新潟が2戦連続の首位たたきを目指す。リーグ戦前節は鹿島(現在2位)に2-1で競り勝った。今節は鹿島に代わって首位に立った広島が相手。ここまで7失点の堅守を崩す切り札が岡本英也だ。今季はまだ得点はないが、要所で積極的にミドルシュートを放つなど、調子はいい。強敵相手に今季初得点をホームで決める。
広島は新潟戦は得意としている。2012年の第22節から3連勝中。新潟戦に強い佐藤寿人も現在4得点と好調だ。
岡本にとって、広島戦が行われる4月20日は縁のある日でもある。昨年、ホームの第7節横浜FM戦で、鹿島から移籍後初得点を決めた日。このとき横浜FMは首位。丸1年が経ち、相手は広島に代わったが、首位を相手に自身の今季初得点を狙うシチュエーションは同じだ。「決めたいですね、同じ日に」と笑う。
その予兆もある。本職はFWだが、今季はここまでリーグ戦7試合全てに左サイドハーフでスタメン出場。昨季終盤から入ったポジションを任されている。得点という結果は出ていないが、前を向いて仕掛ける時間帯は増えた。その中で「意識して狙っている」と言うのがミドルシュートだ。もともとロングレンジのシュートは得意としている。サイドハーフに入り、高い位置から仕掛けたときは迷わずに狙う。昨季はシチュエーションができたときの選択肢だったが、今季はほぼ最初のチョイス。「体が自然と反応する」というほど、染みこんでいる。
そのミドルがクロスバーを直撃するシーンが今季は多い。ナビスコカップ予選1節の徳島戦では、ミドルが鈴木武蔵に当たってゴールになるなど、巡り合わせの妙もある。「そろそろ枠の中に入れたいです」と苦笑いするが、感触は悪くない。今節の相手広島はブロックを固めて守る。「そういう相手を崩すにはミドルが必要ですから」と自覚する。
前戦のナビスコカップ予選第3節甲府戦はベンチだった。出場機会はなかったが、守備を固めた相手をじれずに攻略し、1-0でものにした内容を頭にたたき込んだ。「やはりじれずにじっくりボールを持つこと」と戦い方は分かっている。同時に「ここで(ミドルを)狙えるという場面もあった」と広島戦のシミュレーションもできた。
「まず勝つこと。それが自分が得点してなら一番いい」。昨季のリーグ戦6得点は全てホームで、得点した6試合は全勝。ホームで滅法力を発揮する男が、首位を相手に今季最初の雄叫びを挙げる。
広島は対新潟戦の強みを発揮したい。強固な守備でボールを奪うと、鋭いカウンターでゴールを奪う。この形で勝利を重ねてきた。昨季からの3連勝の中、エースの佐藤は2得点。新潟戦の相性の良さは実感しているはず。
佐藤の周囲を固める石原直樹、高萩洋次郎、ミキッチ、柏好文らが連動し、どこからでも仕掛けられるのが特長。粘り合いになる流れは、広島にとっては自分たちのペースでもある。
新潟は今季、相手の堅守をこじ開ける策の1つとして、細かいパスのつなぎを取り入れてきた。そこに加え、岡本ら遠めの距離からのシュートもある。昨季からのチームの成長ぶりを示すには、絶好の相手だ。
どちらにとっても一瞬の隙が勝敗の分かれ目になる。
以上
2014.04.19 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)
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