで、価値あるものとなった。

川崎Fのチーム関係者はACL出場が決まった際に「Jを代表して行くのだから、最低限グループリーグを突破しなければならないと思っていた」と考え、準備してきたという。そう考えていた川崎Fを含め、Jリーグ3クラブが決勝トーナメント進出を決めたことについてJリーグは胸を張っていいと思う。

今年のACLにおいて川崎Fは蔚山、ウエスタン・シドニー、貴州と同組になった。彼らとのアウェイマッチを終えて選手たちが口をそろえて言っていたのは、ピッチコンディションの難しさだった。ワールドカップ開催スタジアムでもある蔚山に関しては、中村憲剛が「芝は素晴らしかった」と話しており、降雨による影響を除いてはピッチについて問題はなかったようである。ただ、ウエスタン・シドニーと貴州に関しては芝に加え、その土台にある土の固さについていくつかの言葉が聞かれた。

アジア最強を決める大会のピッチが万全ではないということについて、嘆きの言葉が出ていたのは事実。そういう意味で、ACL2014にて、決勝トーナメントに進出した東地区のチームの内訳が、日本3、韓国3、中国1、オーストラリア1に落ち着いたというのは、ピッチコンディションから見たサッカーの浸透度という評価基準で考えた場合にある程度必然的なものだったのかもしれない。

勝てるサッカーをしようと思った時、いい監督といい選手を連れてくるのか。それとも、環境を整え、人を下から育てるのかを採用するのかは、それぞれのクラブや国民性に左右されるのだろうが、今のところ日本は強固な土台を作る後者のアプローチに軸足を置いているのは間違いない。たとえばそれはtotoの助成金を見れば一目瞭然。平成25年度のtotoによるスポーツ振興くじ助成件数は3010件、総額179億円あまりに上っている。この内、インフラへの助成件数は、大規模なものに対して11件、28億円あまり。地域スポーツ施設に対しては、231件、46億円あまりが助成されている。この他にも、将来性を有する競技者の発掘及び育成活動助成に71件、12億円あまりが助成されるなど施設の整備や、次世代の競技者の育成に費用が投入されている事がわかる(ただしサッカーに限らない)。

中国のように100億円を超える資金が1クラブに投入され、夢のあるチーム編成を行うという経営判断もある。ただ、それでも日本は、まずは競技するための環境を整え、人を地道に育成して、育てていきたい。遠回りに見えても、それがサッカーを始めとするスポーツ文化を熟成させる一番の近道なのだと思う。

日本のアプローチが正解なのだという事を示す意味でも、ACLを勝ち抜いた3クラブには一つでも上を目指してほしい。

以上

2014.04.04 Reported by 江藤高志(川崎F担当)

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