前節、アウェイ千葉戦に臨んだ湘南は、サポーターの分厚い声援に支えられながらピッチで躍動した。「記録と記憶に残る試合をしようとあえて言った」と、のちに指揮官は明かしたが、送り出された選手たちはまさしく内容で圧倒し、序盤から得点も重ね、6−0の大勝とともに開幕7連勝というクラブ新記録を更新した。
1−1で終えた2年前の同じカードがふとよぎる。拮抗勝負に両者譲らず白熱したあの日から、否、それまでもそれからも変わらず弛まず研鑽を積む彼らの球際や切り替えは、敵地を自分たちの土俵に塗り替えるほどに強く素早く、ひたすらシビアだった。そうした土台を背景に、開始間もなく、遠藤航のオーバーラップを横目に宇佐美宏和がクロスを上げてビッグチャンスを迎えたかと思えば、先制機はそれから10分足らず、逆サイドで菊池大介を追い越した三竿雄斗から最後はウェリントンがねじ込んだ。通常60%台の彼らのパスの成功率は、千葉戦では70%を超えたという。ポゼッションではなく前進を志向する湘南のスタイルにあって、この数値の向上は破壊力の加速に等しい。攻撃の手を緩めぬ彼らは先制以降も鮮やかに加点し、無失点で締めたのだった。
「積み重ねは大きいと思います」自らも得点を決めた遠藤は語る。
「継続って口で言うのは簡単ですけどすごく難しい。曹さんのもとでつねに高いレベルを目指しながらベースは変えずに取り組んできて、チーム内の競争はもちろん、一人ひとりの意識も高い。そうした積み重ねを示せたと思います」
継続と対を成す深化について、遠藤はさらに続ける。
「人数をかけて攻撃に出て行く意識など、みんなのゴールに向かっていく姿勢が格段に上がったと僕は思っています。守備でも、どこからプレスをかけるのかとかリトリートの判断とか、まだまだ完璧ではないですけどクオリティは上がってきてるかなと思います」
まだまだですけど、と繰り返すのは、J1基準で自分たちの試合を見返し、チームとして反省を共有しているからに違いない。「大差で勝ったからいいや、ではなく」と語ったように、足元を見つめ質を追求する作業は、これからも変わらず弛まず続けられていく。
今節BMWスタジアムに臨む大分は3試合白星から遠ざかっていたが、前節、札幌を1−0で降し、混戦模様の上位争いに食い込んだ。ここまで総得点6とゴールこそ少ないものの、シュート数は湘南、磐田、山形に次いで多く、チャンス自体は作り出している。曹貴裁監督も、「大分さんはチームのコンセプトがしっかり感じられるチーム。若くていい選手も多く、攻守ともにシステマチックでいいフットボールをやられている」と語る。
前節の札幌戦では開始間もない末吉隼也のゴールを勝利に結んだ大分だが、おもに前半を無失点に抑えつつ先行するかたちでここまで勝点に繋げている。対して曹監督は言う。「我々は狭いスペースでもより入っていくプレーが大事。ホームだし、さらにイニシアチブを握らなければいけない」。
クラブの記録を更新したオフ明け、指揮官は選手たちに「リスタートの気持ちでやろう」と話したという。「クラブの記録はつくった。次は目の前の試合に対してどう臨むかが大事」。いつものように、勝点3を求めて目の前の一戦に注ぐ。
以上
2014.04.19 Reported by 隈元大吾
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