今季もこのまま落ちていってしまうのか。３月に３勝を上げて幸先良いスタートを切ったかにみえた群馬だが、４月に試練が待ち構えていた。エース平繁龍一が右ふとももの負傷で戦線離脱すると、得点源を失ったチームは瞬く間に失速。前節敵地札幌戦でも決定力不足に泣き痛恨の３連敗、18位へと順位を下げた。昨季４月にクラブワーストタイの６連敗を記録して残留争いに巻き込まれていった群馬だが、同じテツを踏むわけにはいかない。今節の福岡戦は、昨季との違いを示すゲームだ。

オフ明けの23日、チームに異変があった。野崎桂太が坊主頭となり、クォン ハンジンも髪をばっさりと刈り込んでいた。ふたりが髪を切った理由は、０−１で敗れた前節の札幌戦だ。先発出場した野崎は前半にビッグチャンスを迎えながらもシュートが無情にもポストを叩き好機を逸した。野崎は「シュートを打った瞬間、絶対に入ったと思ったがそれが弾かれた。天国から地獄に落とされたような気持ちだった。あれが決まっていたら結果は違っていたと思うので責任を感じた」と札幌戦を振り返った。そして中学生以来約８年ぶりの五分刈りにした。ちなみにバリカンをあてたのはチームメイトの瀬川和樹だという。

クォン ハンジンにとっても失意のゲームになってしまった。後半、札幌がヘッドで弾き返してきたロングボールへの対応を誤り、ボールを後ろへそらした。それを札幌・前田俊介にさらわれて失点の要因となった。「ロングボールの落下点の判断を誤ってしまった。チームのみんなに申し訳ないと思う。気持ちを切り替えるために髪を切った」（クォン ハンジン）。秋葉忠宏監督は「札幌戦で負けたのは決して野崎、ハンジンだけの責任ではない。（髪を切った）彼らの行動には、熱い気持ちを感じた。ふたりの気持ちをムダにしてはいけない」と福岡戦へ向かう。

３勝３分２敗で10位の福岡は、３試合ぶりの勝利を目指して正田スタへ乗り込む。２戦勝ちなしの福岡だが、２−５で大敗した７節の九州ダービー長崎戦のダメージが深く残っている印象だ。前節は讃岐相手に１−１で引き分けて、Ｊ２ルーキークラブに初の勝点を捧げた。試合後、マリヤン プシュニク監督は「怒り心頭で選手に話すというところではない」とコメントしたが、その心境を察するのは難しくない。福岡が今節、心技体のギアを高めてゲームに臨んでくることは確実。個のレベルは高いだけに、歯車が噛み合うかがポイントだ。

エース平繁を欠いた最近３試合で無得点の群馬は、ゴールをこじ開ける作業が求められる。今季Ｊ２昇格10年目を迎えている群馬の総ゴール数は397点で400ゴールにあと３点。ゴールラッシュで記録を達成し、サポーターに４試合ぶりの勝利を届けることが選手たちのタスクだ。宮崎泰右が「龍くん（平繁）がいないから点が取れないと言われるのは悔しい。みんなの力を合わせてゴールを奪う」と話せば、秋葉監督は「いまこそ選手全員の力を結集させるとき」と奮起を促す。選手がやるべきことは、相手よりも多くのゴールを決めることだけ。それが連敗ストップの唯一の手段だ。

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2014.04.25 Reported by 伊藤寿学